第6話 マスターズ ダイニチ
『我々はマスターズ!GMを超えた神となる存在だ!
君達プレイヤー諸君に元の世界に帰る手段はない!
数日もすれば元の世界で植物状態の君達は脳死判定され、肉体は葬儀に出される事だろう。
しかし安心して欲しい!この世界で生きれば良い、家庭を持ち、子を育てるが良い!
今迄はゲームだったが、これからはここが君達のリアルだ。
この世界での死は現実の死だ、生きていれば良いこともあるさ!
君達の事は我々マスターズが見守っている、一日も早くこの世界に馴染み、現状の様な野蛮な行動は今後慎む様に!
またこの世界なんだが実は危機に瀕している、これを何とかするのもプレイヤーである君たちの使命と言える、自分の命のため、世界のため励めよ!俗物共!!!』
今迄もGMチャットとしてゲーム中に運営から音声放送が流れていましたが今回もそれでしょうね、であれば私からの問いかけもログで見ているかも知れません。
「マスターズとやら、目的は何なんです?私達をこちらに閉じ込めても貴方達の利益があるとは思えませんが?」
試しに声に出して言ってみました、こちらのログを取っているなら通じるでしょうね。
『ハハハ、我々に問い掛ける者が複数いるな、それは我々のアバターを探して直接問いただすが良い、上手くいけば戻れる方法も見つかるかもしれんぞ?』
私の様に試しているプレイヤーが他にもいるのでしょう。
「マスターズさん、個人的にでもいいので先程の回答を貰えませんか?」
『良かろう、トッププレイヤーの白銀には特別だ』
GMコールで使われる個人向けの音声チャットに切り替わった様ですね。
『これは世界規模の移民計画なのだ。まずはゲームとして世界に馴染んだものを送り、その後は大規模な移民が始まる。
今言えるのはそんな所だな、それ以上は我々マスターズを探し出して直接聞けば良い』
皆はこれからどうしようとか色々話し出している、どうやら私だけに聴こえるよう個人チャットのようですね。
そしてGM達のアバターが何処かに居るんですか?
この世界に閉じ込められた子供や家族を持つ親達はどうなるか考えているんでしょうか?
親が死ねば、子供は親戚や孤児院に行くしかないというのに、私自身が幼い頃に両親に先立たれ、親族たらい回しにされた結果、人間不信になった経緯があり、無性にこの無責任なGMに腹が立ちました。
最後に世界の危機とやらに関しては我々で何とかしろと???
あえて声に出してGMを挑発する。
「貴方達は断じて神などではありません、たまたま作ったゲームがこの世界とリンクしたんでしょう?
この世界に取り残された親や子供達、残された家族がどうなるか、想定もせずにこんな事をやらかしたのでしょう?
私は貴方達の身勝手を許しません、とはいえ原住民の皆さんに迷惑を掛けるのも嫌なので、落ち着いたら貴方達マスターズを1人残らず狩りに行きます、首を洗って待っていて下さいね」
ギョッとする友人たち、マルさんは私が個人チャットしていると気付いたようでニコニコしながら様子を見ています。
『不遜だぞ!プレイヤー如きがッ!
良いだろう、今から神である私自らが貴様を断罪するッ!』
個人チャットが切れました。
外から雷鳴が轟く、原住民の皆さんは神の祟りだと叫んでいますが、ただの演出に過ぎません。
『愚かなプレイヤー、白銀ショウよ!ギルドから出て我が神罰を受けるが良い!』
周囲に大音響が響き渡る。
「どうやらGMの1人が釣れたようですね、私1人が出て始末します。貴方達は皆が出ない様にしておいて下さいね。さて、指名が入りましたので行ってきます」
私は部下のNPC魔族達にそう言うと外に出て、念の為ギルドの周辺に色付きの結界魔法を張っておきました。
これで中からも外からも出入り出来ず、赤い膜で覆われているので私の正体がバレる事もありません。
私が外に飛び出ると、雷鳴と共に黄金の仏像の様な3メートル程の生き物が現れました、神族でしょうか?
『我はマスターズの1人、ダイニチ!今から貴様に罰を与える!』
《オイ、俺にヤらせろ!》
《ボクでも良いよね?》
Aとアキラですね、残念ながら今回は譲る気はありませんよ。
《彼は私の逆鱗に触れました、こういう一方的に理屈を押し付けてくる無能な大人が一番嫌いなんですよね、このまま私がやりますよ》
《…》
どうやら判ってくれたようですね。
「さて、GMは甘いですね、私のデータを知っているでしょうに、殺される準備は出来ていますか?
お願いですから、知ってる事は生きている内に色々喋って下さいね?」
世界樹の杖を構え、捻る。
スラリ、と両刃の直刀が杖の中から出てくる、私の世界樹の杖は仕込杖になっています。
『ヌ?貴様は賢者ではないのか?どうして剣を構える?』
「貴方は本当にGMですか?私のステータスを知らないんですか?それにこれは剣ではなく刀ですよ?
どっちにしろ、手足を斬って、それからお話ししましょうか?」
『待て!このアバターは魔法特化なんだ!物理での攻撃はそんなに強くないんだ!』
バカですね、わざわざ弱点を教えてくれましたよ。
私はゴーレムに突撃を指示しました。
突っ込むゴーレムに雷撃魔法で対応するダイニチ、プレイヤーとしては素人以下ですね、土の塊に電撃など、効くはずがないでしょうに。
折角の雷撃も全く無駄です。
「ゴーレム、ダイニチを取り押さえなさい」
私の指示に従い、ゴーレムがダイニチの腰に手を回して固定する。
抵抗して暴れるダイニチ、さながら特撮の怪獣バトルの様ですね。
ゴーレムに捕まる大仏像、かなりシュールなのでスクショを撮っておきましょう。
私は飛行魔法でダイニチに近付いて、世界樹の仕込杖を2閃させると、ダイニチの腕が落ちました。
『ぎゃあああッ!なんで?
痛みはフィードバックしない様に調節している筈なのに!?』
硬度も大した事はありませんね、私は擬態を解くと、本来の姿でダイニチの前に空中停止しました。
私の本来の姿は魔王族というレア種族です、青白い肌に銀髪、二本のツノが頭から生えており、瞳は真紅です。
ただ、この姿だとあまりにも悪目立ちし過ぎるのともう一つ理由があり、普段は天使族に擬態して冒険を楽しんでいます。
「さて、私の質問に答えて貰いましょう、マスターズは何人居ますか?」
『ひいッ!イテェ、痛いよ!?なんで?魔王族がココに居るんだよ!
魔王族は魔国から出れない筈だろう!』
「それは私が決めた魔国のルールですよ、実際に制限を掛けているわけではありませんし、目的も希少な魔王族を守るためです、さて、答えないと足も切り落としますよ?」
『あああ、ヤメて!俺あわせて全員で12人だ!もう解放してくれ!』
「まだですよ?貴方は私のステータスを知らなかった様ですが、ナゼです?」
『もともと俺はデザイン担当なんでプレイヤーのステータスなんぞ見てないんだ、それに数か月前からプレイヤーのステータスが見れなくなったんだ。
主任は管理者権限がどうとか、リンク前の調整とか言ってたが、、、
もう良いだろ?助けてくれ!!!』
数ヶ月前から、と言う事は私のステータスは全く知らない訳ですね。
「まだダメです、この世界の死は本当の死で間違いはありませんか?」
『ああ、そうなんだ!何故?ナゼ?ログアウト出来ないんだッ!
オマエラは元の世界に完全に見捨てられたんだッ!
ハッ!?
俺も、俺も捨てられたのか?
ククク、カカカッ!
皆死ぬんだ!
死ね死ね死ね死ねッ!シネば良いんだッ!』
ダイニチが泡を吹いて白目を剥く。
「狂いましたか、もう話は聞けなさそうですね」
私は世界樹の仕込み杖を構え、ダイニチの首を一撃で刎ね飛ばし、自身に再度擬態を施す。
こんな事なら本来の姿を晒すまでもなかったですね・・・
ダイニチの死体がエフェクトとともに消え、2メートル程の大きな黄金仏が残っています。
やはり先ほど見たプレイヤーの死と同じようにモンスターを斃したときと同じエフェクトです、この世界の人達の死体は普通に残っていたことから、我々プレイヤーはモンスターと同じ扱いなんじゃないだろうか?
結界魔法を解くと、皆を呼びました。
「皆さん、脅威は去りました。出てきても安全ですよ」
皆が出てきて目を丸くしています。
マサシさんが巨大な黄金仏をコンコンと叩く。
「オイ、ショウ、これ純金だぞ!?」
「ふふふ、神族を退治したご褒美でしょうかね?」
皆が呆れ顔でこちらを見ています、さて、マスターズ、元の世界から見捨てられた、気になるキーワードがいくつかありました、考える事、やる事が山積みですね。
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