第28話 奪還

 現地の捜査当局がテログループの身柄を拘束。


 このニュースが目に飛び込んできた瞬間、俺はイスから飛び上がってガッツポーズをかかげていた。

「よっしゃー!!!」

 思わず大きな声が出てしまった。近所迷惑だ、気をつけないと。


 これで、再びテロが起きる可能性は低くなった。そう考えたのは俺だけじゃなかったようだ。チャートを見れば、ダウ平均株価はすでに500ドル高を突破している。


 よし! これでひとまず安心だ!!


 けれど、明日のためにもう寝よう。という気持ちにはなれなかった。株価はどこまで上がるだろうか。という期待感が眠気を吹き飛ばす。俺はそのままノートパソコンの前で監視を続けた。


 午前2時30分。ダウ平均株価は、前日比700ドル高と800ドル高の間を行ったり来たりしていた。

 どうせなら、1500ドル戻してくれ! さっきから願いをこめてるが、世の中そんなに甘くはいかないか……。


 と思った瞬間、株価がさらに上を目指し始めた。前日比800ドル高をあっさりと抜けて900ドル高も通過。ついには1000ドル高も突破した。


「なんだ? 何が起きたんだ!?」

 歓喜と興奮で心臓がバクバク波打っている。ネットを検索すると急騰の理由はすぐにわかった。


 主要国の中央銀行が、金融市場の安定化のためにさらなる流動性を提供する準備がある。と共同で声明を発表した。


 このニュースが原因だ! テロが発生した日も各国の中央銀行は声明を出していたが、相場が戻り出したタイミングでの追加処置の発表は効果もデカい。


 勢いを増したダウ平均株価はさらに上昇し、前日比1100ドル高、さらに1200ドル高と上げ幅を広げる。俺のテンションもバク上がりだ!

「うおー! USA!! USA!!!」

 俺は絶叫し両手の握りこぶしを天につき上げた。


 いけ! いけ! ドンドン上がれ!! 祭りだ祭りだ!!!


 午前6時。アメリカ株の取引は終わった。ダウ平均株価は前日比1400ドル高。たった一日で急落前の水準を奪還した。

 これなら、今日は日本株にも買いが入るはずだ。


 まさか、サクセスバイオだけが売られる。なんてことはないよな……。

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