第80話 10月30日 夜 日曜日
「JRの駅って初めて使いました」
「だろうね。わざわざ遠い方に来ないだろうし。最終も近鉄の方が――だから」
「です。って、先輩。その、急だったのにありがとうございます」
「いや、ってかさ?胡乃葉」
「はい?」
「俺……居ていいの?」
「あっ――えっと。はい。大丈夫です」
ちょっと恥ずかしそうに答える胡乃葉。いやいや恥ずかしいなら――俺居ない方が良かったのでは?なら、たまたま会った的な感じでその時に説明するとかの方がいいのだろうか?そうだよな。大学のところで、する。しているなら気になったから見に聞いてみた――そしたらちょっと知り合いと――とか言う感じでいけそうだな。
「不都合ならさ。話しを――」
「いえいえ、そんなこと」
「そ、そうか?」
「はい、って、電車来ましたよ」
「電車の時間気にせず出てきた割には、電車のタイミングはちょうど良かったな」
「ですね」
少し胡乃葉と話していると、ちょうど四日市方面へと向かう電車がやって来たので、俺と胡乃葉はとりあえず電車に乗り込んだ。
「ってか。胡乃葉」
「はい?」
「何で俺は誘われた?やっぱり考えると。友達居るなら――俺邪魔じゃね?もうここまで来ているが」
「だ、大丈夫です。えっと――その紹介しておきたいと言いますか」
「紹介?俺を?」
「そ、そうです」
「また何故」
「いや――ゆ。友人はたくさんいても。それに先輩に居るといろいろ聞けると言いましか――そうです、前に話した時に先輩の知り合いが――となったので、ちょうどいいかと思いまして――」
「そうなのか?って――俺でいいのか?」
「い、いいんです」
今無理に理由考えてないか?疑惑はあるが。電車の乗車時間はそれほど長くないため。車内で胡乃葉と話していると、俺と胡乃葉を乗せた電車は四日市へと到着した。
それから大学までの道のりも胡乃葉ともちろん話しつつ。無言とかだと気まずいがな。胡乃葉がいろいろ話してくれたから会話は続いていた。
「——私こっち歩いたことなかったかもです」
「そりゃさっきも言ったが。近鉄側だとな。真逆だからな」
「です」
「まあグラウンドとか使うやつなら――いや、来ないか」
ふと大学の別の敷地。建物ではなくグラウンドの方を見るが――言っている途中で、それもないか。と普段グラウンドを使わないのが露呈したのだった。
「ですかね。ちょうど真ん中なので、いつも通りの方を使うかとです」
「だよな。使わないから何となくでな。って、グラウンドとか胡乃葉言ったことある?」
「えっと――ちょっと見に行った――ってくらいですかね」
あははー。と答える胡乃葉。もしかして同じくらいの認識らしい。
「まあそんなもんだよな。ちなみに俺も数回はじめのころに、どんなのか見に行っただけなんだよな。だから――あやふや」
「先輩はサークル――」
胡乃葉は言い出したが。すぐに言葉を止めた。気が付いたらしいので俺が続きを話す。
「入ってないからな。それもあってドーナツ求めて三千里が出来た」
「な、なるほど。って、ホント先輩ドーナツ好きですよね」
「あれに勝てるものはない」
「——なかなかですね」
いや、ドーナツは最強だからな。これは譲れん。って、気が付くと、ちょっと前の方がにぎやかになってきていた。
「ってか、あそこなんかしてるな」
胡乃葉と話しながら歩いていると、大学のちょうど玄関あたりでテントが出ており。子供たちが少し集まっていて。仮装した大学生だろう。子供たちにお菓子をあげたり写真撮影をしていた。規模はそれほど大きくなさそうだが――でもいくつかお店も出ていて、ちょっとしたイベントって感じだ——と、思ったのはこの時までだ。
「ですね。子供たちが集まってますね。かわいい」
確かに小さい子メイン。それに大人といった感じでほんわかした感じだ。ちょっと仮装を見て泣いている子も居るが。それはそれでいいのか泣きじゃくる子供の写真を撮っている人数名ってやつだな。子供も大変だわ。
「っか、胡乃葉どこにその友達は居るんだ?」
「あっ。聞くの忘れた」
「おいおい」
「す。すみません。ちょっと待ってください。確認します」
すると胡乃葉は立ち止まりスマホをポチポチと連絡を開始。すると。
「公園の方行こうぜ!」
「——うん?」
一番会いたくない奴の声が聞こえてため。さっと俺は身体の向きを変えたのだった。
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