カゲロウ 最後の任務「死ぬ前に貞操を捨てる」
@s1280
プロローグ
暖かい朝日にチュンチュンと雀の優しい声が聞こえる穏やかな早朝。
客室にいる俺の前で黒い忍び服の陽炎(15歳)はチョコンと正座して出された茶を静かに飲む。
銀色の長いポニーテール、健康的な褐色肌に整った顔をしているがどこかあどけなさを残している。
目が小動物のように大きいからか。
だが、身体は成熟し切っていた。
両手で収まらないほど豊満な胸。
着物から見える胸はテカリ深い谷間をつくっている。
腰に縛られた帯はコルセットのようにギュウギュウに締め付けられているのかと疑い深くなる程に細い。
丈の短い着物の為華奢な脚が露わとなり肉付きの良い太ももがよく見える。
彼女を見ていると頭が爆発するほど脈打ち割れそうに痛い。討魔の魅惑的なくノ一に俺は興奮しているようだ。
「
と陽炎は茶で濡れた赤い唇を動かし小さな口を開きあっさりと俺に言う。
「ん、あぁ。まあな」
と俺は割れそうな頭に手で抑え空いた手を机に置いてある茶色い徳利を持ち陽炎が見やすいように顔まで上げる。
それには''カゲロウ''と黒い達筆で書かれていた。
討魔の者ならば赤子でも知っている劇物。
怪力無双な力、韋駄天の速度、振るう鞭すらもスローに見える効能を得るが一日しか持たない。
強すぎる毒ゆえに使用者は必ず死ぬからだ。
そして残念な事に解毒方法がない。
「血管が浮き出て肌と赤黒くなってるけど痛くないの」
と陽炎は机に乗り出し俺の額に浮かぶ血管を指でなぞる。
柔らかくて冷たい感触に頭痛は治まりゾクゾクして気持ちいい。
「いや、ただ心臓と頭がバクバク鳴って喧しい」
「あー、そうなんだ」
と陽炎は居ずまいを正すと彼女が持って来た草団子を食べる。
互いに背中を預けて助け合った同期の相棒が死ぬ間際だというのに平然としている姿は生粋な討魔のくノ一だと俺は感心した。
「そもそも誰にやられたの?」
と彼女は団子のない串で俺を指す。
分からないと俺は首を横に振る。
「朝起きたらこうなっていた、枕には分かりやすいようにコレ(カゲロウ)が置かれていた」
と俺はカゲロウを机に置き直した。
「屋敷の見張りは盛られて熟睡してしてたから始末した」
「だからここ(客室)以外死体が転がっていたのか、遊びに来た時は魔物の襲撃にあったかと驚いたわ」
と陽炎は嘆息して茶を飲む。
喉をこくこく鳴らしているだけの陽炎が淫猥に感じる。
毒のせいかなと考えていると茶を飲み干した陽炎は湯呑みを卓に置く。
「犯人捜しはしないよね、口外されない為に目撃者の見張りも殺したんだから」
「うん、頭領に知られれば今すぐ前線に行かされて死兵として使われるし」
頭領は冷酷だ。
毒で死にかけの俺に爆弾を抱えさせて笑顔で激戦地へ送り出すだろう。
それか実験体にされるか。
どちらに転んでも俺の行き着く先は最悪の死である。
「で、最後の時はどう過ごしたいの、忍びらしくひっそりと死ぬ」
彼女の問いにいいやと俺はキッパリと答える。
「女を体験してから死にたい」
童貞のまま死ねるかってんだ。
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