第7話 もしかして猫舌ですか? 


第7話 もしかして猫舌ですか? 

※この作品は本編の登場キャラクターたちが、ちょっと不思議な任務を通じてトークを繰り広げる“オマケ”番外会話劇です。本編を読んでいない方でも楽しめるよう構成しています。



 

 (扉が開く)


 

ミルヴァス「アルデア……。」

 

ミルヴァス「またこの部屋か……。」

 

アルデア「セダムさん! ……あれ? 」

 

アルデア「ミルヴァス……さん。」


 

(沈黙)


 

ミルヴァス「今日は、2人か。」

 

アルデア「そうみたいですね。」


 

(白い壁に浮かび上がる文字)

 

【特殊任務です。集まったメンバーでソファに座り、お茶とおやつを楽しみながらトークしてください。】


 

ミルヴァス「体の調子はどうだ? 」

 

アルデア「すっかり元気です! 」

 

ミルヴァス「そうか。良かった。」


 

(テーブルにつく2人)

 

(アルデアの前には牛乳とビスケット、ミルヴァスの前にはコーヒーとナッツが現れる)


 

アルデア「わ! このビスケット、動物の形です! かわいい! 」

 

ミルヴァス「良かったな。」


 

(コーヒーを手に取るミルヴァス、飲まない)


 

【自己紹介してください。

必須事項:名前、誕生日、昨日会った人】


 

アルデア「アルデア・ヘロディアスです! 誕生日は7月16日。昨日会ったのは、アズキさんと、ミルヴァスさんと、セダムさん。あと、フロースさんです! 」

 

ミルヴァス「ミルヴァス・ミグランス。誕生日は10月23日……」

 

アルデア「ええ!? じゃあ、もうすぐ誕生日なんですね! 」

 

ミルヴァス「と言っても、来月だがな。」

 

ミルヴァス「昨日会ったのは……君と、師長、フロース、ラルス、ニア……。」

 

アルデア「ニアって誰ですか? 」

 

ミルヴァス「……ああ……知り合いだ。君もそのうち会うだろう。」


 

【最近食べた中で一番美味しかったもの】


 

ミルヴァス「何が美味かったんだ? 」


 

(牛乳を飲むアルデア)


 

アルデア「うーん……ここに来てからずっと美味しいものばかり食べてる気がします。」

 

アルデア「あ、でも、昨日の夕飯すごく美味しかったです! お肉と野菜がこんがり焼いてある……あれ、セダムさんなんて言ってたっけ……? 」

 

ミルヴァス「コンソメ味の……平たい皿で食べる……あれだな。」


 

(ナッツを食べるミルヴァス)


 

アルデア「そうですそうです! あれがすごく美味しかったです。」

 

ミルヴァス「あれはセダムさんの得意料理だからな。」

 

アルデア「そうなんですか! すごいなぁセダムさんは! 」

 

アルデア「ミルヴァスさんは何が美味しかったですか? 」

 

ミルヴァス「じゃがいものスープ……名前は……何だっただろうか……。」

 

アルデア「サラサラしてるスープですか? 」

 

ミルヴァス「サラサラはしていない。形が分からないほど煮込まれていたと思う。」

 

アルデア「ポタージュですか? 」

 

ミルヴァス「もっと違う名前だったような気がする……。」

 

ミルヴァス「後で聞いておく。」


 

アルデア(誰にだろう? )


 

【今欲しいものは? 】


 

アルデア「欲しいもの……欲しいもの……悩むなぁ……。」

 

アルデア「ミルヴァスさんは何が欲しいですか? 」


 

(コーヒーを手に取るミルヴァス、やはり飲まない)


 

ミルヴァス「特にないが……強いて言えば本だな。」

 

アルデア「本当に本が好きなんですね……。」


 

(ビスケットを食べるアルデア)


 

ミルヴァス「君も読むといい。世界の解像度が上がる。」

 

アルデア「難しくないですか? お母さんの編み物の本を前読みましたけど、字がいっぱいで疲れちゃって……。」

 

ミルヴァス「最初から実用書はそれは疲れる。君くらいの歳なら物語などから始めるのがいいだろう。」

 

ミルヴァス「というか、字が読めないのではなかったのか? 」


 

(牛乳を飲みながらぎくりとするアルデア)


 

アルデア(ミルヴァスさんの字が読めなかったなんて言えないよ……。)

 

アルデア「あ! こ、これ、見てくださいこのビスケット! 本みたいな形! ミルヴァスさんにあげます! 」

 

ミルヴァス「……ありがとう。」

 

ミルヴァス(本というよりコウモリに見えるが……。)


 

(アルデアからもらったビスケットを食べるミルヴァス)


 

ミルヴァス「君は欲しいものはあるのか? 」

 

アルデア「私は……んー、道具が揃ったので、そろそろ編むための糸が欲しいです。」

 

アルデア「家では毎日何か編んだり織ったりしてたから……何もしないのが落ち着かなくて……。」

 

ミルヴァス「それなら問題ない。大丈夫だ。」

 

アルデア「え……そうなんですか? 」

 

ミルヴァス「近いうちに説明する。」


 

(コーヒーを手に取るミルヴァス、少し口をつけて置く)


 

ミルヴァス「ちなみに、何を作りたいんだ? 」

 

アルデア「そろそろ寒くなってくるので、秋物の服を作りたいです! 」

 

アルデア「あ、ミルヴァスさんにも何か作ります! ブックカバーとかどうですか? 」

 

ミルヴァス「気持ちだけ受け取っておく。」

 

アルデア「楽しみにしててくださいね! 」

 

ミルヴァス(圧が強い……。)


 

【この1週間の中であった悔しいこと】


 

ミルヴァス「悔しいこと……。何だこの質問は……。」

 

アルデア「いつも不思議なお題ですよね。面白いけど。」

 

ミルヴァス「何かあったか? 悔しいこと。」

 

アルデア「悔しい……えっとぉ……。ああ、まだ医療部にいた時、夕飯に出てきたミニトマトをフォークで刺そうとしたら飛んでっちゃって……。」


アルデア「うちだったらおばあちゃんが『3秒ルール!』って叫んで、その間に拾えばまだ食べられたんですけど……アズキさんがいけませんって……。」

 

アルデア「それが、ちょっと悔しかったです……。」


 

(ナッツを食べるミルヴァス)


 

ミルヴァス「……好きなのか? ミニトマト。」

 

アルデア「はい。大好きなので食べたかったです。」


 

(牛乳を見つめるアルデア)


 

ミルヴァス「何かの時にたくさん食べるといい。」

 

アルデア「ミルヴァスさんはありますか? 悔しかったこと。」

 

ミルヴァス「知り合いに夕飯を奢らされたこと……くらいだな。」

 

アルデア「ニアって人ですか? 」

 

ミルヴァス「そうだ。人の財布なのをいいことにわざわざ高いものを食べていて、それが少し、鬱陶しかった。」


 

(ビスケットを食べるアルデア)


 

アルデア「……大人って、大変なんですね。」


 

【昨日見た夢は? 】


 

アルデア「友達の夢を見ました! 2人でシロツメクサを編んで大きな輪っかを作って、たまたまいたアズキさんにあげたらそれ使ってラルス先生を捕まえてて、ちょっと面白かったです。」

 

ミルヴァス「なかなか個性的な夢だな。」


 

(コーヒーを少しすするミルヴァス)


 

アルデア「ミルヴァスさんはどんな夢を? 」

 

ミルヴァス「卵を割ったら、また卵が入っていて、それを割ったらまた卵が入っていて……それがずっと続く夢だったな。」

 

アルデア「不思議な夢ですね! 1番最後の卵には何が入っていたんですか? 」

 

ミルヴァス「それを確かめたくて卵を割り続けたが、朝になってしまった。」


 

【たくさん話してくれてありがとう。】


 

【また来てね。】



(現れる扉)


 

アルデア「あ、もう終わりですか。」

 

アルデア「今日も楽しかったですね! 」


 

(残ったコーヒーを見るミルヴァス)


 

ミルヴァス「そうだな……。」


 

(扉をくぐる2人)


本編は毎週金曜21時に公開しています! 

現在第14話まで更新中! 

Lumina Linea~エメラルドの糸使い~

https://kakuyomu.jp/works/16816700426578765312

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る