第8話 この女子高生がうざい
よく見ると、現在花火はまだ何も購入していない様子。ああ、確かに今レジ混んでるしな。俺はレジが空くまでの暇つぶしに使われているんだろう。少しだけなら付き合ってやるか。
「そうか。花火そこの生徒だったんだな」
「ええ、その通り」
「友達とかと一緒に帰らなくてよかったのか?」
「はい、別に」
「そんな適当に答えなくてもいいじゃないか」
「ソウデスネ……」
ずっと真顔で返答する花火。AI機能搭載の会話アプリでももうちょっとマシな返事をしてくれるんじゃないか?
ああ、そんなにガキって言われたのが嫌だったのか。うーん、でもよく考えたら、俺も年上の人から言われたら確かに腹立つな……。
じゃあ代わりになんて言えばいいんだ!? 「女子高生」? 「女性」? 「マダム」? 最後のは絶対違うな……。
「ごめん花火! 花火はガキなんかじゃない! えっとそう……大人の女性だ」
「……いや、なんかそれも嫌なんですけど、まぁいいですよ」
絶対納得はしてないが許しては頂けた模様。ようやくまともな会話がスタート出来る。これから花火は絶対にからかわないようにしようと俺は誓った。
「それにしてもその格好、いかにも『探偵』って感じですね〜」
花火が小馬鹿にするように言ってきた。
「ああ、そうだろ。知り合った人のほとんどにそう言われるよ……ったく、いいだろ別に……」
このコートを着ている理由はカッコいいからとかでは無い。ふと誰かに触られた時のためのごまかし。つまり、高校時代の学ランと手袋の代わりだ……あー、嫌なこと思い出しちゃった。
まぁ、花火の前でならどんな服装でも良いのだが。
そしてその花火は、コートを掴んでバサバサやりながら俺を見下すような視線を向けてきた。
「え? 私少しも悪いなんて言ってませんよ? むしろ似合ってるじゃ無いですか〜!」
「あ、そう? ありがとね」
あらやだ、嬉しいじゃない。そうだ! 俺はもう不審者じゃない。探偵なんだー!
そして今度は、花火が俺のコートをクイっと掴んできた。
「それじゃ、さっさとこれ脱いでくーださい! どうせ変装してきてるんですよねっ?」
「そ、そうだな……ってなんで知ってるんだよ!?」
俺が驚くと、花火は腰に片手を当て前のめりになった。そして、彼女の口元がゆっくりと動き出す。
「ひ・み・つ!」
うぜぇ……。
ちなみに今のは、人差し指をちょんと口もとに当てて、ウィンクしてきた美少女に対して俺が素直に思った感想だ。
確かに俺は今、コートの下にスーツではなくこの学校の制服を着ている。依頼人から予備を借りたのだ。
でもなんで花火が知って……あ、そうだ花火、俺のコートをバサバサ揺らした時に見たのか。
花火がまた口を開く。
「探偵さん、お仕事苦戦中ですか?」
「いやそんなことはない、というか始めたばっかりだ。どちらかと言うとあなたに苦戦してる」
「……なんでぇ〜?」
うぜぇ……。
ちなみに今のは、ニヤつきながら首をきょとんと傾げた美少女に対して俺が素直に思った感想だ。
まずなんで苦戦中だと思ったんだよ。不本意ながら平和じゃない依頼は大得意なんだよコンチクショー!
それにしてもどんだけ俺で遊んだら気が済むのだろうかこの子は。アーケードゲームみたいに一回百円にしようかな。
「はぁ……。どうせ『
突然ため息交じりにそう言うと、花火は俺の隣の席に座ってきた。
いきなり今回調査する対象、「平井健太」の名前が出て来たので俺は即聞き返してしまう。
「なんで知ってんだよ!?」
「この学校じゃ有名なんで……ある意味」
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