第16話 サクセスバイオの現状
サクセスバイオの業績はとにかくひどかった。上場して4年になるが、
売れるものがない理由はシンプルだ。サクセスバイオはいくつかの新薬をこれまで開発してきたが、公的機関の審査をパスできたものはひとつもなかった。
開発費用は無駄になり、利益も実績も残せていない。
悲惨な状況は、株価にもしっかり反映されていた。
上場初日に初値1942円でスタートしたサクセスバイオの株価は、IPOバブルの波に乗ってわずか一週間で3000円を突破し、高値3340円をつけた。しかし、ひと月ほどで1900円台に戻りその後はひたすら売られ続けた。
新薬開発のニュースで株価が跳ねることもあったが、審査をパスできなかったことが発表されると倍返しで売り込まれる。ひどい決算を発表しては売られ、資金調達のためにファイナンスを行ってさらに売られる。
上場して1年で株価は1000円を割りこみ、2年目には500円割れ、3年目には上場来安値の420円をつけていた。
しかし、そこからサクセスバイオの株価は強烈に戻し始める。引き金になったのは、黒月さんが話してくれたガンの治療薬だ。
初期の審査をパスしたことが発表されて買われ、薬が販売されたら莫大な利益がもたらされる。という思惑でさらに買われる。
現在の株価は1200円。上場来安値420円の約3倍だ。
上場時に期待で大きく買われ、事実で売られて暴落し、今度は別な思惑で上がり始める。まるでジェットコースターのような株価は、初心者の俺には理解不能だった。
「買いたい人が多ければ株価は上がるんです」
頭に浮かんだのは黒月さんの言葉だった。
たしかにその通りだ。こんな株買えない理解不能だ。俺がそう思っていても、他に買いたい人が大勢いれば株価は上がる。
ようするに、自分の考えよりもその他大勢の考えの方が大事ってことだよな。
じゃあ他の人たちは、サクセスバイオの株価についてどう思っているんだろうか?
俺は、投資情報サイトの掲示板をのぞいてみた。
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