第2話 君のこと
僕は君の生活に欠かせない。
僕がいないと
君の行動範囲はとても狭くなるんだ。
先輩から僕を譲ってもらえると聞いて、
君はとても嬉しそうだった。
たとえそれは僕じゃなかったとしても
そうだったのだろうけど、
僕はこの出逢いが運命に思えた。
君は製造業の事務職として働いている。
週休2日、平日9時から18時まで。
最近は残業が多くて0時になっても僕はまだ停められたままなときもある。
そんな日の帰り道はだいたい
悲しい曲が流れる。
家までの10分間、僕はただただ見守る。
いつもいつも見守ることしかできない。
人間はなぜ
こんなにも自分をすり減らして
働くのだろう。
一丁前にこんなことを考えてしまう。
君はあんなに明るく笑えるのに、
どうして、って。
君にいつも笑顔でいて欲しい
それだけなんだ。
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