第9話竜馬日本に帰る

渡米後も竜馬はたびたび日本に帰国していた。


1904年。日露戦争開戦を案じて、極秘理に東郷平八郎(西郷隆盛)らを訪ねた竜馬は、深夜に皇居に呼ばれ東郷平八郎(西郷隆盛)、桂太郎(木戸孝允)らと明治天皇陛下に拝謁し、今後の日本政府の方針を話し合った。


竜馬は、桂太郎(木戸孝允)には東郷平八郎(西郷隆盛)率いる日本海軍の全面的なバックアップを依頼し、東郷平八郎(西郷隆盛)には日本海軍の参謀として秋山真之の登用を進言した。


東郷平八郎(西郷隆盛)は、

「坂本さんや桂さんと会うのはこれが最後の機会になるかもしれん」

「われわれはもう一度死んだ身だが。坂本さんや桂さんと出会えて良かった。まっこて一生の親友でごわす」

桂太郎(木戸孝允)は、

「坂本くん。アメリカに帰る前に西郷さんにエールを送ってくれたまえ。なにか日本海軍の士気を高める言葉を!」

竜馬は、

「西郷さんに桂さん、今日はありがとう。バルチック艦隊と闘う日にはみんなにこう言ってあげてください」

「天気晴朗なれども波高し」

「皇国の興廃この一戦にあり」と。


その夜、明治天皇の皇后、昭憲皇太后の寝室に間違えて忍び込み、寝ぼけた昭憲皇太后と鉢合わせした。


機転を利かせて、

「誓って皇国の御為に帝国海軍を護り奉る」とだけ昭憲皇太后にささやいて竜馬は寝室を後にした。


翌朝、昭憲皇太后は側近の香川敬三に、

「昨晩、夢に出てきた大男は誰だったのか?」

という話をした。昭憲皇太后は寝ぼけて見た竜馬を夢だと勘違いしていたのだ。


前日、竜馬たちが秘密裏に明治天皇陛下に拝謁していたことを知っていた香川敬三は一計を案じて、竜馬の写真を用意して、

「ひょっとして、この男ではありませんか?」と昭憲皇太后に進言した。


「まさにこの男性です」と昭憲皇太后が答えると、香川敬三は、

「この男こそ、明治維新の最大の立役者、坂本竜馬です」


昭憲皇太后はたいそう驚いたとともに、この逸話は宮中に広まり、メディアを通じて日本中に打電されたのだった。


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