第84話 10月30日 夜 日曜日5

 東山さんからの質問に、俺と胡乃葉がフリーズ。ちょっとだけな?いや、あまりに急なことでね。思考停止しただけだよ。そんなことで、ちょっと間があってから。


「な。ないから。違うからー」


 まず胡乃葉が活動再開。それを追うように俺も活動を再開した。


「だな。たまたま会うようになった。ってだけだし」

「でも、2人名前で呼び合ってる」


 確かに――って、それはあれだ。


「——それは――あれ?胡乃葉が言い出したんだよな?」

「えっ。あ……は、はい」


 ちょっと恥ずかしそうに頷く胡乃葉。確か俺は米野さん。って呼ぼうとしたはずだからな。その前はココだったし。って、なんか少し前の話なのに、すごく前というか。俺と胡乃葉って、まだほとんど互いの事知らないはずなんだがね。なんか一緒に居る時間が長いような?いや、長くないはずなんだがね。金曜日の日だけって感じだし。あれか?今日長く会って話していたからそんなことを思うのだろうか?

 って、今話している途中だったな。違う事を考えていると東山さんに突っつかれるな。


「何で何で?胡乃葉ちゃん普段そんなこと言わないよね?男子の知り合いだと――苗字だよね?」

「い、いや――先輩。えっと――金曜日の事言っていいですか?」


 すると小声で胡乃葉が許可を求めてきたが。特に隠す必要はないので問題ない。


「まあ揉めるというか。ややこしくならないように話した方が楽と」

「金曜日?」


 東山さんの頭にクエスチョンマークが浮かぶ。そりゃそうだわな。意味わからないわな。


「いや、俺と胡乃葉な。毎週金曜日に夕食を一緒にってか。な?」

「です。たまたま私が居たお店が先輩の行きつけ――で、なんかそれから話すのが毎週続いて――」

「そうそう。毎週金曜日ドーナツ生活」

「——ドーナツ生活?」

「あっ、姫子ちゃん。先に言っておくけど、先輩。金曜日の夕食はドーナツしか食べない危ない人だから」

「はい!?」


 おい。胡乃葉、今おかしなこと言わなかったか?


「胡乃葉がおかしい事言った気がするが――まあ触れないでやろう。って、えっ?そんな反応ってか、驚かれるようなもの?週末に甘いもの必須じゃない?」


 あまりに東山さんが驚いた表情だったので、俺が確認してみると――。


「いやいや――それは何と言いますか。夕食がドーナツ……普通かな?」

「だよねー。って、最近……私もだけど」


 そりゃそうだわな。毎週金曜日胡乃葉は同じところに居て、ほとんど同じもの食べて、過ごしているからな。だから危ない人とか胡乃葉言ったが。自分もドーナツしか金曜日の夕食食ってないと思うぞ?


「えっ!?胡乃葉ちゃんも毎週金曜日ドーナツ生活?えっと、大丈夫?」

「えっ、えっと――まあ、先輩とだから。問題は――体重……」


 胡乃葉は東山さんに返事をしつつ――何故か後半はもごもごとなり聞き取れなくなった。


「いや、東山さん。実は近くに美味しいお店があってね」


 胡乃葉が黙っていったので、奈良俺が話そうとすると――胡乃葉が復活した。


「先輩。語りだすと止まらないのでお静かに」

「何でだよ」


 急に胡乃葉に話を止められたのだった。ドーナツ屋について語りたかったのに、あそこ美味いしお客さん増えることで、お店も続くと思ったんだが……。


「美味しいドーナツ屋?それはそれで気になりますが――」

「姫子ちゃん姫子ちゃん」

「なに?」

「いや、ドーナツ先輩より」

「言い方、胡乃葉」


 さっきから俺の扱い酷いよな?危ない人とか。ちょっと仕返しそろそろした方がいいか?って――なんて仕返ししようか……浮かばん。


「お静かに。先輩」

「何で胡乃葉が仕切ってるかなー。いいけど」

「ってか、胡乃葉ちゃん。なんか焦ってる?」

「そ、そんなことないから」


 図星なのか。ちょっと慌てている?胡乃葉だった。モロわかるという反応だったな。って――なんで焦ってる?俺はただ美味しいドーナツ屋を広めたいだけなのだが……。


「ってか。実は私。胡乃葉ちゃんと先輩繋がってるのは知ってたんですよねー」

「えっ?」


 俺がドーナツ屋情報を何故か東山さんに語れない――となっていると。急に東山さんがそんなことを言い出したのだった。って、あれ?俺は胡乃葉が同じ大学ということをやっと知ったのに――なんで東山さんからそんな知っている。知っていたという言葉が出てくるんだ?と、考える俺だった。ちなみに胡乃葉もなんで?っていう表情だったな。

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