アイリ 泡と消えた魔法の世界で

みりお

プロローグ

 夜、魔法学校の寄宿舎が揺れた。


 カーテンの向こうが赤く染まる景色に、寝ていた中等部の女学生たちが次々にベッドを降り、パタパタと床を走る音が聞こえる。


「何々? 何が起きてるの?」


「あれって泉の方じゃない?」


 けたたましい女学生の声に、私は二段ベッドの上で眠い目を擦って上半身を起こした。


「アイリっ! 大変だよ!」


 同級生のノルテがベッドをよじ登って顔を出し、大声で叫んだ。


「山が欠けてるっ⁉」


 誰かが窓を開け放って身を乗り出すと、カーテンが大きくなびいて熱風が部屋に舞う。


 火山の噴火? 


 あまり興味が湧かなかった私は布団に深く潜り込んだ。


 その日を境に、私たちの境遇がひっくり返るとは思いもせずに……。

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