第4話

家に帰るといつも通り母が「おかえり。」と声をかけてきた。その瞳、優しそうな声色になんだか後ろめたさを感じて返事もそこそこに自分の部屋へ入った。

いったい誰が?なんの意図でこんな手紙を?と考えていると時間が過ぎてしまい、要は時計を見て焦った。勉強しないと、手紙のことは明日学校で考えよう、差出人はきっと同じ学校にいるはずだ。


手紙の差出人はすぐに見つかった。登校し、教室に入ると要はすぐに違和感に気づいた。見慣れない少年が窓際に立っていたのだ。要の席は窓際の1番後ろなので必然的に彼の方へ向かうことになる。

「読んでくれましたか?」

少年は穏やかに聞いてきた。

要は驚いて彼を見つめるが、なんとなくそんな気はしていたため妙に頭のどこかでは落ち着いていた。

「...あなたがあの手紙を?」

要は少し話題に出すのを躊躇ったものの、まだ教室には要と少年の他に三人しか登校してきていなかった。

「はい、お会いできて嬉しいです尾形先輩。」

少年は続ける。

やはり後輩だったか。しかし差出人は女の子だと思ったのだが、女の子のように美しい子ではあるが。

「僕は一年の羽崎です。また昼休みにうかがうので、待っていてください。」

一方的に言い放つと彼は一礼して足早に教室を出ていってしまった。

ハサキ?聞いたことの無い名前だ。急な出来事が続き要は少し混乱していた。しかしだんだんとクラスメイト達が登校してきてクラスが騒がしくなってくると、室内はいつもの日常を取り戻し、それに合わせるように要も朝礼の準備を始めた。

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