浄円寺篤久の流儀

半井幸矢

浄円寺篤久の流儀


「へぇ、ニイダシステムの孫がねぇ」

 鈴音の話に、謠子が煎茶を啜りながら笑う。しかしその笑顔は、十二歳の少女のそれらしいものではない。不穏を楽しむ不敵な笑みだ。

「それは興味深いね。パーティー、僕も行こうかな。……平田くん?」

 謠子と鈴音が同時に、パソコンだらけの大きなデスクの片隅に置かれたノート型パソコンのキーボードを忙しなく叩く篤久に目線を送る。

「ちょっと待ってろ今それどこじゃねえ」

「そんなに難しいこと頼んでないでしょ何してるの」

 謠子が席を立ち、一緒になってパソコンの画面を見る。画面には有名な政治家の写真。

「何で亦川またかわおさむなんて」

「こいつの元秘書が昔絡んでたっぽい。だから関係ありそーな怪しいとこちょいと覗かせてもらってんの」

「ふぅん。すぐ終わる?」

「終わるよーに見えるゥ?」

「お茶冷めてるよ」

「くれ。そこ置いて、あと最中も一個ちょーだい」

「スケジュールは?」

「何、今? どうしても? ほれ」

 後ろ手で差し出されたスマートフォンの「UTACHAN」と書かれたアプリケーションのアイコンをタップ、起動する。謠子がモデルだろう女の子の顔の可愛らしいドット絵からして、自作アプリらしい。

「ねえ平田くん、このアイコンちょっとどうにかならないの気持ち悪い」

「俺だけしか使ってねえんだからそのくらい好きにさせろや」

「気持ち悪い」

「何で二回言うの!」

 最初はにこやかに見守っていた鈴音だったが、覗き込んだ謠子の持つスマートフォンの画面にスケジュールが細やかに記載されているのを見て真顔になる。はぁ、と感心したような呆れたような溜め息をついた。

「謠子ちゃん……忙しすぎるんじゃない……?」

「最近何だか妙に依頼と相談が多くて。いつもはもうちょっと余裕があるんだけど……うん、この日は大丈夫そうだね。僕も行こう。先方にメール送っておかなきゃ」

「謠子ちゃんだったら連絡しなくても栢嶋かやしまのおじいちゃん喜ぶと思うけど」

「鈴音さんに同伴する平田くんはともかく、僕は招待されていないからね」

「や、来てたよ招待状」

 振り向きもせずに言う篤久に、謠子が顔を顰めた。

「聞いてない」

「どうせいつも通り行かねえと思ってたからな。まだ返事間に合うから送っとくわ」

「そう。じゃあよろしく」

 何とかなりそうなようだ。鈴音は手を合わせて喜んだ。

「よかった。ああいうところっておじさまおばさまばかりで退屈でしょう? 謠子ちゃんも来てくれたら嬉しいなって思ってたの」

「まぁ、企業のパーティーなんて、僕のような子どもは勿論鈴音さんみたいに若いお嬢さんが行くようなところでもないしね」

 相変わらず画面に向かいキーボードを軽やかに叩き続ける篤久が苦笑する。

「言っとくけどおっさんだって退屈だぞあんなの。はー、やだなァ、俺お嬢程口上手くねえしほんっと上の偉い人みたいな振る舞いできねんだよな~…………あっ」

「どうしたの」

「いいもん見っけた♡ 謠子様よぅ、これ依頼者に倍吹っ掛けてもいいぜ」

「平田くんきみほんとそういうの好きだね。確かに企業のトップ向きじゃない」

「おー、そうだぞ、俺ァ使われる方が似合う男よ」

 たん、とエンターキーを押すと、満たされた顔で振り返った。

「そっち送ったから確認頼むわ。亦川の方は俺から接触しとく」

「楽しそう……」

 少し呆れて呟く謠子は、椅子に座ってかりんとうを一つ摘まむ。

「パーティー、か……ねぇ、まさかで行くんじゃないよね?」

 今はジャケットは脱いでいるが、黒いスリーピースのスーツは篤久が〝浄円寺データバンク代表・シーゲンターラー謠子の忠実なる下僕しもべ〟であることを表す為の装いである。

 篤久も元のおやつポジションに戻り、二つ目の最中の包みを開ける。

「ンなわけねえだろ、武菱の姫様のお供すんのは伝説の珍獣・浄円寺の坊ちゃんだぞ。こんな格好カッコで行ったら何で浄円寺のクソガキの犬が来てんだって話になるだろよ」

「服あるの? ここ何年かそれ以外ほとんど見たことないけど。コートもくたくただしさ」

 謠子の疑問に鈴音が答える。

「この前父と食事したとき、清海小父おじ様のつむぎ着てたそうですね」

 聞いた謠子は興味津々な顔になった。

「お爺様の着物?」

「あぁ、……また借りるのもアリ、だな。旦那様のコレクションいっぱいあるし」

 祖父母のことが大好きだった謠子の、期待に満ち溢れた顔――正直なところ、一着くらいは黒くないスーツを仕立てようかとも考えていたのだが、ほとんど着ない服を新調するよりは、あるものを有効活用した方がいいのかもしれない。何より謠子が嬉しそうにしている。

「着られるの? 一人で?」

「着られるよ、奥様に着付け習ったもん。……しっかし、こないだ着てみたらジャストサイズでマジ驚いたわ、そういや背ェほとんど同じくらいだったんだよな」

「お爺様、そんなに大きかったっけ?」

「あの人でかかったよ、確かじーさま……あ、お前の曾祖父様ひいじいさまね。も、昔の人にしてはっきくて目立ったって……喜久ちゃんも結構あったんだよなぁ、秀平よりちょっとちっちゃい」

 そこまで言い掛けて、謠子を見て静止。謠子はかりんとうを抓む手を止める。

「……なに」

「お前、ほんと伸びねえな? ウィリーもでかかったのに」

「うるさいな」

「ちゃんと寝ないからだぞォ」

「今日は寝るもん」

「おゥいい子だ、できれば毎日寝てほしいけどな」

「うるさいな」

 二人のやりとりに鈴音は笑った。



 栢嶋かやしま建設創業六十年記念パーティーは、それなりに有名なホテルで開催された。栢嶋建設自体はそう大きい方ではないが、通じている企業に大手が多い。そういう点では浄円寺データバンクと共通している。

 篤久と謠子はロビーの片隅で鈴音を待っていた。待ち合わせの時間まであと十分程。

「…………」

 その間、謠子は篤久をちらちらと見ていた。見慣れた黒いスーツ姿でないのが落ち着かないのか。

「なーに謠ちゃん」

「違う人みたい。メイクとかしてるわけじゃないのにね」

 先日の鈴音の父との会食のときとは違う紬と羽織に、いつもは手櫛で分けているだけの髪が簡単にではあるが整髪料を使って整えられ、パソコンでの作業時にときどき使っている濃い赤の樹脂フレームの眼鏡を掛けている。篤久自身も、だいぶ印象が変わっているだろうとは思っていた。

「お前にそう見えてるんなら変装としては大成功だな」

「……似合うね」

 笑ってそう言う謠子も、今日は薄水色の色留袖いろとめそでを着ている。篤久が和装をするというので自分も着たいと珍しくねだったものだ。

「でも病弱には見えない」

「そればっかりはなー、わざと体壊すわけにもいかねえからなー。……お、」

 手を振った先から、鈴音が駆け寄ってきた。襟元と袖の黒いレース使いが華やかなバーガンディのフレアワンピースは大人っぽい落ち着いた配色であるが、年相応の愛らしさも窺えるのは、彼女がやわらかく優しい顔立ちをしているからだろう。しかしミスマッチさは全くない。寧ろ上品な、『清純派お嬢様』である。

「わぁ、謠子ちゃん可愛い、すごくきれいなお着物! 後で一緒に写真撮ろうね。こんばんは、早いですね。開場までまだ時間あります……」

 そこまで言って、急に黙る。やはり謠子と同じで珍しいものを目にしたから、いや、この視線は。

「……あ、あの、篤久さん」

「何でしょう鈴音さん」

「後で写真撮らせて下さい!」

 そんなこったろうと思った――篤久は顔をしかめた。

「お断りだ!」

「一枚! 一枚でいいですからぁ!」

「何に使う気だよ鈴音ちゃんのエッチ」

「えっ、なっ……⁉ ちがっ、なんっっ⁉」

 赤くなって狼狽うろたえる鈴音。謠子が、呆れ返った眼差しを伯父に向ける。

「その言葉遣いよくないな。今はまだいいけどその格好でいつもの調子で喋るのは不釣り合いだよ。今日は〝平田くん〟は封印、浄円寺の息子ならして」

「へェい。……政孝おじさんももういるんだよな? とりあえず合流しよっか」

 連れ立って移動しようとすると、鈴音がやってきた方向から視線を感じた。謠子も気付いたようで、見えない位置で篤久の羽織の袖を引く。

「伯父様」


 若い男が、こちらを見ていた。


 暗い色のスーツは、微妙にサイズが合っていないのか姿勢が悪いのか、どうにも不恰好ぶかっこうに見えた。袖口から覗く腕時計は恐らく高級品のはずなのだろうが、ぎらぎらとした金色が品なく光っているように感じられる。ネクタイも原色を使った前衛芸術のような奇妙な柄で、何ともちぐはぐな印象だ。

仁井田にいだ瑛翔えいと、だね」

 テニスサークルに所属しているという話だったが、その割に生白く細いのは鈴音の言う「違法なもの」を使用しているせいか。そして実に絶妙にアンバランスな、あまり一緒にいたくないと本能的に感じさせるファッションセンス。「とりあえず高価なものを身に付けて椀飯振舞おうばんぶるまいしておけば人が寄ってくる」と考えているタイプなのかもしれない。確かに、そういう思考をする者は少なからず存在するが――

「えぇ……何あれ……今時あんなバカ丸出しみたいな坊ちゃんいるの……」

 篤久の戦慄せんりつに鈴音も苦手なものを前にしたような顔になった。

「いるんですよ信じられないでしょうけど。上のお兄さん二人は服装は割とまともなのに、あの人だけあんななんです」

「末っ子だもんな、甘やかされたな。……マジか~、やだぁあんなの近付きたくな~い」

「私もつきまとわれるの嫌なんですお願いします助けて下さい」

 流石にそれは同情せざるを得ない。


 しょーがねえな──ひとつ、溜め息をついて、


「鈴音ちゃん、手」

「えっ?」

 左腕を曲げて差し出す。鈴音は一瞬、躊躇ためらったが、思い切ってそこに手を添えた。嬉しそうなはにかみ顔に変わる。

「言っとくけど、あいつがいるとこだけだからね」

 一応釘を刺しておくが、

「はい」

 多分聞こえていても頭には全く入っていない。その様子はまさしく純情可憐な恋する乙女、しかも鈴音は外見はいい方であるから、そう喜ばれると――


(……待て、別に! 嬉しくない!)


 彼女が幼い頃は、抱っこもおんぶも肩車もしたし、何度も抱き付かれたではないか。


 謠子が、笑いながら顔を覗き込んできた。たのしそうだ。

「どうかしたの、伯父様」

「どうもしてねえよ」

「言葉」

「どうもしてないよ」

 指摘されて言い直す。謠子は鈴音とは逆、右側について、歩きながら小声で言った。

「気を付けてよね」

「わかってるって」


 仁井田瑛翔の前を通り掛かる。


 明らかに不愉快そうな顔をしていた、が。


「は、小者こもの臭すっげえ」

 通り過ぎてから思わず呟くと、謠子がひじで篤久の脇腹を突いた。

「いって」

「伯父様、言葉」

「はぁい」



 篤久と謠子と鈴音は、パーティー会場では三人でまとまって行動した。というのは、まず鈴音の父からの頼み通りに鈴音に仁井田瑛翔を近付けさせないという目的があったし、謠子も子どもであることから、篤久は保護者として離れるわけにもいかなかったからである。


 想い人にぴったりとくっついていられることで武菱鈴音はずっとにこにこしていた。


 一方の仁井田瑛翔は、恨めしそうに篤久をにらんでいた。


 だからといって、篤久は別段精神的ダメージを受けるわけでもなかった。仕事柄、他人から悪意を向けられること自体には慣れている。しかも件の男はただの親の臑齧すねかじり。鈴音から話を聞いてからいろいろと調べてみたが、自分のようにギフトを隠し持っていたりするというわけでもなさそうだ。どこからどう見ても、虚勢を張っているひ弱そうな青年である。


(つっても、一応用心するに越したこたァねえよな……英語ペラペラだっつーし。いや英語は関係ねえか)


 油断は禁物だ。警戒は緩められない。

「……浄円寺さん? 大丈夫ですか?」

 呼ばれてはっとする。目の前にいるニイダシステムの会長――仁井田瑛翔の祖父が、怪訝な顔をしている。篤久は咄嗟に笑顔を作って応じた。

「あぁ、……失礼。こういう場に出るのが初めてなものですから、少し緊張しているのかもしれません」

 世間的には〝浄円寺篤久は病弱なお坊ちゃま〟らしいので、そういうことにしておく。企業主催のパーティー自体は初めてというわけでもないが。

「あまり無理をするとお体に障る、休まれては」

「そう、ですね。外に、出てこようかな。……謠子」

「もう少し話がしたい。すぐに行くから」

「でも」

「大丈夫だよ。ここは出入り口は二ヶ所あるけど両方同じ廊下に繋がっているし、万が一紛れ込んだ招かざる客が誰かを狙ったとしても、それは僕じゃないさ。僕以上にあくどくて、他人から妬まれたり恨みを買っている人間が、この中に一体何人いると思う?」

 人形のような愛らしい少女の容赦のない言葉に仁井田は声を上げて笑い、瑛翔はというと、わずかに複雑そうな表情になった。篤久は苦笑しながらも、姪がときどき覗かせる嗜虐的しぎゃくてきな一面に少々呆れもしていた。瑛翔を萎縮させる為にわざと口にしたのだ。反応を見るに、悪事を働いているという自覚は多少はあるらしい。

「そういうことだから、鈴音さん。ちょっと伯父様をお願いできるかな」

 謠子に任されて嬉しそうな鈴音が篤久の腕を引いた。

「行きましょう、篤久さん。仁井田さん、父も久しぶりに会いたがっていました、是非お話してあげて下さいね。失礼します」

 腕を組み広間の出入り口にゆっくり向かう二人を見送りながら、仁井田が頷く。

「仲がいいねぇ」

 その斜め後ろに控えている彼の孫が不愉快そうな顔をしているのを察していながら、謠子もこたえた。

「お似合いでしょ」


 さて、仁井田瑛翔はどう出るか。

 鈴音と〝浄円寺篤久〟が一緒にいられる数少ないチャンス、できれば今日のうちにカタをつけたいところではある。


(……まぁ、あのひとのことだ)


 心配なことなんて、一ミリたりともないのだが。



 エレベーターホールはパーティー会場の大広間から少し離れてはいるが、出入り口は何とか見える距離にあるから、謠子が出てくればすぐにわかる。

 周囲に知った顔がいないことを確認して、

「あぁ~っ、つっっっかれるゥ!」

 篤久が片隅にある長椅子にどっかりと座り眼鏡を外すと、鈴音は笑う。

「ニイダの会長にも覚えてもらえたようですし、もう帰っちゃっていいと思いますよ」

「そーしたいのは山々だけど謠子お嬢がなァ、多分まだ情報収集と人脈確保したがると思うんだよな~。こういうとこ来るの滅多にないしさ」

 姿勢を正してすぐ隣をぽんぽん、と叩いて座るように促すと、鈴音は明らかににやつきそうなのを我慢している顔で遠慮がちに腰を下ろした。少し間を取っている。

「もーちょっとこっち来なよ」

「いいんですか?」

「いいよ」

「腕組んでいいですか?」

「それはダメ」

「つれない人ですね」

「つれませんよォつれるわけないでしょ。……そういうんじゃなくて――多分そろそろ来る」

「え?」

 大広間のドアが開き、仁井田瑛翔が顔だけを出した。きょろきょろ見回している姿を横目で見て、篤久は密かに失笑する。

「ふ、不審者」

「篤久さん」

 不在の謠子に代わって小声でたしなめられ、何とか笑いを堪え再度眼鏡をかけながら、

「鈴音ちゃんがつえぇのは知ってるけど。一応できるだけ、離れないでね。何されるかわかんねえし」

 鈴音の方に身を寄せる。

「え、あ、えっ、と、」

 急に体が触れてしまいそうなくらいに近くなったせいで、鈴音は戸惑い赤くなった。彼女が自分から好意をぶつけてくることは得意だが、逆に「来られる」と弱いというのは篤久も把握済みである。

 その一方で、


「しっかりしなよ、武菱鈴音」

「……はい」


 鼓舞こぶすればそれに応える――そういう娘だということも知っている。表情が引き締まった鈴音に、篤久はにや、と満足そうに笑った。

「オッケーいい子だ。最初だけテキトーに合わせてあとは任せときなお嬢ちゃん、悪趣味坊主はおっさんがどうにかしてやんよ。……じゃあ、よければ明日か明後日、食事でも」


 急に口調と態度と表情、声色までもが柔和になる。が、


「え、いいんですか、体は大丈夫ですか?」


 鈴音は今度は困惑することなく合わせた。


「最近調子がいいから、今回は少し長めに外泊の許可をもらったんです。せっかく久しぶりに直接会えたし、食事以外にもどこか……そうだな、屋内で、ゆっくり見て回れるところなら、大丈夫かな。一緒に行けたら」

「じゃあ、水族館とか美術館……あ、博物館! 今丁度見たい展示やってるんです」


 はたから見れば、〝仲睦まじいお二人さん〟である。


 篤久は、パーティー会場内で話をした相手に対して、「近いうちに鈴音と婚約することになるだろう」というようなことをとてもふんわりと、それとなく漏らし、確実にそう映るように振る舞っていた。「婚約している」と言い切らなかったのは、この先結婚せずにいても、縁談は白紙になったのだろうという噂が多少流れる程度に留まり、下手な勘繰りをされずに済むと踏んでのことである。どうせ〝浄円寺篤久〟は世間的には『姪の後見人を務める虚弱体質のお坊ちゃま』なのだ。破談になってもおかしくはない。


 勿論それは、ただ一人に対する牽制の為の虚言ではあった。


「…………なぁ、あんた」


 近付いてきた仁井田瑛翔が、嫌悪感丸出しの顔で見下ろしてきた。

 ついさっき談笑していた、好々爺こうこうやのようでいて抜け目のない印象のある祖父よりも、それより少し先に挨拶を交わした我の強そうな父親の方に似ている。顔色は病弱ということになっている篤久よりも悪いものの、女遊びができるだけあって元々の顔立ちはそれなりにいい方ではあるようだ。服装のセンスは残念ながら壊滅的だが。


「何か?」

「その子の何なの」

「先程そちらのお爺様に……あぁ、紹介したときは、まだ一緒にいらっしゃいませんでしたね。僕はこちらの武菱鈴音さんの……許嫁いいなずけ、の、ようなものです。浄円寺データバンクの専務、浄円寺篤久と申します。以後、お見知りおきを」

 立ち上がって頭を下げる。長身の和装の男の美しいお辞儀と落ち着いた挨拶に、瑛翔はやや怯んだ様子を見せ、一緒に立った鈴音は見蕩みとれていた。篤久は表情を変えぬまま心の中で鈴音に突っ込む――鈴音ちゃん落ち着いてこれ演技!

「じょ、うえんじ……知らねーな、どこの何の会社なの」

「ごく一般的な調査会社です。僕は体があまり丈夫じゃなくて……入退院が多いので、姪とは離れて田舎で暮らしているんですが、主にオンラインでの相談や情報分析、あと経営の方面で手伝いをさせてもらっています」

「ふーん。あんな子どもに会社任せてだいじょーぶなわけ?」

「姪はあれで僕よりも遙かに頭が回りますから。元々うちは、情報屋として警察や検察やキャプターに協力することもあるので、キャプターである彼女が表に立っていた方が、色々と都合がいいんです。……そういえば、お兄さんたちは、今日はいらしていないそうですね?」

「は? 知らねーし。どっか接待でも行ってんじゃねーの」

 至ってにこやかに対応する浄円寺篤久に対し、仁井田瑛翔は明らかに苛立っていた。恐らく会話の内容をあまり理解できていない。タケビシECとも交流のあるIT企業ニイダシステムの会長・社長の身内であるなら、浄円寺データバンクの名前くらいは聞いていそうなものだが、己の家の名と財を利用し遊び歩くすべは知っていても、家業に関する知識は皆無とみえる。ただ篤久に難癖をつけたいだけなのだ。

「っていうか、あんたさ、ほんと何なの。病弱ならわざわざ出てこなくたっていいじゃん」

「姪がどうしても一緒に来てほしいと言うので」

「だったらその姪っ子と回ってりゃいいじゃん何でその子と」

「逆に」

 一歩、進み出て、瑛翔の顔を覗き込む。


「どうして、そんなに鈴音さんを気にしているんですか?」


 焦茶こげちゃの紬に青丹色あおにいろの羽織という渋い色味、ゆっくり丁寧な言葉遣い、しかも瑛翔よりも篤久の方が背が高い――重圧感。ここで瑛翔はようやく気付いた。


 自分が突っ掛かっている相手は、穏やかに微笑んでいるようでいて、先程から目が全く笑っていない。


 ただでさえ青白い瑛翔の顔から更に血の気が引いた。

 こいつにはニイダの名前は通用しない?


「そ、れ、は……」

「もしかして、鈴音さんに気がある、とか?」

「え、や、その……」

「基本的に他人の恋愛事情にどうこう言う気はありませんが」


 真っ直ぐ、瑛翔を貫くように目を細めて見つめながら、にぃ、とわらう。


「あんまり感心しねえなァ、しつこい男は嫌われるって知らねえの?」


 それまでの調子とは一転、低く、えぐるように囁くと、瑛翔は驚きのあまりにひぅ、と鳴くような音を立てながら息を飲み込み、一歩、二歩、下がった。


「お前、悪ぅいオトモダチと一緒ンなって女の子におイタしたんだってな? 合計四人、うち一人未成年。全員示談金という大金で丸め込んで被害届は出させずに、更に身内の勤め先を抑えることで口止めした」

「……なっ、なに、言ってっ……は、はっ? んなわけ、ねーじゃんバっ、カじゃねーの」

 明らかな動揺、本当にカタカタと音がしそうな程に震えている。


 被害者も大学も警察の人も家族に何とかしてもらって、内々に済ませた、こいつは知らないはずのこと――何でこいつが知ってんの?


 篤久は眼鏡を外してえりに引っ掛けながら、瑛翔が離れた分、距離を詰めた。

「遊び歩くしか能がねえボンボンじゃ知らねえだろうけどな、こっちはそれなりに名の通った情報屋やってんだよ。さっきも言ったろ、警察にも検察にもキャプターにも協力してるって。国の組織に力貸してんだ、そんな中途半端なことやってるわけねえじゃん? てめェのやらかしたことなんざ必要最低限のワード拾えりゃいくらでも掘り返せる。てめェがどこの何者か、いつどこで誰と何をしたか、何に幾ら使ったか、何に接続して何を見たか、どこの病院に通って何を処方されたか……ああ、ぜ~んぶ丸見えだ」

 じわり、じわり、壁際に追いやっていく。瑛翔の背が壁に接触したのと同時に、耳スレスレの位置にとん、と手をつくと、瑛翔がまた喉の奥を鳴らした。もう肌寒い時期なのに、汗をかいている。冷や汗か、脂汗か。

「で? てめェは鈴音ちゃんに何しようとしてたの? ほら言ってみな」

「ひ、うぁ、ああ」

「わかるよぉ、鈴音ちゃん美人だもんなァ? どうにかして自分のモンにしたかったんだろ? だからわざわざ爺さんにくっついてこんなクっソつまんねえパーティーに顔出して口説こうと、――違うな。何とかして外に連れ出して、迎えに来てくれたオトモダチと一緒ンなってどっかで悪戯しようとしてたんだろ? はぁ、悪い子だねェ~。……でも残念でした、オトモダチは今日来ませーん、どころか今後一切遊んでくれませーん♡ なーんでだ?」

「……へっ?」

「正解は瑛翔クンと縁切っちゃったからでしたー♡」

「…………え、え?」

 白い顔が、絶望に固まる。それでも篤久は言葉を止めない。

「今頃つるんでた奴らは捕まってるよ、暴行と薬物使用の容疑で」

「な、え、…………うそ、うそだッ、そんなわけっ……だ、だってっ」

「嘘じゃないよォ俺通報して証拠も渡してきたもん。そろそろ出てるかな~」

 離れると、懐からスマートフォンを取り出し少し操作して、

「あぁ、あったあった。ほら、大学生数名逮捕」

 表示画面を瑛翔に見せた。ニュースサイトの最新情報には、たった今更新されたばかりと思わしき記事。

「さっきの話ちゃんと聞いてなかったなバカ息子、うちはその道じゃそこそこ名の知れてる情報屋、仕事柄国家権力と、あと一部マスコミにもコネあんの。あとはてめェだけ……って言いたいとこだけど、うちとしては知り合ったばかりのニイダシステムからなんしぼり取らねえうちに沈んでもらうわけにはいかねえからな、不肖の息子の手足いだだけで勘弁してやらァ……、な」

 スマートフォンをしまって眼鏡を掛け直し、衿を直す。壁にへばり付いている仁井田瑛翔はずるずると落ちていき、へたり込んでしまった。荒い息、見開かれた目からは涙があふれそうになっている。

 それまでやや後方で見ているだけだった鈴音が、ようやく口を開いた。

「ちょっといじめすぎじゃないですか?」

「そうかな、フツーだろこのくらい」

「怖い人」

「我らが謠子お嬢様はもーっとエグいぞ、全く誰に似たんだか天性のサディストだし、意外と気ィみじけえからな。あいつに対応させたらこいつも塀の中ぶち込んでニイダの今持ってるもんぜーんぶ回収してにしちまう。俺ァまだ優しい方さ」

「……ほんと、浄円寺データバンクは敵に回したくないですね」

 一部始終を見ていたにも関わらず妙に冷静な鈴音を、瑛翔は信じられないという表情で見ていた。この女、おとなしそうな顔をして、数歩前に立つとても病弱で田舎に引き籠もっているとは思えないガラの悪い男とやけに親しげだ。まさか同類なのではないか。

「まぁ、そういうワケなんで、ね、仁井田瑛翔クン」

 さっきまで凄んできていた男は、やや穏やかな顔つきに戻った。まとう空気が違いすぎる。

「あんま悪いことしねえ方がいいぞ。親御さんは会社の名前にきずがつくのは当然嫌だろうし、そうじゃなくてもきみのことが可愛いみたいだから、きみが何をしたってきっとかばってくれる。でも、できることには限度ってもんがあるし、たとえば俺が握っている情報をどっかに漏洩すれば、親子共々どころかお爺さんにまで類が及ぶ。そうなったらニイダシステムは完全に潰れちまう――言ってる意味、わかるよな?」

 差し出された手を、恐る恐る瑛翔が取ると、篤久は引っ張り上げて立たせた。

「ほれ、泣くな泣くな。悪かったって怖がらせて……漏らしてねえな? 大丈夫だな? その歳で漏らしてたら恥ずかしいぞ」

 たもとから出して雑に瑛翔の顔を拭いたハンカチを、未だ震える肩に乗せながらぽんと叩く。

「今後きみが何を選んでどう振る舞っていくのかなんて、俺からすりゃ知ったこっちゃねえし、懲りずに何かして捕まりゃ自業自得ってやつだ、好きにすりゃアいい。ただ、」


 一瞬、迷う。

 しかし、こうしないと恐らく「締まらない」。


 鈴音の肩を、抱き寄せて。


「何しろ親父さんに頼まれてるもんでな、くれぐれもこの子にだけは手ェ出さねえでくれよな。じゃないと、こっちも本気で怒ることになるからさ」


 鈴音の体が、硬直したのがわかった。予想だにしていなかった篤久の行動に驚いたらしい。仁井田瑛翔もびくりとしたが、それを最後に震えも涙も止まった。

 小さく、口が開かれる。

「…………すみません、でした」

「おゥ」

「あ、の」

「なーに」

「なんで、俺のこと、見逃すの…………ですか」

「べっつに見逃すわけじゃねえよ、俺個人としては正直逮捕されて社会的に死んじまえって思うよ。でもさっきも言ったじゃん、ニイダシステムには今はまだ潰れてもらうわけにはいかんのよ。情報屋ってのはそーゆーもんさ。調べてほしいって依頼されたことの調査や情報の売買だけじゃねえ、金積まれて頼まれりゃ、真っ黒いものも見て見ぬふりする、白いものも真っ黒く塗り潰す。逆だってある。うちはそうやって昔っから成り立ってきちゃってんだわ。そういう意味じゃ、俺ァきみ以上の極悪人ってわけ。……でも、ま、そうさな、」

 鈴音の肩を抱いていた手を離して歩き出す。すれ違いざまに、また瑛翔の肩を叩いた。

「あんなクソみてえなクズどもとつるむのはやめとけ、もう爺ちゃんに迷惑掛けたくねえだろ。報復がこええってンなら何とかしてやるから言いな。新規のお客様候補の大事なお孫さんだ、そんくらいはサービスしてやんよ。……さってー。鈴音ちゃん行くよ、そろそろあのチビ回収しねえと」

 いきなり肩を抱かれたことにより狼狽しているかと思われた鈴音は、やはりまだ少し緊張と至福とが残っていた。呼び掛けられて我に返り、

「あ、は、はいっ」

 慌てて篤久の後を追った。



 ぼんやりと立ち尽くす仁井田瑛翔との間に少し距離ができてから、

「……大丈夫ですか。あれじゃほとんど平田さん──浄円寺さんとしての対応とは言いがたいと思うんですけど」

 冷静さを取り戻した鈴音が小声で問うと、篤久はがしがしと荒く頭を掻いた。

「ああいうのにはこっちのが効くんだよ。目には目を、臑齧り無知坊ちゃんには裏社会のオトナの怖さをってな。……ま、凶器持ってなくてよかったわ、ひねるのは簡単だけど騒ぎになったら困るし」

「容赦ないなぁ」

「だァってもう成人してんだぞ? 甘ったれてんじゃねえよ全く」

「それはまぁ、……うん、そうかも。……でも、あの人だけお目こぼししちゃってよかったんですか?」

「強姦致傷に関しては、あいつは多分、ていうかよ」

 明かされたい意外な事実に、鈴音は目を丸くした。

「そうなんですか?」

「最初に鈴音ちゃんから聞いた話でなァんか妙だなーって。弁論大会で優勝するようなネクラな真面目クンがクスリやって強姦致傷って、明らかに入ったサークルが怪しいじゃん? って思って、ちょっと調べてみたんだわ」

 言われてみれば確かにそうだ。鈴音ははっとした。

「仲間だ何だ言われて一緒にウェイウェイして浮かれてクスリやっちゃって、よくわかんねえうちに巻き込まれて、同罪だって強請ゆすられて、……って、いいように使われてたらしい。だから罪悪感は残ってて、抱えてらんなくなって親に相談、被害者に多額の示談金という名の慰謝料を支払った。高校まではおとなしくていい子だったって話だけど、…………いやァ、ありゃいわゆる『陰キャ』ってやつだな。よりによってろくでもねえのとつるんじまって、変に大学デビューしちゃったクチ。常習してなかったとはいえクスリは何度かやっちゃってたし、多少情状酌量じょうじょうしゃくりょうの余地はあれど強姦致傷の幇助ほうじょもしてる――犯罪に手ェ染めてたことには変わりねえけど。……鈴音ちゃんのことも、さ」

「え?」

「あいつにとっては単純に純粋な恋心、ってやつ? だったみたいですよ。……それがオトモダチに知られて、くっつけてやるからってそそのかされた。……バカだな、言いなりになってたら横取りどころか目の前で」

 そこまで言って、気付いてやめる。つい普段の仕事のノリで話してしまっていたが、下手をしたら鈴音も被害者になっていたのだ。

「ごめん」

「気にしなくていいですよ、結局何もなかったんだから。助けて下さって、ありがとうございました。これからも、宜しくお願いしますね」

 鈴音は笑いながら、――恐らく思い切って――篤久の腕を取ってぎゅっと抱き込んだ。指を絡めるように手まで繋いでくる。いつもと違う非日常的な環境と、先程の演技の影響で大胆になっているらしい。流石に篤久も戸惑った。

「いやいやいやいや、だからやめとけっつってんの! 聞いてたろ、俺法的グレーつーか寧ろ黒い人間だぞ!」

「知ってますよ、でもだから何だっていうんです? この私が何の覚悟もなく悪名高い浄円寺データバンクのご子息に嫁ぎたいだなんて言うとでも?」

「思わねえけど! もう役目は終わったじゃんよ!」

「お食事連れてってくれるんじゃないんですか? あと博物館」

「何でだよ行かねえよさっきのは演技って」

「大学で関係者の先生にチケットもらったんですけど、謠子ちゃんも動物好きだし絶対楽しめる展示だと思うんですよね、『世界のネコのふしぎと歴史展』。今度のお休みにでもどうです? ずーっとお仕事だったみたいだし、お出掛け、ストレス解消になるんじゃないかなー」

「よしわかった行こう」

「……ほんとに謠子ちゃんのことになるとちょろいですね」

「うるせえ悪かったな」

「ふふ」

 大広間の出入り口の前まで来ると、タイミングよくドアが開く。その先にいた謠子が、わ、と小さく声を上げた。

「終わった?」

 篤久と組んでいた腕を離し、鈴音は今度は謠子の両手を取る。

「うん、もう、大丈夫。そろそろ帰る? 一階のロビーの横におっきい孔雀くじゃくのタイル画があるの、そこで一緒に写真撮ろ? ……あ、篤久さん、私も帰りたいんで、ついでに送ってもらえませんか?」

 ちゃっかりお願いしてくる鈴音に、苦笑いで返す。

「いいよ、小父さんに言っといで」

 賑やかな中に消えていくのを見送って一旦ドアを閉め、篤久と謠子はそのまま廊下で待つことにした。二人でちらり、エレベーターホールの方を伺う。


 仁井田瑛翔は、長椅子に座って項垂うなだれている。


「とりあえず、一件落着?」

「一応、そうなります、かね。……手ェ貸してくれてありがと、めーっちゃくちゃ助かった。忙しい中無理言っちゃってごめんな」

 少しだけ気まずそうに謝る。実は法的な部分での介入については一般人の篤久ではどうしようもないところがあるので、謠子の力を借りていた。が、謠子は笑って応える。

「気にしなくていいよ、鈴音さんの身の安全は守られたわけだし。その結果として私の大好きな伯父様の幸せに繋がるんだったら、協力は惜しまないさ」

「……いや、その、だからな、そこは、」

「ほんとは満更でもないくせに」

「ちっがっ……べっ、つにそんなんじゃ」

 扉が開く。

「お待たせしました! ……どうか、したんですか?」

 鈴音が戻ってくると、

「なんでもなーい」

 伯父と姪は口を揃える。息のぴったりさに、鈴音は笑う。

「ふふ、いいなぁ仲良しさん」

 そんな鈴音の横に、謠子が並んで手を繋ぐ。

「ねぇ、何か食べに行こうよ、お腹空いちゃった。お酒とおつまみばっかりだったし、話すのに忙しくてほとんど何も口にできてないんだ。いいでしょ伯父様」

 空いている方の手で、篤久の手を取る。

「お前なァ、今お着物着てるんだぞ~……鈴音ちゃん、お腹空いてる?」

 振られて鈴音も少々恥じらいつつ答える。

「……え、えぇと、ちょっと」

「正直に言いな何年の付き合いだと思ってんだ。実は俺も腹減ってる、ジュース一杯しか飲んでねえし」

「すっ、……空いてますっ」

「ん。……でもこのカッコでファミレスは流石に浮くよな、どっか個室あるとこ……この辺だとよしたに美原みはら寿ししかわかんねえな、予約なしで行けっかなぁ」

「高級店じゃないですか!」

「まぁここらの立地的にそうならァな。いいじゃん、せっかくおめかししてるんだからいいとこ行こうぜ、おごったげるから。俺も謠子もここしばらくずーっと忙しくてさ、簡単なもんしか食ってねえんだわ」

 謠子が訴える。

「よし谷がいい。しゃぶしゃぶ。お肉」

「だって。いいかな鈴音ちゃん」

「う、よし谷……お父さんでさえ一回しか行ったことないって言ってるよし谷……」

「奢ってやるっつってんだろ! 俺を誰だと思ってんだ、金ならある!」

「ごっ、ご馳走様ですっ」

「よっし行こ」


 エレベーターホールへ向かう。


 仁井田瑛翔はまだ長椅子に座っていて、前を通り掛かると、気配を感じたか少しだけ顔を上げた。

 店に電話をすると言い謠子と鈴音を先にエレベーターへ向かわせて、篤久は片手にスマートフォンを持ったまま瑛翔の前で立ち止まる。

 しかし、そちらは見ないままで。



「大丈夫だよ、やり直せるからさ」



 一言言って、また歩き出すと、はい、という声が聞こえた。




 翌年、仁井田瑛翔はニイダシステムに就職。

 浄円寺データバンクとの橋渡し役として、浄円寺邸に度々出入りするようになる。




     了



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浄円寺篤久の流儀 半井幸矢 @nakyukya

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