【ゴーシュの考察】

【1】

「己を超えた者」という存在について


現段階、私の知見の及ぶ範囲でそう呼称されているのは、

私自身と、12号とナンバリングされたレプリカ、

そしてカーヴァンク氏である。


ここに、私の見解を記録として残そう。


【2】

「己を超えた者」は前提としてインクブック症候群に

感染している必要があると考えられる。

なぜなら、この「己」とは、

インクブック症候群感染時の感染者の思想と考えられるからである。


【3】

私、ゴーシュと12号は、

「思想」というものを持たずインクブック症候群に感染し、

発症までに「思想」を獲得することで、

「己を超える」という条件を果たしたのではないかと推測される。


【4】

カーヴァンク氏は私の推測でしかないが、

「ヘイゼル・クロフォードを亡くす」というのが

トリガーとなり「思想」に関する改変が起こったと予想される。


【5】

しかし、その条件だけで、この感染症は解決されないのは確かだ。

事実、ライブラリの職員でこの条件を満たしながら本になった者もいる。

あまり、思い出したくはないが、あの時、私が、

本にもインクにもならなかった理由。

それが分かれば、オリジナルを救えるはずだ。

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