第10話

 実家のある街ではちょっとした有名な語り部をしていたおじいちゃん。確かおじいちゃんは子供が大好きだった。

 いつも歴史の話や近所の噂話をまとめては、面白おかしく私たちに話てくれていたっけ。


「そういえば、おじいちゃんは足腰が弱くて旅行に全然行けなかったのよねー」

「うーん、俺たちと一緒に今まで旅を楽しんでいたんだろうな」


 そうだった。

 おしゃべりな髑髏はおじいちゃんだった。

 昔、子供だった頃の私の声真似をしたりと、ひょうきんだったおじいちゃんが今でも大好きだった。

 いつか旅行へ連れていってあげると……。


 おじいちゃんが息を引き取る前に、布団越しに……約束をしていたんだった。

 

 ほんと、今までの旅行は楽しかったよ。


 おじいちゃん……。


 ありがとう。

 

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髑髏が誘う車窓から 主道 学 @etoo

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