第46話 処遇

松井の処遇について、隆元は元就へと相談を持ち掛けた。

「あの者は、悠月の学友であり、意見の相違ゆえに尼子に付いたようです。父上、できれば温情をと思うのですが……、いかがいたすべきでしょう?」

「無下に血を流す必要もなかろう。先の戦でも多くの血が流れたからの」

「確かに、そうでございますな」

「無罪放免、と言うことにはできんが、従軍すれば恩赦ということにいたそう」

「かしこまりました、父上」


隆元は先に、悠月とくるみにどうするか、を話した。

「いわゆる条件付き、ということですね」

「そうじゃ」

「でも、説得できるかしら?」

くるみは冷静に言った。

松井はそもそも、毛利……、正式には毛利史を疎んじて尼子に入り、歴史を変えようとした、という動機がある。

「なんとか説得しよう」

悠月は強く言った。


松井は地下牢の中で呆然としていた。

「松井」

「悠月、どうして?」

「元就様や隆元様が条件付きでお前を解放するって」

「条件?」

「……受け入れがたい条件かもしれない」

「良いよ、聞くから話して」


悠月は隆元から聞いたことを伝えた。

無罪放免で、というわけではなく、松井自身は好まなかった毛利に追従することで解放すると言う条件。

松井はそれを聞いて黙りこくった。


「どうするかは松井が決めればいい」

「少し、時間が欲しい……」

「そりゃそうだ。まあ、俺としては一緒にいて欲しいけどさ」

悠月は少し照れくさそうに言った。

「悠月……」

「二、三日時間がもらえるよう頼んでくるよ」

「うん……」

松井は悠月の後ろ姿を見送った。


「僕は……どうすべきか」

松井はただひたすら、刻限まで考えることにした。

どちらに転ぶか、ただ悩みながら。


そして、三日後。

隆元は悠月を伴い松井にどうするかの返答を聞きにやって来た。

「松井……、どうするんだ?」

「僕は……」

松井は口を開く。

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