公園の像

公園の像

とある公園の少し小高くなった場所にブロンズで作られた像がある。

公園の像はこう思っていた。

「俺はカッコいいライオンの像。

もう20年もの間、この場所で、公園を訪れる人間たちを見守ってきた」

「俺は強いライオンの像。

俺がこうしているおかげでこの公園は平和が保たれてきた」

「俺は優しいライオンの像。

俺の前では泣いている子供もすぐに泣き止むんだ」

「俺は人気者のライオンの像。

みんなが俺の周りに集まり、笑顔で写真を撮って帰るんだぜ」

公園を訪れる人はこう思っていた。

「この動物の像、なんか変な形してるね。豚なのか犬なのか、怪物なのかももわからないし気味悪い」

「前衛芸術家とやらが作ったらしいけど、公園の景観を損ねているよな」

「衝撃的な風体なので、泣いていた子供もそれを見てびっくりして泣くのを忘れるくらい」

「変すぎてかえってインスタ映えすると言ってみんな写真を撮っているけど、

そもそも何でこんなものが置いてあるかわからないな」

END