第12話 知らなかった事
桃太郎
「じゃあ! 皆に挨拶に行ってくる!」
おばあさん
「ああ、寺子屋にもちゃんと挨拶して来るんだよ!」
桃太郎
「分かってるって!」
おじいさんとの勝負の後、おばあさんの手当てを受けた桃太郎は改めて郷からの追放と、夜叉丸の体質の原因解明の任務を与えられた。
そもそも鬼は不幸や災いを招く存在として人間には認知されている。
しかし、その事実関係を証明した者は居ない。
夜叉丸自身に体感として、自らが災いを招いている感覚があり、同族である他の鬼達からさえ遠ざけられてのだとしたら…
もしも他の鬼達には災いを招いている実感が無いならば…。
つまり、鬼と言う種族そのものが災いを招く訳ではないのかも知れない…
もしくは、コレは夜叉丸自身に掛けられた【呪い】のような物なのかも知れないと、おばあさんは考えていた…。
だが例えその【呪い】が解けたとしても…
鬼を招き入れた人間を受け入れる人間は居ない…。
夜叉丸を側に居させる以上、桃太郎は皆から遠ざけられるだろう。
おばあさんはそれを理解して、次善策として夜叉丸の性質を改善させようとしていたのだ。
呪いさえ解ければ、例え桃太郎が郷に戻れなかったとしても、夜叉丸の体質が原因で桃太郎が殺されるような事にはならないから…。
しかしたら夜叉丸はこれからも桃太郎を守ってくれるかも知れないとも考えた。
もしも夜叉丸が桃太郎の側で桃太郎を守り続けてくれるのなら、年齢的に先立つおじいさんやおばあさんよりも長く桃太郎を守れると言う打算さえあった。
郷の皆を安心させるためには桃太郎を追放しなくてはならない。
これからのおじいさんとおばあさんが迎える人生は静かで寂しい日々になるだろう…
桃太郎に会いたいと願う事もきっとある…
だがその時はおじいさんとおばあさんが会いに行けば良い。
郷の外で会えば、郷の皆に迷惑を掛ける事にはならないから。
桃太郎も その説明を受けて、旅の目的を明確化させていた。
桃太郎には夜叉丸が着いて行くし、小太郎もおばあさんの命を受けて同行する事となった。
桃太郎の身の回りは一先ず安全と言える。
問題は…
おばあさん
「コラ! ジジイ!
まだメソメソしてんのかい!?
情けないねぇ~…。
孫の旅立ちくらい胸を張って見送れないのかい?」
おじいさん
「じゃって…
じゃってのぉ婆さん…
もう毎日会えなくてなるんじゃぞ…?
桃太郎が危険な目に合っても、直ぐに助けに行けないんじゃぞぉ…?」
おじいさんは桃太郎に一本取られて以来…
桃太郎の見ていない場所では見る影も無く弱々しい様子を見せるようになってしまった。
桃太郎の姿が見えなくなると直ぐに泣いてしまうおじいさん。
おばあさんはこれからも こんな おじいさんの対応に追われるのかと思うと、正直 気が重かった…。
おばあさんがおじいさんを泣き止ませるために躍起になっていた頃…
桃太郎は郷の皆に挨拶して回っていた。
文房具屋
「その歳で旅に出るのかい?
早過ぎないかな桃太郎ちゃん?」
桃太郎
「良いんだ!
オイラが招いた結果だから!
じい様とばあ様を宜しくね!
おっちゃん!」
服屋
「えー!?
郷を出る!?
桃太郎ちゃん、旅なんて出来るの!?」
桃太郎
「じい様とばあ様の許可はもらってるよ!
オイラだってやれば出来るさ!」
八百屋
「あーっはっはっはっはっはっは!
桃太郎ちゃんが旅に出る!?
いつ行くの?
明日?
無理でしょ!」
桃太郎
「笑い過ぎだよ おばちゃん?」
しかし、誰も本気で桃太郎が旅立つとは思っていない。
しかもコケにされる始末。
想像と全く違った民達の反応に、桃太郎は戸惑いを隠せなくなっていた。
桃太郎
「もう! オイラは本当に旅に出るのに!
何で誰も話を聞いてくれないんだよ!」
一人で愚痴を溢す桃太郎。
想像では、感動の旅立ちになるはずだったのに…
予想とは大きく掛け離れた民の反応に、桃太郎の不満は募っていった。
そんな桃太郎を見兼ねてか、背後からフワフワと近寄る一つの影…。
それは…
小太郎だった…。
小太郎
「よう! 桃太郎!
一人で何 騒いでんた?」
桃太郎
「わぁ! 小太郎!
お前、いつから居た!?」
小太郎
「しばらく前からだよ!
お前の婆さんに頼まれてな!
一人じゃ【こう】なるかも知れないから、今からでも一緒に行けってよ!」
桃太郎
「何だよ!
ばあ様もオイラが一人じゃ不安だってのか?
オイラにだって出来るってのに!」
小太郎
「本当かぁ~?」
桃太郎
「何だよ!
小太郎まで疑うのか!?」
桃太郎を一人には出来ない。
それは おばあさんと小太郎の優しさだった。
しかし、これから一人前になろうとしている桃太郎にとっては、その優しさは鬱陶しいものでしかなかったのだ。
おばあさんと小太郎の思いやりが、なかなか桃太郎に伝わらない。
いきなり全てを丸投げにしたくない おばあさん達と、それを信用されていない証拠と受け取ってしまった桃太郎。
その想いの差が、桃太郎の中で自分の成長を止める鎖へと形を変えていた。
小太郎
「まぁ、お前そんなに肩に力入れんなよ!
焦りすぎると疲れちまうぜ?」
桃太郎
「…そりゃそうかも知れないけど…。」
自分の事しか見えなくなり始めていた桃太郎。
しかし…
ふとした瞬間、桃太郎は自分に視線が集まっている事に気が付いた。
郷の皆が、桃太郎を見付けると指をさしてクスクスと笑い出す。
「今、自分は噂されているんだ」と気付く桃太郎だったが…
それは、桃太郎が今まで経験してきたものとは何かが違った。
悪口ではない…
けれど、鬼から女の子を守りきった事を【評価】として噂されている訳でもなさそうだ…。
ではいったい何の噂だろう…?
桃太郎は不安を感じて、周りの会話に聞き耳を立てようとした。
…その時…
桃太郎の視界に入った小太郎の姿。
最近 色々とあったから忘れていたが、小太郎は妖怪であった。
妖怪と共に郷を歩いていては、それは目立つに決まっている。
焦った桃太郎は小太郎を懐に隠そうとした。
小太郎
「おい小僧!!
何をしやがる!!
俺を服の中に入れようとするな!!」
桃太郎
「良いから隠れてろ!!
そもそもお前は妖怪だろ!?
人目に付くのも問題だが、日の光から身を隠せ!
このバカ!!」
小太郎
「誰がバカだこの無能最弱小僧が!!」
桃太郎
「お前、言って良い事と悪い事があるだろ!!」
騒ぐ桃太郎と小太郎。
妖怪を目立たせる訳にはいかないと知っていながら、それでも目立ってしまった事をどうにか取り消せないかと思案するが…
しかし、見てしまったものを見なかった事には出来ない。
噂や騒ぎは人を集め、背ヒレと尾ヒレを着けて独り歩きを始める。
騒ぐ桃太郎を指差してケラケラと笑う人の数が増えていく。
ここまで目立てば、最早「自分はここにいるぞ」と自己主張しているようなもの。
よりハッキリと聞こえるようになった笑い声。
一人歩きを始めた噂話。
このままでは収集が着かなくなる。
桃太郎を中心に増えていく人だかり…
その中に…
桜の姿があった…。
人混みの隙間を縫うように…
一歩…また一歩と、人混みを掻き分けながら歩みを進める桜…。
そして、桃太郎と人だかりの間に出来た空間まで桜が歩を進めた時…
桃太郎はやっと、桜の存在に気付く事が出来た…。
桜
「…桃…ちゃん…。」
桃太郎
「…桜…。」
小太郎
「あ! あの時の小娘!」
一瞬 気を抜いた小太郎を服の中へと引きずり込み、無理矢理 桜と二人きりの状況を作り出す桃太郎。
何も桜に小太郎の存在を隠したかった訳ではない。
桜と二人きりになりたかった訳でもない。
ただ、それまてま隠そうとしていた小太郎が隙を見せたから、ここぞとばかりに隠しただけだった。
しかし、結果的に二人きりに近い状況を作り出してしまった桃太郎。
向かい合う桜の不安そうな表情を見ると、何故か桃太郎も不安になった。
何故か頬を赤らめている桜。
彼女の瞳は桃太郎を捕らえ、逃がそうとしない。
それに聞き間違いでなければ、桜は先程 桃太郎の事を「桃ちゃん」と呼んでいた。
今まで桜は桃太郎の事を「ちゃん」付けで呼んだ事は一度もない。
そんな彼女が急に始めた「桃ちゃん」と言う呼び方。
桜はいったい何を言いたいのか?
何を伝えにここへ姿を表したのか?
桃太郎にはそれが全く分からなかった。
だが、たった一つ…
今の桃太郎に思い当たる事があるとすれば…
それが、いったいどう関係してくるのかまでは分からなかったが、自分が旅に出る事を、まだ桜には伝えていないと言う事だけだった。
桃太郎
「よ、よう桜!
もしかしてお別れの挨拶か?
そうなんだよ!
突然なんだけど明日、郷を出る事になってさ!
お前にも挨拶しに行く途中だったんだ!
ちょうど…良かった…」
桃太郎が喋っている間にも、桜の表情は次第に険しく、そして更に赤くなっていく。
心なしか、少し涙目になっているようにも見える。
桃太郎を下から睨み上げるようでいて…
それでも、どこか照れているような様子の桜…。
桃太郎は自分が考えていた事が的外れだったように思えて…
桜が考えている事が一気に分からなくなって、胸の中の不安をどんどん大きくしていった。
桃太郎
『…何だよ桜?
…何が言いたいんだ?
…オイラが旅に出る事を言いに来たんじゃないのかよ?
…じゃあいったい何だ?
…その表情は、オイラに何を訴え掛けている?』
自分の中に思い浮かぶ疑問の答えが全く分からない桃太郎。
そんな二人の気不味い空気を引き裂いたのは、人混みの中にいた女の子の一言だった。
女の子
「あー! あのお兄ちゃんとお姉ちゃん知ってる!
私を助けてくれた人!!」
そこに居たのは…
両親と姉に連れられて歩く、あの日 桃太郎が阿修羅から守り抜いた女の子だった。
あの日 以来、桃太郎は彼女と一度も会っていなかった。
門番の父親とも会っていない。
女の子は無傷だとは聞いていたが、門番の体調の事も含めて一度様子を伺いたいと思っていた。
それがこんな場所で会えるだなんて…
見るからに元気そうな女の子の様子に、桃太郎は喜びを感じていた。
桃太郎
「キミはあの時の!
元気そうで何より…」
しかし…
喜びを感じたのも束の間…
次に女の子が口にした言葉が、桃太郎に生涯忘れる事の出来ない衝撃を与える事となった。
女の子
「ねぇねぇお姉ちゃん!
私、言ったでしょ!
あの日ね!
このお兄ちゃんとお姉ちゃん、口付けしてたんだよ!
凄く大人だったぁ~!」
次の瞬間…
凍り付いたように反応しなくなった桃太郎と、桃太郎を取り巻く野次馬達。
先程までのガヤガヤした空気はそこには無く、まるで時でも止まったかのように、音一つ立てなかった。
勿論、女の子が言っている事の意味が桃太郎には分からない。
桃太郎は混乱する思考を押さえ付け、一つずつ丁寧に情報を整理していった。
桃太郎
『【あのお兄ちゃん】がオイラだとして…
【あのお姉ちゃん】は…桜の事…だよな?
口付けした?
オイラと桜が?
いやいやいや、ないないない!
オイラが桜と口付けする事なんてある訳がない!
だって、オイラと桜はそんな関係じゃないもの!
仮にそんな関係だったとしても、こんな女の子の目の前でする訳がない!
出来ねぇよそんな事!
そんなの桜にだって分かっているはず!
…そうだ…
いつも掴み所のない桜だが、そのくらいの常識は絶対に持ち合わせているはず!
そうさ!
もしも万が一オイラが気を失っていたとしてもそんな事は起こり得ないんだ!
気を…失っていたと…しても…』
そこで桃太郎は気が付いた。
つい最近、意識を飛ばした桃太郎が訳も分からない内に別の場所で目を覚ました事がある。
それは阿修羅の攻撃を受けた事によって、命に関わる重傷を負った時の事…。
あの時、確かに女の子は桃太郎の側に居た。
もしも桃太郎の意識が戻る前に、桜が何らかの理由があって自分に接近していたとしたら…?
もしもその時、人工呼吸の必要性があったとしたら…?
…そう考えると…
桃太郎は【それ】を考えずにいられなかった。
焦って振り返り、桜の表情を確認する桃太郎…。
桃太郎の視線と桜の視線が交わり合った時…
桜は今まで以上に顔を赤面させ、桃太郎の視線から逃げるように自らの視線を地面に落としてしまった。
それは…
誰から見ても【私がやりました】と答えているようなものだった…。
桃太郎
『こいつッ!!!
やりやがったーーーーーッ!!!』
全てを察した桃太郎は焦った。
当然、桜に対する感謝だって感じている。
桜が【それ】をしてくれなかったのなら、桃太郎は今、こうして生きてはいないから。
しかし…
このやり取りの全てを郷の皆が見ている。
【それ】が実行された瞬間を見ていた証人もいる。
言い逃れが出来る可能性は極めて低い。
それでも、僅か10歳の桃太郎にとって、ここで桜との関係が皆に認知されると言う結果にどう反応するのかは、正解が分からない分かれ道のようなものだった。
もしも、記憶が無かったとしても堂々と関係を認めれば、男が上がる代わりに皆から冷やかされる日々が始まるだろう…。
今の桃太郎には、それを捌ききる知識も精神力も技術も無い。
ならば否定すればどうだろう?
男が下がり、毎日冷やかされる事は無い代わりに、耐えられない程の冷たい視線に晒され続ける事になるだろう。
まだ幼い桃太郎が混乱しながら選んだ道は、後者だった…。
桃太郎
「みッ…皆 聞いてくれッ!!
あの時オイラは…ッ」
桃太郎が桜との関係を否定する言葉を口に出そうとした時…
人混みの中に現れた、とある人物。
その人物が放った一言が、桃太郎に更なる衝撃を与えた…。
金時
「おう桃太郎。
【あれ】なら俺も見てたぞ。」
突然現れた金時の発言に固まる桃太郎。
終わった…
桃太郎の脳裏に、そんな言葉が過った…
その時…
更なる追い討ちが桃太郎を襲う。
若い部下
「ああ! 僕も見てた!
何て言うか、おめでとう!
桃太郎君!」
桃太郎
『誰だテメェはッ!!?』
追い討ちはまだ終わらない。
そこに現れた次の人物は…
夜叉丸
「俺も見てたぞ!
お前 凄ぇな、桃太郎。」
桃太郎
「夜叉丸!!?
おまッ…お前は何をこんな場所で…ッ!!」
言いたい事さえ纏まらない桃太郎。
その脳内は混乱を極め、最早 精神が崩壊する寸前まで追い詰められていた。
そんな桃太郎に向けられた、とどめの一撃…
おばあさん
「私も見てたぞ!
自分がやった事には責任を取らんか! 桃太郎!」
おじいさん
「…愛じゃ…。」
桃太郎
「アンタ達まで、こんな場所で何をやってるんだ!!?」
続々と現れる、その場に居るはずのない面々。
その全員から桜との関係を肯定され、桃太郎の逃げ道は完全に断たれたかと思われた。
…しかし…
桃太郎はまだ諦めていなかった。
後一つだけ逃げ道が残されている。
…それは…
桜だ!
誰が何と言おうと、桜 自身が否定すれば事態は落ち着くはず。
嘘でも良い。
今だけ…
たった一言だけ桜が「違う」と発言すれば、それだけでこの状況に収集が付くはず。
そんな一縷の望みに全てを掛けて、桃太郎は桜の元へと駆け寄った。
桃太郎
「桜! 頼む! たった一回だけ!
たった一回だけで良いから、オイラの願いを聞いてくれ!」
桜
「…桃ちゃん…」
両手で桜の肩を掴み、彼女の体を軽く前後に揺する桃太郎。
そんな桃太郎に「いったいこれからどうなるのか?」と言う野次馬達の好奇の眼差しが向けられる。
桃太郎の次の発言に…
次の行動に…
皆の視線が集中していた。
…すると…
郷の民達は、ある違和感に気が付き始めた。
…その違和感の正体とは…
桃太郎
「なあ桜! たった一回で良いから!
オイラの…」
桜
「…桃ちゃん…!
…それって…!!!」
そして遂に、桃太郎と桜も気付いた【桃太郎自身の違和感】…
それは…
桃太郎の股間部分が天を衝くかの如く反り立っていた事だ。
勿論、それは桃太郎の意思ではない。
それどころか、桃太郎の身体の一部でさえなかった。
その正体は小太郎。
桃太郎の袴の中に入れられてしまった小太郎は出口を求めて彷徨い…
あろう事か、桃太郎の股間部分から真上に向けて出られるかもしれないともがいていたのだ。
しかし、そうとも知らない郷の皆や、目の前に居る桜にとっては一大事。
先程から繰り返される、桃太郎の「たった一回で良いから」と言う発言。
その全てが奇跡的に重なって、郷の皆には桃太郎が桜に強引に【迫って】いるように見えていた。
桜
「ギャーーーーーッ!!!
桃ちゃんのスケベーーーーーッ!!!」
桜の強力な平手打ちが、桃太郎の頬を打ち抜く。
桃太郎の頬に残った衝撃は、桃太郎に激しい脳震盪を招き、彼の平行感覚を著しく低下させていた。
地に這いつくばる事を余儀なくされた桃太郎の身体。
そして桃太郎が倒れている内に、桜は何処か遠くへと走り去って行ってしまった。
いったい何を言いに姿を現したのか?
桜は大きな謎を残したまま、その日は桃太郎の前に現れる事はなかった。
若い部下
「痛そう~!」
夜叉丸
「あれは立てないな。」
金時
「…潔く認めていれば良いものを…。」
女の子
「やっぱり大人だわ!」
おばあさん
「愚かな…。」
おじいさん
「…これも愛じゃ…!」
周囲で見ていた郷の皆もドン引き。
立ち上がる事も出来ない桃太郎を、助けようとする者はいなかった。
…しかし…
誰もが桃太郎を見捨てたかと思われたその時…
桃太郎の元へと歩み寄る、一人の女の子の姿が…。
その女の子は、救助された女の子の姉。
あの日、桜に妹を探す依頼をしに来た、桃太郎と同い歳の女の子。
その娘はゆっくりと桃太郎へ近付くと、いまだに立ち上がる事の出来ない桃太郎の目の前で足を止め、桃太郎を見下ろしながらたった一言だけ【こう】言った。
女の子の姉
「あの…桃太郎さん…。
妹を助けてもらっておいて何なんですが…
妹の教育に悪いんで【こう言う事】は謹んで貰えます!?(怒)」
それだけ言うと、女の子は桃太郎の元から両親と妹の居る場所へと帰って行った。
そして最後に憎悪と軽蔑の眼差しで桃太郎を睨むと、何も言わずに去っていってしまった…。
小太郎
「ふぅーーーーーッ!
やっと出られたぜー!
…あれ? …桃太郎?
お前、何でまたケガしてんの?」
鬼から命懸けで女の子を救ったと言う快挙。
…その全てを無にして、桃太郎の旅立ちは始まろうとしていた…。
しかし…
今の桃太郎には、家の外に出る気力さえ残されてはしなかった。
おばあさん
「はぁ!? 今更 旅に出たくない!?
甘ったれてんじゃないよ!
早く支度しな!!」
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