第6話 祖父 2

 賄賂の件として警察署に呼び出されて、祖父は取り調べ室に入りました。


そして間をおかず、警察署長が挨拶に来て、


「お久しぶりです。〇〇さんはお元気ですか?」と署長は尋ねた。


祖父は「今は東京で元気にしてますよ」と答えたら、それで取り調べは


終わったらしいです。


これが権力である。実に浅ましい。


この展開ならお分かりだろう。祖父は当選した。


そして最初は頼まれて議員になったが、やってみたら面白かった為、そのまま3期ほど勤めた。


勤めたと言うべきか、更なる権力を手にしたのかは、後者であろう。


祖父の時代、父親は天皇のように扱われていた。逆らう者は誰もおらず


全てがまかり通る。それ故か、友人を作る事も出来ずにいた。


金持ちには二種類いる。古くからの金持ちか、成り上がりたてか。


ほんの数年前、私は地元で飲んで、タクシーに乗り、「どこどこの自宅まで」と


言うと運転手さんは振り返り、「あそこの方ね」と聞かれた。


私は「そうです」と答えると、運転手さんは言った。


「貴族だね」さすがの私も笑ってしまった。


「貴族なんですか?」と私が聞くと、運転手さんは


「あそこの一族は本物の貴族よ」と言った。


これが世間のイメージなのかと、何とも言えない気持ちになった。


嬉しくもないし、実情は酷すぎるから、肯定も出来なかった。


祖父は議員の素質のある隣町の人と関わる事になった。


それが私の幼馴染であるが、祖父とその幼馴染の父親は協力し合ったと


数年前に聞かされた。


祖父は議員をしつつ、医者をしていた。相続税で法外な額を払わされた。


父親に聞いた話では7割近く取られたと言っていた。


8000憶以上あったのは、祖父の時代らしい話を祖母が亡くなってから


話だした。当時のお金で2千円で庭付き一戸建ての家が建つのに対して、


現金で家には1億以上あったらしい。これは祖父の時代の話だ。


町を買えるほどの金額である。


当然、自由気ままがまかり通る父親は、昭和大学にまず入学した。


とりあえず東京に出たい、遊びたいという気持ちで友人と行った。


そして4年が過ぎ、家に戻ると、すぐにまた東京に行くプランを


友人と立て始めた。


私の父親が医者になった理由は、どうすれば一番長く東京に居られるか?


この答えが医者であっただけであり、人助けが好きな訳でも無かったが、


医者としては優秀だった。資産がある為、他の医者と違い稼ごうとは


あまりせず、出来るだけ自然に治る方法を、患者に伝えていたからである。


しかし、4年も大学で何もせず、医学部に入るには勉強しなければならない。


ここでまた日本でも有名な人物が現れる事になる。

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