第5話 祖父 1
祖父の時代に突入しても、力が衰える事無く、
私の一族は強い権力を有していました。そして私は彼らとは
違う道を進む事を選び、長男の長男であるが故、何かと行事の
代表などにもされました。その程度の事は受け入れていました。
曾祖父の家を建てたのは、昔は栄えていた島にありましたが、
その時代には車は私たちの一族だけが乗っていましたが、
祖父の時代には多くの人が車に乗っていました。
島としては大きい島ですが、ガードレールが無い上、夜になると
何も見えず、そのまま道があると突っ込んで、海に落ちて毎年
多くの死者を出していました。
私の父親は幽霊の存在などは信じてないと言いつつも、
医学部の学生の頃、死体安置所で幽霊を見た事はあると言っていました。
矛盾している事を指摘しても、一度だけ見た事があると
珍しく非現実的な事を言っていました。
そして東京からたまに戻り、夜に飲みながら他の島に遊びに行こうと
誘われたが、何か分からないが、嫌な予感がして行かなかったと言い
人生で初めて、その日、御経を読んだらしいです。
そして友人たちは全員、海に突っ込み死亡しました。
これまで何人も死んでいましたが、祖父の子供の友人が死んだ事が
きっかけとなり、すぐに政府は動きました。
電話一本で島中にガードレールが整備されました。
私は権力や金の強さを知りながらも、反対派として唯一の存在として
生きる事を堅く何度も誓いました。
何故ならその陰には必ず不幸になる人がいると思ったからです。
父親が非現実的な事はこの件と幽霊の件だけでしたが、
祖母が死んだ夜、父親は涙ひとつ見せず平然としていました。
そして前に座り、私だけが一人残り朝までいる事になり
私は父親の後ろに座りました。
これは非常に不思議な事でしたが、なかなか読まない事に対して
私はこんな事は初めてで、しばらくの間、父親は泣いている訳でもないのに
御経を唱えだすまで、喋ろうとはしてましたが、声が出なかったと
後に言っていました。不思議な事はあるのだなと、私は感じました。
祖父も医者でしたが、ある時、議員の選挙に出て欲しいと頼まれ
選挙に出る事になりました。対抗馬に勝つには祖父しかいないと言う
理由から、今までは全く興味を示していなかった政治の世界に入る事になり、
ほぼ互角な闘いでしたが、相手の陣営が、警察に洋酒等を配っていると
密告され、30名ほどの人間が警察署に呼ばれました。
対抗馬はこれで一安心だと思いましたが、そうはなりませんでした。
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