第36話
私は生きるためのお金がなかった
住む場所を追われ、食べ物は三日に一回食べられればいい
自分でお金を稼ぐ方法がなかった
身売りを考えたこともあったがこんな小汚いガリガリでガキのような体型をしている女のある場所いつ死ぬかわからないこの世界でなかった
これでも、18歳だっていうのに
私はマサトとシズカの二人が嫌いだった
いつもどこか楽しそうで苦労を知らない
そんなような顔をしていた
だから、私は金を盗んだ
あの二人が命懸けで稼いだような金を
だが、私は見つかってしまった
マサト達ではない
大金を持っているガキを狙っているような連中に
私は即座に金を取り上げられて
マスクも無しに外に捨てられた
私は白い霧と魔獣の足音が聞こえる
絶望した
だけど、安心した
やっとこの地獄が終わるのかと
涙した
喜びか悲しみかどちらかわからない
魔獣の大きな口が私に迫る
私は手を伸ばし、それを乞うた
しかし、その魔獣は吹き飛んだ
「大丈夫か?!」
私は大嫌いで嫌がらせをした人に助けられたのだ
屈辱だった
だけど、私は涙した
これもどちらかはわからない
だけど、私はマサトを引っ叩いていた
「放っといてよ。私は一人でも生きていけるの」
「いや、死にかけてた奴に言われたくないんだが」
私は、マスクをつけられて街に戻るまで泣きながらポカポカとマサトを叩いていた
私は、帰るとマサトからお金を貰った
なんて善に満ち溢れた人なんだろう
馬鹿な奴
とは思っていたが心の底から感謝していた
暖かった
しかし、それは長くは続かなかった
「よぉ?元気か?いいもん持ってるじゃん。その運分けろよ」
そう言って、私を殺しかけた連中が金を私から取り上げられて私を人質に取り、マサトにお金を要求した
私は暗く狭い部屋に閉じ込められて、膝を抱えていた
私はそういう運命
過去を振り返ってみても何で生きているのかわからなかった
だけど、生きたいと思ってしまった
マサトがいなければ、こんな思いしなくて済んだのに
そう思っていたら、ドアが蹴り開けられる
「あっいた」
マサトだった
私は行き場のない怒りをマサトにぶつけた
一晩中、泣いて喚いて助けを乞うた
一通り泣き叫んだら、マサトは笑っていた
意味がわからなかった
人の不幸を笑う奴だとは思わなかった
心底、失望していた
そんな、マサトが口を開く
「じゃあ、俺らについて来い。全部忘れられるくらいに楽しい日々を過ごさせてやる」
私は知っていた
全ては嫉妬が始まりだった
「・・・いいの?」
「笑え。楽しめ。踊り狂え。それが俺達、『笑うピエロ』だ」
私は再び泣いた
それから毎日がとっても楽しくて、フライっていう色欲馬鹿に恋もして、仲間がいて、温かくて
幸せだった
暗闇から救い出してくれた英雄それが記憶と重なった
「あー。思い出した」
「早くそいつだけでも殺しなさい。また痛みつけられたいの?!」
「あん?うるさいクソババア」
カリナは、艶狐を殴り飛ばす
「親に向かって!!」
「うるさい。お前なんか親じゃねぇよ。バァカ」
私は、笑っていた
笑って、世界を駆けていた
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