132――隠し味

 梅雨は娘を美味くする。しっとりと、艶やかに。

「しかし蒸し蒸しですな」

「それが秘訣なのですよ」

 豊潤な香り、滴り落ちるつゆ。ドリップ式ならぬドロップ式。


 ここはカフェ・夢三十夜。

「こちら六月限定ティー【ジューンブライド】でございます」

「ふむ。ほんのりと酸味の効いたセクシーなお味ですなぁ」

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