じわじわと狂気が侵食してくるタイプのホラーで、かなり引き込まれました。特に「不器用な男の純愛」が、そのまま怪物的執着へ変質していく流れが怖いです。作家の語りは弱々しいのに、内容だけがどんどん破綻していくので読んでいて不安感が増していきますね。化粧品セールスという“日常側の視点”を置いたことで、異常性がより際立っているのも巧いです。終盤のサンドイッチの場面はかなり強烈で、グロテスクなのに妙に哀しさがありました。愛情と恐怖と滑稽さが同時に成立している、かなり後味の悪い良質ホラーです。
もっと見る