第30話悪夢

 翌日。凪は絶妙に嫌な夢が終わるとともに目を覚ました。

 良い夢は思い出せないのに、嫌な夢は鮮烈に脳内に残る。

 凪の見た夢の内容とは、今日の決戦で負けた凪に、マークがずっと煽ってくるという夢だった。

 夢を見るタイミングが完璧すぎて予知夢かと思ってしまう凪。

 正直、凪にとって勝敗などどうだっていいのだが、もし負けてしまい夢と同じようなことになるというなら話は別。

 マークのことだから、勝った後もしばらくの間は凪のことを煽りに話しかけてくるだろう。

 それは凪が一番避けたいことだ。

 とてもではないが、マークにずっと煽られる日々を送ってもいいと思うほど凪は自分を捨ててはいない。

 逆にしばらくの間、死ぬことができないのであれば、凪のとる行動は一つしかない。

 それは『1人の時間を楽しむ』ことだ。

 当然のことながら、凪に『皆と楽しむ』などという考えは微塵もない。

 あくまで他の者と関わらず1人で楽しむことに固執する。

 それを実行するには、凪は今日行われる決戦に必ず勝たなければならない。

 勝てなかった場合、凪のこの世界での人生は終わったといっても過言ではないだろう。それぐらい凪にとっては重要な決戦になってしまう。

 仕方がなくではあるが、凪はやる気を出す。

 勝つことが絶対条件の凪だが、決戦のお題が発表されない限り事前に準備ができないでいる。

 故に、今の凪にできることなど一つとしてない。

 もしかすれば、『セレーネが言葉やしぐさでお題のヒントを示してくれるかもしれない』と考えた凪は、できるだけ今日はセレーネに注目することを決意する。


 「はぁ~…」


 しかし、やる気を出したり、何かを決意したりはするものの、やっぱり溜息をついてしまう凪だった。

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