第18話 大規模テロ
12月29日。仕事納めの翌日、俺は実家に帰省していた。夜は地元の友人と久しぶりの飲み会。楽しみだ。
実家でゴロゴロしながら、スマホでサクセスバイオをチェックしてみる。株価は1242円。最近は1200円台でもみ合っていて、今日も大きな動きはないようだ。もう少し下がったら買いたいんだけどな……。
黒月さんに占ってもらってから2週間以上が過ぎた。その間に、証券会社に口座を開いて入金したし、スマホツールの使い方もだいたい覚えた。けれど、まだ売買はしていなかった。
どのタイミングで買えばいいのか、そもそもサクセスバイオみたいな会社を本当に買っていいのか。考えれば考えるほど迷ってしまう。
サクセスバイオや他の株について調べていると、時刻は午後6時40分になっていた。もうこんな時間か。そろそろ行かないとな。俺は実家を出て、駅前の居酒屋にむかった。
約束は午後7時。その少し前に到着すると、居酒屋の前にはすでに友人たちが集まっていた。久しぶりの再会。みんなあんまり変わってないな。そのまま俺たちは、談笑しながら店に入った。
学生時代の思い出話や、社会人になってからの仕事話。話題が尽きることはなく、飲み会は大いに盛り上がった。やっぱり気心知れた友人と飲むのは楽しい。悪酔いした栗栖さんに絡まれた会社の忘年会とは大違いだ。
「うちの会社にメチャクチャ酒癖が悪い先輩がいて。年末の忘年会で絡まれてひどい目にあってさ」
せっかくだから、あの時のことをネタにしよう。
「ああ。うちの会社の部長も、酔っぱらうと同じことを何度も話すんだよ。でも本人は何も覚えてないっていう」
友人の一人、ケンちゃんが話しに乗ってくる。
「うちもそれ。株でかなり儲けたらしくて、これからは投資の時代だ。お前も投資を始めろ。って繰り返すんだよ」
「投資かー。じつは俺も最近始めたんだよ。まあ、余裕のある範囲でちょこちょこ株を売買してるだけだけどな」
ケンちゃんの言葉に、みんなの注目が集まる。
「へえー、すごいな。どんな株買ってんの?」
「やるな。ケンちゃん!」
ケンちゃんの頬がゆるむ。その表情はどこか得意気だ。
「全然大したことないけど、ちょっと見てみるか?」
彼は上機嫌にポケットからスマホを取り出して、証券会社のアプリをタップしたが、すぐにその表情が真っ青になった。
「マジかよ。アメリカで大規模テロが起きたみたいだぞ……」
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