後漢サバイバー
@yatukigawa
第一回 輪廻転世乃虚構 現代人回真古代
男は酒を煽って居た。もう何本呑んだのか覚えて無いくらいに。店のカウンターには少なく見積っても数十本もの空瓶が並んでいた。店中彼に注目していたのである。
「…、お客さん、飲み過ぎだよ。今日はもうこの辺にしといたら?」
「あぁん!?るせぇ!金ぁ払ってんだ!飲ませろぃ、おぉ?!」
「おっさんキモ」
「何しよん?」
「ぶっ殺していいか?」
「止めとけ、世の中あんなんいっぱいいるから!」
「あぁ言うのを世の中の迷惑って言うんだ」
「あーあ、大人ってやだよね!何かあるとすぐお酒に逃げちゃうんだから!」
「いいか?将来はあぁ言う大人にだけはなるなよ?」
様々な罵詈雑言を浴びせられても男は気にせずに酒を飲んでいた。
「お客さん…、うちの店にはもうあんたにだす酒なんて置いてないよ!出ていってくれ!」
「クソが!だぁれが、てめぇんとこ見てぇな馬のションベンかも判らんモン出す店に来るかぁ!出ってたるわい!ウッ!オェェェェェッ!」
「彼奴やりやがった!チクショウ!」
「ウッ!貰っちまった…オロロロロロ」
酔った勢いで店の外に出た。その後、如何にも悪そうな人間数人と揉め始めた。
「てめぇ、コノヤロウ!」
「あぁ〜」
「おい、酔っ払い相手に何してんだ。それより、明日は定例会が有るだろ?準備に急ごうぜ?じゃ無きゃドヤされちまうぞ!」
「けどよぉ!」
「おい!どうなっても知らねぇからな!」
「安心しろ、酔い過ぎてるみたいだからちょっとだけ介抱しとくからさ!」
悪そうな男は酔ってる男の肩を担いで、路地裏へと消えていく。
「へっへっへっ!これで、誰にも邪魔されなくなるなぁ〜」
ガサゴソと財布を取り出し、確認したが有ったの42円だけだった。
「嘘だろぉ〜?見なり良さそうなのに、なんで42円しかねぇんだよ!あ〜、コノヤロウ…腹立ってきた。殴らせろ」
暫く殴り続け、酔った男は酔いが覚めて止めようにも衰弱しきって居た、殴る側の男も疲れたのか手を止めて煙草に火をつけていた。
「ふぅ〜、こんぐらいにするか、死なれても困るからな」
煙草をもう一口吸い終わるとそのままその場に投げ捨て、その場を去った。
暫くして、ゴミを路地裏の収集場に捨てに来た人間が驚き通報する迄には既に夜が空けていた。
殴られた男は目が覚めた。だが、其処は何時もと見慣れない風景が広がっていた。
俺は誰だ?ここはどこだ?ここで何をしている?ん?なんでだ?物凄く頭が痛い。昨日友達と飲み過ぎた。帰り際にすっ転んだのは覚えてる。だが、どうやってベッドまで来たかは謎だがな。
二日酔いか?意識が朦朧としてて体の節々が痛い。そして目を瞑った。他の事などどうでもいいが体調が悪い、早く運んでくれた人にありがとうと言いたい。
「将軍、起きて下さいよ!俺達ゃぁ将軍と一緒に戦場で暴れたいんですがね...」
うるさい奴だ、誰が将軍だ!俺はそんなに御大層な身分はしてねぇよ。うぜえな。
「あら?将軍起きました?医者呼んできやすんでちょっと待ってて下さいや」
いや、お前に待てと言いたいんだが、うーむ風邪だな。二日酔いではない。
意識がはっきりしてきた。よく見ると、モンゴルの包ゲルみたいだな。
先程の男が戻ってきた、どうやら一人ではないようだ。
「将軍入りますよー、医者の方をお連れしやした!」
「高将軍、お加減いかがですかな?」
はっきり、良くは無いと言いたい。そして俺は役者じゃないとも言いたい。
「うむ、目が覚めた時よりは良くなった。」
成る程と言いながら竹の棒を取り筆を出し、何やら書いていた。
そして、書いたものを渡して
「これが、薬の名前と処方箋じゃ。早う持って行きなされ」
分かりやした。と走り去ってしまう。
「あの…、一つ尋ねても宜しいでしょうか?」
はっ‼︎、と驚いた初老の医者は
「将軍!安静にして下され!風寒を患っております故」
「すみません、己のことを忘れてしまいましてお教え下さい。」
だって本当だもん!教えてくれ。
それから、転生した事を理解するまでにかなり時間を要した。
て事は、俺は三国時代に転生か〜...って!何で俺なの?おい!KAMISAMAヨォ!居るんだったら返事しやがれってんだ!くそゴミ野郎!
はぁ〜、待てよ?高順って確かあれだよな?呂布と一緒に処刑された呂布の唯一の忠臣だよな?嘘やん!曹操と劉備と天下の諸侯と戦うって?えええぇ〜!辛いわ〜、無いわ〜。風寒が更に酷くなった気がする。
そうこうしている間に張五と名乗った男が帰ってきた。
「大将!先生!戻ってきやしたよ!薬はこれで合ってるんですかい?」
「小兄弟、そう焦らずに先ず見せなさい。」
医者はそれ確かめ更に匂いを嗅いだ。そうすると医者は頷いて
「うむ、これじゃ。良いか、これを文火で一時辰は煎じゆっくりと飲ませよ」
「へい、と、所で文火って何ですかい?」
「ほっほっほ、これはワシの伝え方が悪かったのかのう?弱い火で一時辰煮ると薬になるのじゃ」
「判りやした。ありがとうごぜぇやす!」
俺は身体が重たいから横になってそれを見ていた。
「張五、張五!ゴフッ!ゴフッ!」
「大将!大丈夫ですかい⁉︎」
「俺はどれ程寝ておった?」
「丸三日...」
結構寝たな!まぁ、いいや。今はそれどころじゃないからな!むしろ五、六年後には斬首されるんだけど?過酷過ぎない?転生なら寧ろ、曹操とか劉備とかさ!チート出来るぐらいなのが普通じゃないの?嘘じゃん!呂布の部下とかやってられるか!あ、侯成とか宋憲らの気持ちが判かったわ!取り敢えず、高順について分析と言うよりか、俺の知っている事を思い返そうか。
えーっと?呂布の忠臣、呂布に従い各地を転戦する実直で勇猛な将軍でもある。『陥陣営』の二つ名を持ち特に濮陽の戦いでは曹操を窮地に追い込むが、典韋によって撃退され、反対に濮陽で追われると呂布の家族を護りつつ許褚と互角に戦えてるし、陳宮と共に徐州強奪や袁術と諮って劉備を挟み撃ち等に参加した。特に劉備攻めでは単独で関羽、張飛を戦術レベル破っているし、将軍としての能力に疑問がつきそうな夏侯惇も撃退する活躍も見せている。また、呂布の危機を何度も救っている。位か?尤も俺にできた芸当じゃないんダガナ…。
さ、後のことを悩んでも仕方が無いからな…、しゃあねぇ!取り敢えず目の前の戦争をどうにかするかを考えなきゃなぁ…。演義ならまだしも、正史は判らん!何故なら三国志にしろ英雄記にしろ登場回数が少ないんだよ!
陽人の戦いは確か、三国最強の傭兵団を率いる孫堅と華雄、樊稠、呂布を打ち破った戦いでもある。事前に準備しなきゃな!
「張五、済まぬが、これから戦の準備に取り掛かれ」
「けど、大将!その体じゃ…!」
「んな事言ってられるか!江東の虎が来るのじゃ!」
「へぇ…」
「急げ!他の者らも呼んで参れ!」
「へ、へい!」
程なくして、高順が率いる部曲の隊長格が集まって来た。呉資、章誑、汎嶷、張弘、高雅、魏種、趙庶らが集まり俺はこれから来たる戦に怖くなって来た。この体の中の人が入れ替わってるからな…。どうしたもんかねえ…。
「皆、済まぬな、病により暫くは迷惑をかけた」
「いえ、将軍の病が治られただけでも我が隊の士気は上がりますから大丈夫ですよ!」
「そうですとも、我らは高将軍の元で戦ってこそですから」
「将軍が動ける今、早く戦場に行きたいですな!」
「次は、どの様な戦いでしょうか?」
「将軍、ご指示を」
こんな事を言われても俺はどう戦うか、全くわからん!軍事なんてもん、俺の生きてた時代は戦争はおろか、悪口言っただけでもやらかしに入るんだからな…。
「我が部曲は何人居る?」
「三千人は居ますが」
「三千人も居れば十分じゃ」
さて、先ず確認した事だが、うちの隊…、全員騎馬やんけ!乗れるか!あんなもん!俺が乗れるのは四輪オートマセダンまでだ!もはや、機械ですらねぇ…。自分の意思きっちり持っちゃってるよ!
「そうか、判った。皆それぞれ百ずつ率いて戦に備えよ」
「「ははっ!」」
「張五、残れ」
「へい、何でしょ?」
「今から馬の乗り方を教えてくれ…」
「へい」
あ、こいつ絶対に馬鹿!疑えよ!良い奴かもしれないけど!ここはちゃんと一回疑えよ!
この後、馬に乗った瞬間張五に聞いた俺が馬鹿だった、だって、身体に染み付いてるんだもん槍、剣、弓等も一通り使えるようだ。
「よし、呉資ら六人を俺の営帳に呼んで来い」
「へい!」
诺!
クソォ…、負け戦なのは確実なんだよ!問題はどう撤退するかなんだよなぁ…。考えろ、考えろよォ〜?きっちり考えなきゃ二度目の人生一日も経たずに終わるぜ?積みまくりじゃねぇか!六人に来てもらった。
「集まったな?よし、これからどう動くかを指示出すからきっちり聞いとけよ?」
「「はっ!」」
「先ず、今回は負け戦だ。将兵の殆どは死ぬだろう、ならば、我らは如何に少ない死傷者で軍を退げるかにかかってる!良いか?戦場で一番みっともないのは死ぬ事だ、逃げる事では無い、人間生きてれば何時でも巻き返せる!良いな!何時如何なる時も死ぬ事は許さん!戦うのはどうしようも無い時だけじゃ!」
「は、はっ!」
「張弘、高雅!」
「はっ!」
「寨周辺の地形を見てこい、退路の確保と敵の撹乱に役立つだろうからな!」
「畏まりました」
「呉資、章誑、汎嶷、魏種、趙庶は胡将軍の部隊に紛れ込め、張五に合図させるから其処から撤退しろ良いな!」
「はっ!」
「以上だ!休息しつつ何時でも動けるように!」
「「はっ!」」
病み上がりは辛いぜ!これで、自分達の配置は完了した。あとは、総大将の胡軫、副将の華雄、呂布がどう動くかにもよるけど考えるのもかったりぃな。取り敢えず、寝るべ!高順になった男はそのまま寝た。緊張からか、寝汗をかいて熱が下がり、起きた頃にはすっかり元気に成っていた。
寝れなくなったので暫く練武するしか無く、身体を動かしていた。緊張で動けないだけ何だけどね!
「あれ?大将、寝ないんですかい?」
「む、張五か、眠むれなくて少し筋骨をほぐそうと思ってな」
「へぇ〜、でも普段、呂都尉のお相手さなってるもんですからてっきりだいぶお強いと思いますが?」
うん?俺はその発言に少しばかりの感謝を言いたくなった、呂布と手合わせをしなきゃいけない事実を俺は事前に知れたからね。いざ手合わせをしろと言われても聞いてねぇよ!とキレそうな自分が思いつくからな。
「だからこそよ、都尉と何時手合わせをするか分からぬ故、寸分の油断も出来ん」
「へぇ…、だったら、あっし、大将に一つお願いがありやして…、聞いて頂けやすかい?」
「言ってみろ」
「あっしは、自分の武芸に自信が無くて…」
「ほぅ?それで良く今日まで生きてこれたな?」
「へい、情けねぇ話なんですがね、正直あっしは死ぬ事が怖いんです」
「そうか」
「だから、大将!俺に槍の扱い方を教えてくだせぇ!」
素直で宜しい、教える自信…は無い!でも教えなきゃこいつ死ぬだろうなぁ…。位置的にそこら辺の甲乙丙丁扱い出しな!
「よし、一人のよりも人が居た方が良いしな!」
そもそも、槍の基本は刺す、払う、受けの三つで其処からどうバリエーションを増やすかは個人にかかっている。
「大将、あっしはどうすれば?」
「先ず腰を落として構えて見ろ」
「へい、で、でも大将、これ何時もやってる事だと思いやすが…」
「基本がなんじゃ!お前はあれか?うちの呂都尉より強いのか?」
「い、いえ!」
「じゃあ、やれ」
「へい!」
センスは良い方だ!流石呂布軍の一員だなぁ…。強将の下に弱卒無しって言うしな〜。
「ぜぇー…、ぜぇー…、大将ぉ…、どうでしょう…」
「うむ、筋が良いな!鍛錬を怠るなよ?」
「へい…!」
営帳に戻り休んだ。色々と頭の中で纏めてこれからどうするかを考える途中で記憶が途切れた。
「大将、大将!起きてくだせぇ!」
「うーん」
「呂都尉がお見えになられましたぞ!」
「…、ゥ〜ン、誰?」
「…、ほぅ?貴様、いい度胸しておるでは無いか!」
「あれ?奉先兄?」
「…」
嘘?呂布やん!ゴキブリの触覚みたいなのがねぇ!
「フォウ!?」
「ほぅ?風寒を患ったと聞いたが、思ったより元気そうだな」
「…、良き医者に巡り会えたものでして、良くなりもうした」
「そうか、間も無く胡将軍が昇帳するから貴様も本営に来い」
「はっ!」
えぇ〜、高順って偉いポジションなんだな…。そこそこ強いと思ったけどね、まさかここまでとはな…。
「大将、こりゃ行かなきゃ不味いッスね」
「うむ、行きたくは無いがな…」
さてはて、何時までも夢物語だと思ってると永遠に夢を見る羽目に成るからな!先ずは生き残る!それ以外は後回しだ!
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