バウンダリ編 第3章 第09話 氾濫

 それから半年ほどたち、秋の盛りなのに、セミが鳴き連日30度を超えたとてもご機嫌なある日、世界のいたるところでズンという振動の地震?が起こった。


 そこら中のダンジョンからモンスターが這い出した、ああ2か所を除く・・・軍が攻略中の超深度ダンジョンと、高等部が間引いている管理ダンジョンここはモンスターが少ないのか出てこなかった。


 ただ、影響がなかったわけではなく中は凄惨な状態にはなっていた所があった・・・


 それと水希とまことの秘密の出来事についてはすぐばれた・・・導人の家に来た時すぐに部屋に漂っていたと本人は言っているが、においで分かったらしい、導人は有無を言わさず頂かれた、まこともいたが抑止力にはならなかった。


 話を戻すと30階まで攻略されていた高等部管理のダンジョン、たまたま魔法科の実習で中に居た導人たちと田上2尉によりあっさり氾濫は終息。


 問題は、軍が攻略中の超深度ダンジョン、大量の隊員により地上に出て来る前に氾濫は終息・・・だが、深度にまで潜っていた隊員の幾人か・・・小隊単位の人員が失われた、最悪なのはやはり黒い霧を纏ったモンスターには、なかなか魔法による一撃での退治とはいかず手こずった。


 その為、攻撃しながらの撤退戦となり殿を務めた強力な部隊に、余計被害が集中する結果となった。




 

 導人の家から帰って来た水希とこの物資を届けた後休暇に入るほむらは、異なったテンションでたまたま同じ業務を行っていた、少し攻略が進んだ80階への物資搬送・・・

「えらく機嫌がよさそうじゃない」

 ほむらは水希に問うと

「最近ね、導人の愛を体が感じるの、朝起きたくないのよ」

「そんなこと、私だってずいぶん前から感じているわよ、この搬入が終われば休暇だもんね、しっかり愛してもらうから」


 とふざけたことを言い合いながら、マラソンの世界記録?何それな速度で走っている、導人式鍛錬法のおかげで二人の隊もぐんぐんと力をつけ、他の隊とは2周り以上能力が高い、それは特殊攻撃M師団の他の小隊も把握しており、遅ればせながら実践を始めた。


70階も後半に近づいたころ、下から突き上げるようなズンという衝撃を感じた。


「今の感じた?」

「うん、何か突き上げるような振動だった」

「何かやばいかな?」


「やばそうなら・・・今は篠田2尉の隊だよね、じゃあ逃げてくるでしょ、撤退の判断ができないような部隊じゃないし」

 そう言うと、間もなく戦闘音が近づいてくる。

 無線のプレストークボタンを押し込む

「小田です篠田2尉状態を オーバー」

「ザザッ、逃げろ氾濫だ  オーバー」

「了解 アウト」


「全体止まれ、氾濫だモンスターに対応し、攻撃つつアルファと合流その後全速で撤退する」

「了解」


 部隊はそこでダンジョン両側に展開し個々に索敵を行う、感知したものから攻撃を始める。

 しかし、いたるところから

「魔法が効きません」

「馬鹿野郎、貫通させすべてを破壊するイメージを持て、泣き言をいうな」


  時間をおかず篠田2尉と合流し撤退戦を開始する、水希とほむらは導人にならった空間魔法を使いシールドを取り出す、先ほど隊員にも言った、貫通しすべてを破壊する・・・かつて導人が50階でボスモンスターに使った魔法・・・そのイメージで魔法を撃ちだす・・・

 それでも、3発は撃ち込まないと倒せない。

「悔しいわね、どこが違うのかしら?」

「今度ゆっくり教えてもらわないとだめね」

 水希とほむらはそう言いながらそれでも、少しずつでも削っていく・・・だが奥からどんどん湧き出してくる、ただ氾濫時にはモンスター同士も殺し合いをするので地上にこのあたりの強力な個体は届かないと思うけど、そう2人は考えていた。

 実際10階ごとのボスと出ていくときは戦うようだ。


 そんなことを考えながら撤退していたが奥側に双頭の狼?見たことがないモンスターが凄い勢いで近づいてくる、幾人も隊員たちが跳ね飛ばされ食いちぎられていく・・・ああ、見知った隊員たちが無残に壊されていく・・・




 それは篠田2尉や水希とほむらも例外ではなかった・・・

「「導人くんごめん・・・」」





 導人たちと田上2尉は氾濫をおさえダンジョンから脱出してきた時に、同時に端末に着信を受けた軍の攻略中のダンジョンが氾濫したようだ、順次隊員は体制を整え対処をしているが新深度に居た隊とは連絡が取れない・・・

「田上2尉行きましょう、乗せて行ってください」

「俺たちも行くぜ」

「まあ手がいるだろうから全員で行くか」

 ということで、一般生徒は返したが旧来からの仲良し部隊の内5人で行くことになった。


 一度基地により状況を確認する、大佐から作戦リストとメンバー表ももらう・・・

「深見くん」

 大佐が声をかけるが

「行ってきます」

 それだけ伝えると書類を放り出し一人で出て行った・・・

 残りのメンバーはあっけにとられたが、導人が放り出した書類を確認しすぐ追いかけた・・・残された書類の不明者リストには

 篠田 樹  (しのだ いつき) 2尉

 小田 水希 (おだ  みずき) 2尉

 飛田 ほむら(とびた ほむら) 3尉

 とその部隊の隊員の名前が記されていた・・・


 皆は導人を追いかけダンジョンに入ったが、どこまで行ってもモンスターはおらず導人にも追いつけなかった、40階を過ぎたころに大きな振動と魔素の強烈な流れを感じた・・・

 超深度のモンスターは再発生するまで時間が掛かる、その為70階から120階程度までその日から5~10日ほどモンスターが居なかった。

 基本的に階層を超えると空間が連続していないため、どんな強力な攻撃でも超えて影響を与えることはないとなっている。


 しかしその日に導人が組み上げた魔法は空間の狭間を超えすべてのモンスターを滅した。

 その魔法の詳細はどの報告書にも記載はなく詳細は不明である、導人自身が何も言わなかったせいもあるが周りも特に追及をしなかった為である、本人は、あの時怒っていてよくわからなかったと、後にまことには打ち明けた。

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