第14話今後のこと
「はぁ~」
用事を済ませ帰ってきたセレーネは溜息をつきながら重い足取りでリビングへとつながる扉を開いた。
「それでですね、これなんですが…」
「これも見たことない材質だな…」
リビングの中では楽しそうに話している凪とロティの姿があった。
「ふーん。結構仲良くなっているじゃない」
そう言ったセレーネに話に夢中になっていた二人が気づき、セレーネの方を向いた。
「帰ってきてたんだ…」
「何よその言い方…あんたのために一日動いていたっていうのに」
「別に頼んでないし…」
凪の対応に少し怒りがこみあげたセレーネだったが、こんなことで毎回怒っていると自分の体がもたないため怒りをおさめる。そんなことをしているうちに、いつの間にかセレーネがもっていた荷物を片付け、次は何をすればいいか待っているようにセレーネのそばに立っているロティがいた。
「お帰りなさいませセレーネ様」
「ただいまロティ。悪いけど今日はもう何も頼むことはないから自由に過ごしていいわよ」
「かしこまりました」
セレーネの命令に従うように、ロティは凪と喋っていた元の場所へと戻った。
「それで…俺のために何をしてきたの?」
凪がそう言うと何故か自慢をするかのように胸を張り、あからさま偉そうな態度をするセレーネ。
「あなたには明日から学園に通ってもらうわ」
「え?嫌なんだけど」
「我慢しなさい。あなたの存在を怪しまれないための方法よ」
「…」
凪は否定こそしたがどうせ無理なことぐらいわかっていた。そんなことよりも、セレーネが思っていたより自分のことを考えていたことに凪は少し驚いていた。
セレーネも凪の対応に慣れたのか淡々と会話をしている。
「はぁ~…。それで…明日から学園に行って何をすればいいの?」
凪は学園に行く理由をセレーネに聞いた。
「そんなの私の身の回りの手伝いに決まっているじゃない」
「…は?」
凪はセレーネの言葉の意味が理解できずに動揺する。それに気づいたセレーネが少し微笑んだ。
「あら、あなたに学園に行ってもらうとは言ったけれど、生徒としてなんて一言も言ってないわよ」
段々と凪の扱い方が分かってきたセレーネ。会話の主導権を凪に握らせずに話を進めていく。それから20分ぐらいかけてセレーネは学園での行動などを説明した。
外は明るくてわからないがそこそこ遅い時間なのは眠たそうなロティを見ているだけで凪も分かっていた。
「というわけだから…明日からはくれぐれも私の足を引っ張らないように手伝ってちょうだい」
「はいはい」
今日一日で起こったことで疲労が限界に達していた凪は、話なんてどうでもよくなり適当に相槌を打つ。
「それじゃあ、明日は朝早いんだからもう寝なさい」
誰のせいでこんな遅い時間になっているんだと思った凪だったが、いちいち言葉にはしなかった。
「それでは凪様、部屋へとご案内いたします」
ロティの後をついていき自分の部屋に入った瞬間、凪は力尽きるように床に倒れこんだ。
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