第5夜 大陸の情報収集と魔法について
「詐夜子様、今日はしっかりと体を休めてくださいね?」
「……日奈、私は」
「い・い・で・す・ね!?」
「……はい」
日奈に怒られた私は、体の傷が落ち着くまで図書館を出禁にされた。
……確かに、急を急いてしまったが日奈の怒りも最もだ。
日奈は深い溜息を吐きながらも私のベットにいくつか本を並べてくれた。
「……とりあえず、詐夜子様に言われた本は持ってきましたよ?」
「ありがとう」
「詐夜子様は読書好きなのはわかりますが、勉強するっていう理由だったら、すぐ返してもらいますから! いいですね!?」
人差し指を立ててぷりぷりと怒っている日奈に可愛らしさを感じつつ必死に表情に出ないことに努めた。
……私の専属メイド、可愛い。って、そう考えている場合じゃなかった。
「日奈、私一人で読書したいわ。部屋に籠るから、また昼になったら食事を持ってきてくれる?」
「わかりました! では、失礼します」
日奈は数回、私の方を確認しながら二、三度他所を見たりしつつ、こちらをじっと覗いてからその場を去った。
……流石私の専属メイド、疑い深いわね。
「……ふぅ、さて」
まず、私が読むのはこの世界についての本と魔法に関しての本だ。
先に私はこの世界の本について調べることにした。
まずこの世界の名称。無冠之檻、それがこの世界の名称だ。
地球と呼ばれていた世界と絶対的違いである名称であり、なろう作家だった白崎の情報では完全に異世界と認識すべきなのはわかっている。
無冠之檻の大陸の名前は全部で七つ。
一つ目は、告鵺国を首都としたジャナープ大陸。東にある島国の総称を現す大陸名だ。主に飛び立つ鳥を思わせる大きな島が告鵺国が占めている。
他に小さく孤島があるのを確認するに日本っぽい国と見受けられる。
ここがまず私たちがいる土地とも言えよう。
「……音での言語は日本語なのよね」
言語に関することも後日調べるとして、他国のことも読書という形なら日奈も拒否しないはずだ。上手く言いくるめないとな。
二つ目、北東にあるプレオ大陸。プレオ大陸はジャナープ大陸より大きめな孤島が目立つ大陸だ。花を思わせる大陸で、綺麗な印象を抱く。
三つ、プレオ大陸の下にあるカフリア大陸。産業が豊かな大陸のようだ。
四つ、ジャナープ大陸の下にあるアストラリア大陸。アストラリア大陸は自然が豊かで農家が多く、新婚旅行が有名な国があるとか。
五つ、ネクティカタール大陸……無冠之檻の中で凍土とされている大陸だ。機械都市ともされている場所で、天気の管理をされている大陸でもある。
六つ、ソウノウス大陸。七つの大陸の中で一番大きな大陸だ。
大陸の中で有名な都市国家が多く存在するところのようだ。最後に七つ目の大陸、イドラシルグ大陸。世界樹とされている大海原の中央に存在する大樹の島だ。
……地図に書かれてあるのはこの程度か。
あくまで地図を見ているだけだから、大体の土地が知れたのは良しとしよう。
「……けど、どことなく地球にも似ているような雰囲気はあるわね」
主にその点が不思議な点だ……名前に共通点があるようには見えないし、よくわからないがそこはスルーしよう。で、ライトノベルや漫画でも異世界物作品に触れる時に気になる枠組みの一つ……魔法だ。
魔法に関しては各国でそれぞれ異なる名称があるらしく、告鵺国での呼び方があるらしい。他国も他国で違う言い回しをするらしいが告鵺国の魔法は全てで七種類。
混乱しないようにゲームでいう属性を先に言ってから名称を呼称することにする。
火属性は
光属性は
……火属性と光属性の赤鴉も陽鴉も、どちらも八咫烏を差す言葉ではあると思ったが、赤が火で陽が光とも受け取れるから変ではない、か?
ちなみに魔力を持たない人間は
……この国、やたら夜とかカラスが好きなんだな。
「……ふぅ、一旦これくらいかな」
……知識としては、一般常識クラスの物を知れただろう。
後は、告鵺国のことだが、今回はいいか。
だが、私に魔法の適性があるかどうかを調べてみるのもいいだろう。
「体調がもう少し落ち着いてからじゃないと日奈が許してくれそうにない、か……」
専属メイドに心配をかけすぎるのはよくない、よな。うん。
軽く体を伸ばし、本をテーブルに置いてからベットの中に入る。
「もうひと眠り、しよう……」
毛布をかぶって詐夜子は、ゆっくりと眠りについた。
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