3番目の幸運
「君は本当に幸運な子供だね」
誰の声だろう。お父さん?
違う、聞いたことのない声。
男の人の声だ。
「普通なら助からないよ」
助からないって?もしかして僕、事故にあったの?
体が痛くて、まるでどこかに閉じ込められてるみたいに真っ暗で目が開けられない。
「ボク、聞こえたら指動かしてみて?指じゃなくてもどこか動かせるかな?」
無理だよ。何も動かせないよ。
ここは一体どこなの?
お母さんとお父さんに会わせてよ。
「脈が動きました!」
「こっちもです!」
少し離れたところで、何人かの焦ったような声が聞こえる。何があったの?
「患者さんふたりとも、脈戻りました!」
僕はようやく目を開けることができた。
声のする方を見ると、お母さんとお父さんが横になってる。
看護師さんたちとお医者さんが集まってる。
良かった。お母さんとお父さんが死ななくて。
お兄ちゃんとアキラくん。僕が二人のことを死ねばいいのにって思ったら本当に死んじゃったんだ。
僕が全然笑わないから、お母さんとお父さんは僕を笑わせようと色々やってくれた。
でも僕は笑わなかったんだ。そうしたら、二人とも僕のこともう知らない!って言ったの。
僕は悲しくて、二人とも死んじゃえって思ったんだ。
だから、僕たち事故にあったんだね。
でもやっぱり、僕は二人に死んでほしくなくて死なないでってお願いしたの。
やっぱり僕のお願いが叶ったんだ。
僕は最後にお願いをした。
お兄ちゃんにごめんねって謝りたいから、お兄ちゃんの所に行きたいって。
眠くなってきたなぁ。
僕の最後のお願いが叶ったみたい。
やっと、お兄ちゃんとまた鬼ごっこできるんだ。
ね、僕は幸運な子供でしょ。
幸運な子供 雨上がりの空 @ccandyy
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