第7話 至れり尽くせり

「オババ様ッ!ただいまッス!」


裏道から街に入り、オババの店に戻るとオババが驚愕の表情で出迎えた。


「おやおや、おかえり。…ッ!…お、お前さん…あのステータスから、この短期間でどうやって…。それに、その従魔は特殊個体…?天使の指輪まで装備してるじゃないか…?」


…そりゃそうだよな。十倍以上のステータスになったんだから。…


「”エリート”のスキルがあるッスから、盗賊を少し倒せばこれくらいのレベルアップは当然ッスよ。従魔と天使の指輪は、運が良かったとしか言えないッスね。」


オババは、諦めたような仕草でため息をついた。


「運が良いどころの騒ぎじゃないんだがねぇ。…ふぅ。わかったよ。これも”わけあり”ってことで聞かないでおいてあげるよ。しかし、これだけ“わけあり”があるなら、コイツもお前さんにあげるよ。」


・鑑定阻害の指輪…相手の鑑定スキルから身を守る。


…こうも次々に超レアアイテムを貰うとなんだか気が引けるな。遠慮なくもらうけど。…


「ありがとうッス。いつか恩返しするッス。」


遠慮なく指輪を受け取ると、オババは嬉しそうな表情で椅子に座った。


「ヒャッヒャ。もの凄い恩返しを期待してるよ。それはそうと、腹は減っていないかい?簡単だけど、夕飯用意してあるよ。」


…何から何までありがたいな。…


大袈裟に喜んで、深くお辞儀をしてみる。


「ほんとッスか!?じつは、お腹ペコペコなんスよ。ありがたく食べさせていただくッス。」


オババは照れ臭そうに、棚にある道具の手入れをし始めた。


「ほら、お腹が空いてるんだろう。早く食べておいで。」


「ありがとうッス。」


再度お辞儀をして、奥の部屋に向かった。


……


オババが準備してくれた夕食を食べ終え、ベッドで横になっているとブラックサンダーが近づき正座した。


…どうやって正座してるんだろう?…


『主様。私はこれからスリープモードに入りますが、敵が近づいた場合は警報を鳴らしますので、ご安心ください。』


…そんな防犯機能も備えてるんだ。…


そう言うとブラックサンダーは眠りについた。


「おやすみ。サンダーのお陰で色々助かったッスよ。」


『恐悦至極。』


…さて、明日はどうしようか。町で買い物かな。冒険者登録は、がっつりとステータスを確認されるから身バレが怖いしな。闘技場は身分確認はされないはずだけど、もう少し強くなってからかな。盗賊を本格的に狩るのもいいな。…


…よしッ!朝一で魔道書を買って、その後、”盗賊の洞窟”に行って盗賊狩りしようッ!…

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