第4話

 美桜は、予期せぬエラーが発生した状態で、【始まりの街】へと転送された。


 目を開けると、そこには活気あふれる中世風の城下町が広がっていた。


「わぁ……ここがVRMMOの世界なんだ!」


 私は思わず感嘆の声を漏らした。建物の一つ一つがしっかり作り込まれていて、まるで本当に異世界に来たような感覚になる。


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 改めて、この【Free World Online 通称:FGO】について凄く簡単に説明します。このゲームはリリースから3日が経過しており、プレイ人口は全世界で5億人以上いる大人気のVRMMORPGです。この世界は様々な種族が存在しており、剣や魔法でモンスターと戦うのは勿論、鍛冶や裁縫、木工に料理、釣りなんかも可能です。また土地を買い、農作物を育てたり、家を建てて仲間と住むことも可能です。ファンタジーな世界で第2の人生を楽しみましょう。


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 ・・・さて、どうしたものか。


 サクラは悩んでいた。何故なら、ゲームほぼ初心者なのでここから先どうしていいか分からない。とりあえず、ステータスを確認したいのだが、操作コマンドが分からない。


 ・・・まぁ、ここで立ち止まっても仕方がないから、街中でも歩いてみますか。


 10分位、街中を歩いているのだが、私に集まる視線が多い気がする。・・・ただの私の気のせいだろうか。


 そう思っていると後ろの方から「おーい!」と聞き慣れた声がしたので、振り向いてみると、姫和がこちらに向かって走ってくるのが見えた。


「お!やっとログインしたんだーーって、あれ?なんでツノ生えてるの?しかも、羽も生えてる!白いのと、黒いの!」


 ツノ?羽?会って早々、私の親友は何を言っているのだろう。幻覚でも見えてるのかしら?


「・・・ヒヨちゃん、ツノなんて生えてるはずーー」


 ・・・ん?なんだ、頭の上にある硬いものは。


 どうやら、私に視線が集まっていたのは、このツノと羽が原因のようだ。


 一体、何が起きているのか分からずにキョトンとしていると、


「え!今まで、ツノと羽が生えてることに気づいてなかったの!?なにそれ、笑える!」


 と姫和に笑われた。


 ・・・だって、私あまりゲームしたことないんだよ?しかも、ツノと羽が生えてるなんて思いもしないじゃん。


 そういえば、作り込まれたこの世界に感動して忘れていたが、エラーが発生した状態でログインしたことを思い出したので、私は今まで起きたことをありのまま姫和に話をした。


「んー、エラーが発生した状態でログインした、なんて今まで100本以上ゲームしてるけど、聞いたことないなー。」


 ・・・ゲームオタクの姫和に聞いても分からないかー。

 一体、何だったのだろうか。

 

 そう思っていると、姫和が何かを思い出したのか、「あっ!」と大声を出した。


「思い出した!ウワサでしか聞いたことがないんだけど、この【Free World Online】には10つのレア垢が存在するらしいよ!この現象と何らかの関係があるのかもしれないね!」


 ・・・レア垢の存在、か。


 ん?レア垢ってなんだろう。レアってことだから、通常とは違う特別なアカウントってことかな?


「さっきから思っていたけど、こっちの世界で本名を呼ぶのはタブーだよ!うちのことは『シャーロット』って呼んでね!そういえば、ステータスの確認方法って分かる?」


「・・・分かりません。」


「えっとー、右下にあるアイコンをーーー」


 シャーロットに教えてもらった通りに右下にあるアイコンを押すと、半透明の青いパネルが展開され、ステータス画面が表示された。


 

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 名前:サクラ

 性別:女

 種族:“半神半魔”

 称号:“神と魔王に愛されし者”


 【Lv】1

 【HP】500/500

 【MP】600/600


 【STR】350

 【VIT】300

 【INT】700

 【AGI】600

 【DEX】400


 【ユニークスキル】

 《神々の加護》:内容未定※決まり次第、記載します。

 《魔王の加護》:内容未定※決まり次第、記載します。

 《神眼〔右目〕》:未解放。使用不可。

           解放条件:?

 《魔眼〔左目〕》:未解放。使用不可。

          解放条件:?

 《スキル融合》:特定の組み合わせでスキルを合成し新たなスキルを習得できる。※合成元となったスキルは消えずに残る。


 【スキル】

 《HP自動回復Lv.1》:時間経過によってHPが少し回復する。

 《獲得経験値アップLv.1》:モンスターを倒した時に得られる経験値が1.5倍になる。

 

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「・・・え?なにこれ。」


 ステータスを見た私は、言葉を失った。


 明らかに、普通じゃない。人間じゃない。

 私は今……“半神半魔”になっていた。

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