第24話

「何、この屍」

「俺が来た時からこんなんよ」






 僕がベッドに突っ伏してたら、透が部屋に入ってきて、ベッドに凭れてゲームをしてる友弥が答えた。






 だってさああああ。



 だってじゃん、もうだってだってじゃん!!






 好きって思っちゃったんだよ。真鍋先輩のこと。



 カッコいいし優しいし。ずっとこわいイメージだったから、何か何か何かなんだよ。いわゆるギャップ萌えだよ!!悪い!?






 ………ドキドキ、するんだ。



 もっと知りたいって、一緒に居たいって、触れたいって、思っちゃうんだよ。



 でもできないじゃん?



 先輩と後輩の域から出られないじゃん?



 しかもあんなカッコいい人、女の子たちがほっとく訳ないじゃん!!






 はあああああって。



 でっかいでっかいため息。



 幸せが逃げちゃうぐらい。でっかいの。






「まー、どしたー?」

「まーくん?」

「どうもしてない」






 しかも、言えない。



 いくら幼馴染みだからって、こんなこと。



 言ったらさ、気持ち悪ってなるじゃん、嫌われちゃうじゃん。






 そんなの…………やだよ。






「どうもしてなくないでしょ?」






 友弥が呆れたように言ってるけど。



 けど、さ。






「ごめん、何でもないから」






 むくっと起き上がって、笑ってみる。






 笑えばさ、いいんだ、こんな時は。



 笑ってればきっと。きっと。



 何とか……………なる。






「またそんなこと言って」

「まー、嘘だってバレバレ」

「嘘じゃ、ないよ」

「俺らどんだけの付き合いだと思ってんの?」

「本当だよ」






 どんだけのって。






 記憶にはもちろんないけど、生まれてからだから、もうすぐ16年。



 僕が生きてきた全部の年数の付き合い。






 だから、言えないんじゃん。






「明日も、真鍋先輩と行くんでしょ?」






 ゲームをやめた友弥が、ベッドに座る僕を見上げる。






「うん」

「じゃあいいじゃん」

「意味、分かんないし」






 そう?って首を傾げて、友弥は笑う。



 透も定位置の座椅子に座って、ニヤニヤしてる。






「好きなら好きでいいんじゃね?」

「そうそう」

「なっ…………好きって、何がっ」

「まー、分かりやすいから」

「顔に書いてあるもんね」

「でっかくな」

「ちょっと待って!!何言ってんの、2人とも!?」






 バレてる!!本気でバレてる!!何で?どうして?しかも笑ってる!!



 気持ち悪くないの?嫌じゃないの?



 男だよ?






「何って…………なあ?友弥」

「ねえ?透くん」






 顔を見合わせて、笑ってる。



 からかってるとかじゃなくて。



 本当に、普通に。






「真鍋先輩が好きなんでしょ?」

「………」

「別に、いいと思うけど」

「友弥………」

「まーがまーであることに変わりないじゃん」

「透………」

「真鍋先輩はどうか分かんないけど、好きなら好きで別にいいんじゃね?」

「透くんの意見に賛成ーーー」






 絶対に。



 絶対に絶対に絶対に誰にも言えないと思ってたのに。



 言ったとしても、絶対に絶対に絶対に、僕から離れていっちゃうと思ってたのに。






「ありがと…………」






 泣きそうになってる僕に、2人が優しく、笑ってくれた。

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