第19話
ロキちゃんの強さも分かったし、自分の課題も分かった。
何より仲間が増えたので、戦力も上がったよね。
僕達がゴブリンとオークに勝ったって話をしたら、ロキちゃんも戦いたいって言うので、明日は森に行く約束をした。
次の日、僕とリアはいつもの装備でロキちゃんを待っていた。
「揃ってるな、2人とも」
ニカッと笑ってロキちゃんがゆっくり歩いてくる。
ロキちゃんは丸太を持ってた。
「これが俺の武器だ。どうだ、強そうだろ?」
なんだか可笑しな格好だけど、とても強そうだ。
『ロキにはお似合いね』
「リアも格好良いって言ってるよ」
僕が翻訳するとロキちゃんは満足そうだったけど、リアにはジトッとした目で見られちゃった。
森の奥に進むと二匹のゴブリンがいた。
ロキちゃんが目を輝かせてゴブリンを見てる。
「おっし! これは俺の訓練だからな。まずは1対1でやらしてくれ。左のを貰うから、右のを頼む」
僕とリアはいつでも救援に入れるように魔力防御と補助を準備する。
そして右のを倒す為に集中して魔力球を出す。
良し!
2人とも命中して、ゴブリンは倒れた。
「ロキちゃん! 任せたよ。」
ロキちゃんが丸太を構えて飛び出す。
ゴブリンが憎らし気に睨んでくる。
遠心力を使って丸太を振り回すと、ゴブリンは持っていた棒で受け止めた。
すると棒と片腕まで丸太で叩き折っていた。
「ロキちゃん、凄いね。」
僕はコソコソとリアと話すくらい安心していた。
『力任せだけど、確かに強いね。って言うか。本当にラナはロキが好きよね。昔はロキが来ると私と遊んでくれなくなっちゃうし』
「ロキちゃんは僕のヒーローだからね。でもさ。今のリアと僕は2人で1人でしょ。」
リアにそっぽを向かれちゃったけど、耳が紅くなってるから照れてるだけ…だと思う。
僕は本当にリアが居てくれて良かったって思ってるのに、いつもその話をするとリアは紅くなって聴いてくれない。
ロキちゃんの方に目を移すと、最後は蹴り飛ばして倒してた。
「1匹なら勝てるな。2匹になったら怪しいが」
「それに何匹も相手にするなら、無傷ってわけにもいかないだろ。やっぱり防具がいるな。」
ロキちゃんはとても器用だ。
昔は色々な遊び道具を作ってくれたりした。
「良し。ちょっと明日から訓練休むぞ。俺は防具を作ってみる」
ロキちゃんの防具楽しみだなぁ。
その日は他には魔物に出会わなかったので薪を拾って村に帰った。
次の日、僕とリアが訓練をしているとトモちゃんが来た。
「やってるわね。なるほど。冒険者さんみたいな動きね。これなら、ロキが言っていた事もちょっと信憑性が上がるわね。」
トモちゃんは昨日、ロキちゃんから相談を受けたらしい。
それで、僕達の様子を見に来たんだね。
昔はトモちゃんも遊んでくれたけど、今は15歳。
村では成人扱いなので、叔父さんの仕事を手伝ってる。
「魔法、見せてくれる?」
僕は土を、リアは風を出した。
「本気なんだね。」
トモちゃんは目を伏せて少し黙った。
「私も信じるわ。ラナ君達の言った通りになったら、1年後には大変な事になりそうだし。」
トモちゃんは長い髪をかき上げて僕達を見た。
「私は回復魔法を覚えるよ。皆んなが怪我をしても治せるように。お父さんに言って教会に修行に行ってくるね。」
トモちゃんは大人だから、適正さえ有れば教えてくれるんだよね。
「私も仲間になるからよろしくね。」
トモちゃんも仲間になってくれた!
嬉しい。
リアも嬉しそうだけど、なんだか複雑そう。
「大丈夫よ。リア。取ったりしないから。」
トモちゃんが優しそうにリアを見て言うと、リアは真っ赤になってた。
何を取られるんだろ?
「でもね、私達だけじゃ手に余る話だわ。村領主様に報告したい所だけど、今のままでは聞いてもらえないと思うの。」
トモちゃんは綺麗な指を立てて説明を始める。
「オークを倒したんでしょ? あれは捨てるところが無い程、良い資源なんだよ。お肉は美味しいし、皮も使えるし、骨も使えるの」
「だからね、倒したら村領主様の所に持っていくの。そして強くなった事を認めて貰ったら堂々と森に行って探索する。」
「そして、魔物が溢れてくるっていう前兆を必ず掴んで、王国に対処してもらうの。それしかないわ。」
確かに僕達だけじゃ、何も出来ないかも…
僕とリアはあの日、殺された事が頭にこびり付いていたから、強くなれば何とかなるって思っていたけど。
「私も仕事の合間だから、あまり時間は取れないけど。回復魔法は覚えてみせるわ。冬が終わるまではそれぞれ修行に努めましょう。」
トモちゃんのおかげで、方針が決まった。
強くなるのは大前提。
そして、領主様に話を信じて貰えるようにオークを沢山倒して、強さを認めて貰う。
あとは、魔物が溢れる前兆を見つける。
まずは領主様に認めてもらえるくらいの強さを身に付けなきゃ。
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