第47話 確信

「で、雄哉君さ」

私は雄哉君と二人っきりで校舎に来ていた。

「な、なに?」

少し緊張した様子の雄哉君。二人で校舎裏。告白とでも思ってるんだろうか。男子はみんな幸せな頭をしてるみたいだ。

「聞きたいことがあってね?」

一歩一歩、雄哉君の方に近づいていく。その度に、雄哉君の顔が少しずつ怯えているような表情になっていく。無理もないよね。さっきまで告白かな? って思っていた相手から殺気立った目で見られて、距離を詰められているんだから。

「だ、だから、なに?」

震えた声。今度は緊張じゃなくて、恐怖が多く含まれた声。この変わりようについつい笑ってしまいそうになるのを堪えて、

「陽太と久保さんって、どうゆう関係なの?」

低いトーンで聞く。陽太が付き合ってるって言ってたから、間違いなく彼氏・彼女の関係ではあるんだろうが、念のための確認に雄哉は

「あいつらは、付き合ってるよ」

視線を斜め下に逃がして、いつもの明るい声が見る影もないほどに小さな声でそう言った。

「そーなんだー」

もう知っていたことだから驚きはしなかったけど、間違いなく私のこころは大きく揺れ動いていた。

「あのさ、雄哉君」

ほとんどない距離をまた一歩詰めて、彼の目をまっすぐ見つめる。

「実は、こんな話聞いちゃったんだけど……」

不敵な笑みを浮かべながら言うと、雄哉君は情けなくしりもちを付いて私を見上げる。そのだらしない姿を見て微笑みながら、私は耳元で

「陽太は罰ゲームで付き合ってるって、本当?」

そう尋ねる。

「そ、それは……」

雄哉の動揺した声を聞いて、耳元から顔を離す。目の前にある雄哉の顔。目は何もないところをぐるぐると泳ぎ回っている。たぶん言い訳を探してるんだろう。普段、あっけらかんとしている雄哉君。苦しい質問はさらりとかわして笑ってる彼だけど、ここまで追い詰めれば、もう赤子同然だった。

「本当なんだぁ。へぇ~」

不確かな可能性が、間違いのない確信に変わった。歓喜、興奮、至福。どの言葉がぴったりなのか、私にはさっぱりわからないけど、ものすごく嬉しくて、考えられないくらい愉快だった。

「ありがとう、教えてくれて。じゃあね。雄哉君」

怯える彼を置き去りにして、私は校舎の方にゆっくりと戻った。

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