第2話 般若の鬼
◆◆◆ 渡辺源次綱
平安京の治安を担う
そんな
昨今、都で
事の重きをみた朝廷は、
源頼光は早速、配下の一人、頼光四天王と称される、
嵯峨源氏の血統を漂わせる
捜査の結果、渡辺源次は三条大路の地が
◇
「源次よ。今回は正体不明の“もののけ”じゃ」
「気を付けて事にあたってくれ」
源頼光と渡辺綱が自宅の部屋で二人、酒を飲んでいた。
部屋には灯りが二つ、男所帯の簡素な部屋である。
「頼光殿」
「
源次は、並々に注がれた酒を一気に飲み干すと
そして、手元に置いていた黒鞘の
「この
源次は目を見開き、半抜き太刀を両手で持ち、頼光の前に
危険な任務に対して、その決心の固さに頼光は止めるすべが無かった。
◆◆◆ 般若の鬼
若武者・渡辺源次と般若の鬼は、正面で対峙していた。
「ふふふっ。中々生きが良いのう……」
「今宵……そなたを、我が屋敷に連れ帰ろうぞ」
般若の鬼は爪に付いた源次の鮮血を美味そうに
源次は、へし折られた薙刀を投げ捨てると、引き裂かれた着物の
源次は、大きく深呼吸をし、糸の様に息を
腰を低く構えると腰の
般若の鬼がニヤリと笑う。
「腕一本ぐらい……よかろうか……」
般若の鬼が、前にゆっくりと進み出る。
源次は、間合いを取る為に後ろにさがる。
鬼は地面を蹴ると
ジャリと地面を斬る音と共に小石が飛び散り土煙が舞う。
源次は大鉈をあしらいスルリと刃をかわしたが急いで後ろに飛び退る。
地面から大鉈を抜くと大きく振り被り、縦に横にと大鉈を振る。
刃をかわす源次だが、
足元にへし折られた薙刀が
「カンンッ」
般若の鬼は投げられた薙刀を大鉈で振り払う。
「りゃあああぁぁぁ」
源次は薙刀を投げると同時に跳躍し、般若の鬼の首めがけ太刀を薙いだ。
般若の鬼は一太刀をかわす……が、剣先が顔をかすめた。
真っ白な
肩が震えワナワナと腕が小刻みに震える。
「
「
「この私の美しい顔に傷をつけるなどっ!」
肩が上下に大きく震え、怒りで牙を
「真っ二つにしてやるわっ」
目が吊り上がり、開いた口から白い牙と
源次はスルリとかわす―――。
と同時に
源次の首を
「ぎゃああああ」
「お、おっ
般若の鬼は
髪を振り乱し、恐ろしい
「貴様あぁぁぁっ。覚えておれっ!」
吊り上がった目で源次を
時が止まった様に辺りに静寂が訪れた。
源次の足元に斬り落とされた般若の鬼の
その腕は、
静かな闇夜に獣の遠吠えだけが辺りに響いた。
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