第38話キャシーの告白

そしてキャシーが1時間後に目を覚ますと

亮は椅子に座り夜景を見ていた

「亮」

キャシーは後から亮を抱きしめた

「亮、良かったわ」

「ありがとう。褒めてもらって」

「喉が渇いたわ」


キャシーは亮の顎をなで裸のままリビングの

ちょとしたお店並みの大きな

カウンターバーへ行くと

「何か飲む?」

と聞いた


「あっ、僕が作ります。あなたの分も」

「本当?うれしい」

亮はシェイクを振り作ったのはジンレモンだった

「美味しい。うふふ、こんな事も出来るのね。素敵」

乾杯をするとキャシーは亮に体を寄せた。


「ねえ、亮っていくつなの?」

「27歳です」

「私と同じ年なんだ・・・もっと

 年上だと思っていた」

「えっ、タメ!」


大人びたキャシーはもっと年上だと思っていた。

お互い年齢を勘違いしていた。

「私が父の後を継いだのは23歳だったわ」

「そんなに若く?」

「はい。ある事件に巻き込まれて父は殺されちゃった」

「そうなんですか。気の毒に」


「私が父の遺産を継いだ後、男どもが近づいてきて

みんなだまそうとしてきたの」。

「分かります」

「だからずっと一人、

この4年間ずっとかんばって来たわ」

亮はキャシーに軽くキスをした


「美味しい、もう一杯作って」

亮はシェイクしながら亮は顔を覗き込んだ。

「犯人は?」

「犯人は敵対していた不動産会社が雇った男」

「犯人はどうなりました?」

「分からない」

「分からないのに雇った人間はわかるんですか?」


「それは……」

「ひょっとしたらジャックに

何か頼み事していませんか?」

「あります」

「父を殺した男を連れてくるとお願いしました

なるほどその代わり投資しろと言うわけですね」

「はい、その男中国人?それとも組織?」

「組織と聞いています。」

「まさか闇鬼・・・」

亮は不安になっていた。


キャシーがジャックに

父親を殺した犯人を捕まえろと頼みその先は闇鬼か

「それからどうなりました?」

「100万ドル払って

まだ見つかって居ない

どころか、香港に高層ビルを立てる投資しろと言われた。」

「肉体関係は?」

「あるわけないじゃない。あんな男と」

「わかりました」

「妬いているの?」


「お母さんは?」

「父に捨てられた、お金の使いすぎだって」

「そうですか、それで今は?」

「そうね、父が死んでも遺産をよこせと

言って来ないからどこかで野たれ死んだか

大富豪のところへ転がり込んだかどちらかでしょう」


キャシーは母親の事を気にも留めていなかった

「気にならないんですか?」

「だって物心付いた時から母親は世界中を

飛び回っていて家には居なかった。

聞いた話だと母乳を飲ませると

乳首が黒くなるから母乳も

飲ませてくれなかったらしい」


「そうなんですか、さびしいですね」

愛に恵まれないキャシーはうなずきながら

涙を流して亮にキスをした。

「本当に良かった。お陰で忘れる事が出来そうよ」

「パパを?」

「はい、パパって言っていた?」

亮は目を曇らせたキャシーにその先は

聞けなかった。


「気になるでしょう?」

「はい、まあ」

「私、親子で関係があったの」

「もう言わなくて良いですよ」

亮はキャシーの口を止めるためにキスをした


「ううん、聞いて。父と私は血が繋がっていないの」

「えっ?」

「私は母が浮気をした時の子供で、

父は二度もDNA鑑定をして、

結果は99%他人。それを知らされたのは

母親が家を出て3年後

私が15歳の時だった」


「ショックだったでしょう」

ええ、でも私は父が大好きだったから、

血は関係ないと思っていた」

「そうですね」

「そして、プロフの夜彼に送られて帰って来た

ドレス姿の私を見て父は私を襲ったの」


「それはひどい」

「でも、次の日私から父を求めたわ」

「そう」

亮は複雑な親子関係にとても返事に困った

「でも、あなたのお陰で父を忘れられる。ありがとう」


「よかった、亡くなった人の事を

いつまで思っていても仕方が無いですよ」

「うん、でも亮はSなの?とても上手かった」

「いいえ、求めに応じてかな。あはは」

「亮、グッドジョブ」


キャシーは亮に抱きつき、

亮を生涯のパートナーと決めた。

亮は翌朝5時に目が覚めると

ベッドから静かに抜け出し

支度をしているとキャシーが後ろから声を掛けた。


「早いお目覚めね」

「おはよう、起こしちゃいました」

「いいえ、私朝が早いの」

「そうか、アウトドア派でしたね」

「もう行くの?契約書のサインは10時よ」

「ジョギングへ行きたいんですけど・・・」


「この辺りは交通量が多いのでジョギングは

難しいから、このアパートのジムへ

行った方が良いわプールもあるし」

「わかりました」

キャシーは亮に抱きついて

キスをするとベッドを叩いた。


「ベッドの上で運動しない?」

そう言って亮の目を潤んだ目で見つめた。

「キャシー溜まっていました?」

「そうよ。あなたと違って・・・飢えていたわ

そう言えばあそこにいた女性何人と

関係があるの?逆にお姉さんと

一恵さん以外全員?」


「いいえ、明日香さんとブルックと

シャオメイ・・・とは関係していません」

「凄い!あなたのような男性見た事無い」

「すみません」

亮はあまりにも多くの女性と

関係した自分を恥じていた。


「違うわ、普通の男はやりたくてもできない。

でも女性の方からあなたを求めるのは

あなたがそれだけの男という事なのよ。

まるでハーレムを作るライオンやオットセイだわ」

亮はうつむくだけだった。


「他にもいるんでしょう。日本にも」

「はい、います・・・」

キャシーの心の中にこらえきれない

独占欲の感情が湧いた。


「あっそうだ、キャシー。

化粧はあまり濃く無い方が良いですよ。

せっかく目が大きくて綺麗なんだから」

「ありがとう、そうする」

キャシーは亮をじっと見つめ体を寄せた。


若い亮の朝の体は多少の刺激

でも心と違った反応示した

「凄く元気。どれくらいジョギングするの?」

「時速20kmで60分です」

「うふふ1時間」


そう言ってキャシーは激しく刺激した

キャシーを抱きしめた。

それから1時間後

正気に戻ったキャシーは

自分の顔をタオルで拭いた


「アウトドアか」

キャシーは自分の顔を撫でベッドから

降りて透けたガウンを羽織ると

ナイフと時計を持ってきた。


「このナイフは『ロックステッド』

高度67メイドインジャパン刀と同じ作り方を

しているのでよく切れるわ。護身用に持っていて

それからこの時計も上げる」


「ロレックス コスモグラフ デイトナですね」

昔、秋山良子に渡したデイトナ

より何倍も高い時計だった。

「これって?」


「特注品で私とお揃いウフフ、GBS機能が付いていて

非常時にこのボタンを押すと電波を発信する。

リングを回すと時計が光って、

周りを照らす例えばトランクに入れられた時ね、

リューズを引くと高圧電流が流れるの」


「待ってそれじゃ自分が

感電しますよ」

「ううん、この時計の値段は誰でも知っているから

犯人か取り上げて自分にするじゃない」

「はい」


「その時リューズを引くのよ、犯人は感電する」

「まるでスパイみたいですね」

「父が誘拐される可能性があるので

この時計を発注したのでも1度も

付けずに逝ってしまったけど」


「高そうですね」

亮の頭の中には700万円以上それに特注品となれば・・・

亮が考えていると200,000万ドル?

「300,000万ドルよ」

「凄い!」

「断らないで受け取ってね。あなたにもしもの事が

あったら私生きていけないんだから」


「ではいただきます」

亮は自分にもしもの事が有った時のサバイバルグッズに

良いと感じた。

「それ保険入っているから

壊しても大丈夫だから」

「はぁはい」

キャシーは突然亮の手を引いた。


「ねえ、セントラルパーク歩きたいんですけど」

「良いですよ」

キャシーは亮と腕を組んで

St.パウロ教会に着いた。


「どうしたんですか?」

「懺悔したいの」

「はい・・・」

亮は教会の人に聞いた。


「マーティン牧師に会いたいんです」

「知り合い?」

「はい、まあ」

二人は教会に入るとマーティン牧師を探した


「やあ、私をお探しですか?」

50歳近くの黒人の牧師が亮に声をかけた


「朝早くからすみません、マーティン牧師」

亮が頭を下げると牧師は大きく目を開いた。

「おお、ダン兄弟よくいらっしゃいました」


「覚えていただいて光栄です」

「忘れるものですか、あの時の一人は

改心し教職者の道を歩んでいます」

「それは良かった、4年ぶりに近くまで

来たので寄らせていただきました」

亮が言うとマーティン牧師はにっこりと笑った


「今日はお願いがあってまいりました」

「はい、何でしょう?」

亮はキャシーを紹介した。

「私、懺悔をしたいんです」

「わかりました」


「洗礼はなさっていますね」

「はい」

キャシーは奥の部屋で牧師に懺悔して

戻って来た。

「良かった、12年間の罪を告白して

許しを貰った」

キャシーは笑顔で輝いていた。


「お二人は御結婚を?」

マーティン牧師が聞くと

「はい」

「いいえ」

二人の意見が違っていた。

マーティンは優しく亮の顔を見た


「マーティン牧師、残念ながら二人が

出会ったのは3日前です」

「ははは、時間は関係ありません。

二人の出会いは神の命です」

「ロミオとジュリエットは5日の恋だったのよ」

「でも自殺して悲恋だった」

亮がキャシーの言葉に水を差した。


「ダン兄弟、自分が愛される事を

否定してはいけません」

「わかりました」

亮はマーティン牧師の言葉に従った。


「でも、僕にはたくさん愛する人がいます。

そしてその愛する人たちを守らなければなりません

だから、一人だけ特別に愛する事は出来ないのです」


「素晴らしい、それではキャシーさんも

愛しているのですね」

「は、はい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る