そのかんじょう

 

 あれから僕は、チームを抜けた。

 そして僕は、待っていた。

 仮面の男を、あの人を。

 

 現実時間はあっという間に1週間、1か月と過ぎてその間にあった図書の怪物ライブラリアスとの小競り合いには結局、仮面の男は現れなかった。

 その上、喫茶店にも。

 僕に正体がばれたから現れなくなった?

 あれは早計だった……?

 解決を早める僕の悪い所だ。

 でも、気になったら止まらない。

 僕は網を広げた。

 所属していたチームからその友人へそのまた友人へと網を広げ情報を集める。

 

 そうして集まった情報を何夜もかけて解析をする。

 成績を落とせないから大変だった。

 でもそのおかげで分った事があった。

 仮面の男はかなり広範囲に出現していた、と言う事だ。

 でもここの所は現れていない。

 現実世界とは隔離された世界の話だからと納得しそうだが。

 沖縄から数時間後には北海道、みたいなレベルで移動していた。

 チートだ。

 あの男はもしかしたら運営側?

 でもあのカップの動かし方は、あの人と瓜二つだった。

 考えて、考えて、僕は思った。

 僕は、あの人が、好きなのかも、知れない。

 

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