第5話 童帝會・三本柱(意味深)
「てっきり、リア充爆発しろ的な集団かと思ってた」
ソファに座り、お茶を出された御堂の意見はごもっとも。
「いやぁ、俺らも健全な交際を邪魔するほど野暮じゃ無いよ」
向かいに座り、お茶をすするのは我らが総長、豊玉。
「そういえば幹部って何なの? サークルの役職みたいなモノ?」
先程の会話で、御堂に俺が童帝會・幹部である事はバレてしまった。
「あぁ、童帝會の幹部は三人居てね。俺と中出、義一で三人だ。幹部はそれなりの犠牲を払ってるからなれるのさ」
「まさか童貞ではあるけど開通済み(意味深)みたいな?」
御堂が右手で拳をつくり、目を輝かせてる。
「……この世の地獄みたいな事考えるじゃん」
ケツの穴が引き締まる思いだ。
俺は誤解を解いた後に、拘束も解いてもらえたのでコーヒーを入れている。
「お前の彼女だろ、義一。説明してやったらどうだ?」
中出が口出ししてくるが、やたら御堂から距離を取っている。
「まずそこのサングラス・オールバックの総長。
ちなみに俺と中出は経済学部だ。
「ああ見えてってどう見えてるんだ……」
「分かった。幸せになれるお薬(意味深)を作ってるのね。キメ●クとは恐れ入ったわ」
俺の雑な説明に余計な解釈を加える御堂。
「残念だが、童貞なんだな。これが」
そのサングラスは、悲しい真実から目を逸らすためか。
「薬品の誤飲によって総長は息子が発光してしまうんだ。そんでもって彼の二つ名は発光童貞。トイレ行くとき目が潰れないようサングラスをしてるんだよ」
「待って、一瞬の情報量が多すぎるのよ」
情報過多に、眉間を抑える御堂。
まぁ、無理も無いだろう。未だに俺もおかしいと思ってる。
「まず、二つ名って何?」
「いいとこ目を付けるねぇ」
総長、あんた何でちょっと嬉しそうなんだよ。
「童帝會の幹部はみんな二つ名持ちなんだ」
「あなたのは何なの?」
「限界童貞」
「予想通り。どうせ限界大学生だからでしょ」
「あってるけどさぁ……」
「中
御堂は涙目で奇声を発する俺に興味を失い、中出に声を掛ける。その呼び方やめた方が良いと思うんだよぁ。
「ぐっ……妻子持ち童貞」
偉い、中出。よく我慢した。
「これほど矛盾した日本語は初めて聞いたわ」
頭を抱える御堂の姉貴。
「え、どういうこと?」
「中出は子連れの奥さん居るんだ。今度結婚式やるらしいぞ」
「へ、へ~。オメデトウゴザイマス??」
まだ混乱が残る様子の御堂の祝辞に、中出が小さく頭を下げる。
「え、で発光? え、どういうこと?」
「総長は実験中に、何か変な薬品飲んじゃったらしくて股間が発光するようになっちまったんだと。かなりの光量らしくて、直で見たら目が潰れるぞ」
「物理的にヤれないじゃない」
「性行為どころか、日常のトイレでも苦労する始末だ」
半泣きの総長。
「薬品誤飲事件以来、俺は自分の息子を見た事がない。過酷な運命だよ、全く」
「格好よさげに言ってるけど、ただただ股間が面白いことなってるだけじゃないですか」
辛辣な後輩の言葉に、
「で、でも閃光弾並みの威力があるからな。パンツを脱いだらマジでやばいんだ…………」
「軍事転用できそうね」
「みんながムス化しちゃうよォ」
御堂は割と危険な思考の持ち主だと思う。
「犠牲を払ったって事は、それなりに普通じゃできない事もできる。例えば、中出は催眠術が使える」
「マジカル●●ポに、催眠術……エロ漫画にありそうな設定盛りだくさんじゃないッ!!」
さっきから御堂の知識が偏っているような気がしてならない。
「あなたは何が使えるの?」
期待に満ちた目で見てくるが、そんな大したもんじゃ無い。
「……対象が男限定に限るが、相手のケツを一瞬で破壊(意味深)できる」
「ア●ル・クラッシャーね!」
なんで御堂はそんな目をキラキラさせてんだ?
「女性でヤったら、捕まっちまうもんな」
「
総長はのんきな事言ってるが、近年ジェンダー関係は厳しいんだって!
「まぁ、義一にはこの力を活かしてもらって我ら童帝會の
「不貞の
後輩くんが興奮気味に語ってくれるけど、この力そんな誇れるもんじゃないからね?
「メス墜ち不可避ってやつね」
満足そうに腕を組んで、御堂は
「ふーん、エッチじゃん」
どこか清々しい様子で天井を見上げ、呟く御堂。
また台詞を取られてしまった。
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