第51話

その事は、アンジェリンとこのKBSに付いては関係が無い。なので余談だが、一応記しておこう。                アンジェリンはアメリカの大学に入り、その数年後の話だ。いきなり母親がどうしても 日本に戻れと言い、もう高い学費は払わないと言い放った。               理由は、知り合いの子供が米軍基地の中で 働いているのが分かり、どうしても自分も娘を入れたくなっからだ。              自分も基地内で働いていて、その知り合いもそうだ。そしてその娘はアンジェリンよりも一歳上で、同じ幼稚園の頃から、小さな頃から知っている子供だった。              アンジェリンの母親は、何でも思い立ったらやらずにはいられない性格で、その為には どんな理由でも考えたりこじつけたりをした。そしてどちらかと言うと、どうでも良いとか大した事や当たり前な事に対しては慎重になり過ぎる傾向があり、重大だとか大切な事に対しては余り深く考えず、思い付きで行動する軽率な面があった。そしてそうした面は、特に娘に対して強かった。          なので何を言っても絶対に無駄な為、アン ジエリン仕方なく日本へ帰国する羽目になる。                  そしてその後はオーストラリアやアメリカへ行く事になり、そのずっと後には又渡米してアメリカに住む事になる。結果アメリカに母共に永住する事になり、長年住み続けた後に又二人で、連れて行った愛犬数匹と共に日本へ戻る事になるのだ…。                         だが兎に角、彼女が日本に戻りそれから何年か経ったある日の事だ。いきなりドリーから家に電話があった。確か28才の頃だ。          驚くアンジェリンに、ドリーはいきなりベラベラと一方的に話し出した。こちらの都合などおかまいなしに、聞きもせずに。    相変わらずとても身勝手で、中味は我が儘な幼児と何も変わらなかった。              ドリーはアンジェリンに、今は東京に住んでいると話した。日本に戻った後に、親に何処かの会社に入れられてそこで一年程、事務員として働いていたらしい。        だが単調なつまらない生活に嫌気がさしていた事から、思い立って東京へ出てきた。職場にも家にも何も言わずに黙って出て来たと 言った。                  だが東京には誰も知り合いがいないから、KBSの時の名簿にある居達さんの電話番号へ駅から電話をかけて、無理矢理に呼び出した。驚いた居達さんだが余りのしつこさに 仕方なく出て来たが、直ぐに家に戻る様に 言うと帰ろうとした。彼は物凄く迷惑そうで、怒っていたそうだ。。              だが泣き付きながら彼の腕にしがみ付き、 絶対に離さないドリーの常套手段に、一旦は 独り住まいのマンションへ連れて帰った。 落ち着いたら帰すつもりだったらしい。               彼はその頃、真剣にある女優と交際していた。そしてその彼女との結婚を考えていたからだ。だから女の影かあっては困ったのだ。                  そしてこの女優は、彼の妹でやはり女優の 芥川靖子の友人だったので、そこから親しくなったらしい。       

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