第16話 君は旅行へ、俺はダラダラ
テストが終わり、夏期長期休みに入った。
郵便でテストの結果が届いた。
結果は単位は落とす事はなかった。
目標の単位数まで半分。
後期も単位を落とさなければ、3年からは楽に過ごせる。
就活準備も余裕を持てるし、バイトも出来そうだ。
少し楽しみが増えてきた所で、俺は買い物しに部屋を出た。
※
麦茶パック、2Lのスポーツドリンクを1本。
あとは、醤油とサラダ油と砂糖と塩。
野菜は実家から送られて来たから暫くは買わなくていい。
肉は挽き肉。バラや切り落としより手軽だなと思う。
本格的に作る気はない。食べられれば良いのだ。
買い物を終えて帰宅する。
隣の隣の
関西方面と言っていた。
羨ましい。
なんだか、寂しくなってきたな。
※
「楽しいね!」
「ほんとにね~♪」
今は宿泊場所の旅館で寛いでいる。
美鈴の内定祝いを兼ねているこの旅行。
「明日帰るけど、お土産は大丈夫?」
と美鈴。
「大丈夫だよ!家族の分は送ったし、あとは
「ふ~ん」
美鈴は頬杖をついて、ニタァ~と笑う。
この顔、高校の時から苦手なんだけどなぁ。
「いつ、告白すんの?」
「ええっ!?」
ふいの質問に動揺してしまった。
「きっと、あっ君は、さらの事、好きだと思うけどなー」
わざと言葉を区切って強調してくる美鈴にイラッときたけど。
両想い?まさか。そんな感じしないよ。
まだまだ。
「もしかして、まだとか思ってる?」
「うん」
「ダメだこりゃ」
溜め息を吐いてから、人差し指を私の方に向けて、美鈴はこう言った。
「モタモタしていると、他の子にいっちゃうよ?」
グサッと心に刺さる。
「前に好きだった子とか、再チャレンジまたはその子に告白されたら、イエスって言うかもしんないよ?」
ウグッ…言葉で私を殺す気か美鈴は。
なんか泣きたくなってきた。
「さら、しっかりね~」
と言って、美鈴は突っ伏した。
「くわぁー…すー…くわぁー…すー…」
「酔ったんかい!」
地酒を呑んでいたから、美鈴は寝てしまった。
毛布をかける。
「美鈴の言う通りかも」
ポツリと呟き、私は1人考える。
本当に、両想いだと、良いな…。
※
「ただいまー!なんて♪」
「おぉ、清瀬さん。おかえりなさい」
「はい、お土産!」
「良いんですか?ありがとうございます」
清瀬さんが無事に帰って来た。
部屋に入る前に俺の所に寄ったのが分かる。
旅行鞄やキャリーケースがあるから。
「じゃっ、また連絡するね!」
「分かりました」
手を振って静かに扉が閉じた。
頂いたお土産、何だろう?
テーブルに置いて早速開封した。
「あっ…」
和の手ぬぐいが3枚。
袋から可愛らしい虎が描かれている手ぬぐいを1枚取り出すと、手触りが安物とは違った。
滑らかで、吸水性が良さそう。
これで夏を乗り切ろうかな。
大事にしないとな。
2枚目は猫が描かれている手ぬぐい。
そして、3枚目は気に入ったから保管しよう。
水の流れが綺麗に描かれていて、波紋が広がっている所が印象的な手ぬぐい。
あとの2枚は普段使いにしよう。
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