光の無い闇も、ありませんか。
鵙の頭
一話目
朝。
朝日が窓から差し込み、そういえばカーテンを閉め忘れていたな、と。
ベッドの中で、裸で目を覚ます。
あぁ、起きるのがだるい。そう思いながら仕方なく体を起こす。
頭がガンガンする。どうして、どうしてこんなに気持ちが悪いのか。
あぁ、昨晩たくさん飲んだのか。くっそ。ハメを外しすぎた。千鶴が帰ってこないことをいいことに。
ベッドの中で、自分と一緒に裸で寝ている男性に目をやる。可愛い寝顔をしている。
こっちのハメもハメを外しすぎたな。
親父臭いセリフを考え、苦笑する。千鶴が聞いたら呆れて睨まれるだろう。
隣で寝ている男性。名前は何だったか。
えーと、たけ……、たか……、たく……。
そうだ。拓未だ。福井拓未。昨日、そういうバーで知り合った、一夜限りの俺の愛人。
ソイツをゆすり、起こしてやる。
「ん……、ぁ……」
何だ、起きそうにないな。
仕方ない。これも仕方ないことだ。俺はベッドから出て、近くに散乱している衣服を着用し。……ついでに拓未の服もベッドの上に置いておいて。
見慣れた部屋のキッチンに、二人ぶんの朝ごはんを作りに行った。
千鶴は恐らくホテルだろう。アイツも一夜限りの素敵な女性を見つけて楽しんだに違いない。
そう思いながら冷蔵庫を開けていると、机の上に置いていたスマホが鳴った。
『おはよう』
簡素な挨拶。千鶴からだった。
ラインを返すのは朝ごはんを作ってからにしよう。取りに行くのはだるいし。
「おはよう」
その代わり、俺は静かにつぶやいた。
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