第26話
体育の授業。
今日は寒いから教室でプリントやってなさいって井山先生に言われて、クラスのみんなにいーなーって言われつつ、教室に戻った。
そういえば、真鍋先輩も体育は井山先生だって言ってたっけ。
こんなちょっとした共通点でも嬉しいって、僕もう相当重症かもしれない。
プリントをやりつつ、グラウンドを見る。
時々吹き付ける風に、みんなの身体が縮こまって、ちょっとかわいそうになる。
「あー、やっぱ居たよ、新井ちゃん」
突然ガラッと開いた教室のドアに、びくぅってなって、振り向いた。
「木戸先輩!?」
「グラウンドにほら、ハヤだっけ?アイツが見えたから絶対新井ちゃん、教室に居るだろうなって思って」
ハヤって………友弥のことだよね?
僕のことはいきなり新井ちゃん呼びだし、友弥はハヤ?じゃあ透は何て呼ぶんだろ。
ふにゃんって顔で笑う木戸先輩は、やっぱり年上に見えないぐらい………かわいい。
「木戸先輩、授業は?」
「んーー?何か眠いから抜けて来ちゃった」
「ええっ?いいんですか?そんなことして………」
「うん、まあ、単位さえ落とさなければいいかなぁ」
「ええええ」
何か自由すぎる先輩だな。
単位さえ落とさなければって、受験生だよね?いいのかな?
って、受験、か…………。
真鍋先輩は、どうするんだろ。
聞きたいけど………何か、聞けない。
遠くへ行っちゃったり、するの?
机に頬杖をついて、ため息を、ひとつ。
「最近さぁ、光ちゃん新井新井って、全然おれのことかまってくれないんだよねぇ」
「え?」
「そろそろ返してくれない?光ちゃん」
「……………え?」
何を言われたのか分からなくて、木戸先輩をまじまじと見る。
柔らかい、優しい笑顔が消えて。
すごくすごく、真剣な、顔。
あんまりにも僕をじーーーって見るから。
思わず、顔をそらした。
どういう、意味?
それは友だちとして?それとも。
それとも、真鍋先輩と木戸先輩は………。
やだ。
そんなの。やだ。
「ご、ごめんなさい」
「なんてね」
「え?」
「ウソだよ。びっくりした?」
ふふふふって。
また、柔らかい、優しい笑顔。
ウソ?
「またお昼ご飯一緒に食べようね」
バイバイって手を振って、木戸先輩は教室を出ていった。
何が、言いたかったんだろう。
ウソだよって。
何が、どう、ウソなんだろう。
朝はあんなにも嬉しくてドキドキしてたのに。
真鍋先輩、木戸先輩が言うことは、ウソ?本当?
朝とは違うドキドキに。
………胸が、痛かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます