第48話 10月14日 金曜日3

「先輩?」


 ココとの話中。無駄に過去を思い出していた俺って――ココと話している途中だった。と、気が付くと同時にココが心配そうに話しかけてきた。


「あっ。その――すまん」


 俺は慌ててココの方の話に戻る。俺が勝手に脳内で――じゃ、ココからしたら急に黙った。だからな。


「いや、別に謝らなくても。なんか先輩の思い出したくないこと思い出させちゃったと――」

「いやいや、俺も自分がどんなのか知れたから助かってるぞ?」

「私だと――そうなったら立ち直れない――うん。無理です」

「まあ気にしない――っていうのもなかなかか」

「気にしちゃうですね」


 机に落書きでもするかのように指でもじもじしながらココがつぶやく。本当に自信なしといった状況らしい。


「でも、ココ初めてなんだろ?もしかして――とか」

「いや――自分では今までの学校の音楽の時間とかで。多分歌は――と。中学の時とか合唱でももっと大きな声で――とか発音を!とか。かなり言われましたから」

「——なるほど」


 納得するのは悪いかもしれないが。確かにココの雰囲気からハキハキとうたっている雰囲気は――だった。恥ずかしそうに。でも頑張ってる歌っているイメージだな。これは俺の勝手なイメージだがな。そんな雰囲気があった。でも――それはそれで問題ない気がするし。可愛いようにもみえるが――。


「先輩。ずっと空気みたいに過ごすのはどうしたら――?」

「ココの場合難しそうだな。話しかけられまくりそうだし」

「——ですかね。何故かいつも話しかけられるんですよね」


 困ったようにココがつぶやく。いや、ココ。ココは目立つというか。それは仕方ない気がする。雰囲気的にも話しやすい感じだし。ココには近寄るな。って感じもないからな。


「ココには、集まるかと」

「何でですかね?」

「ココは――話しやすそうだから?」


 かわいいから。とはさすがに言えなかったが。って、ココ自分の姿――気が付いてないのだろうか?普通に美少女さんですよ?ココ。


「あ、ありがとうございます。私は――結構オロオロしちゃうから――なんですが。そう見えますか?」


 多分そういうのもひっくるめて、ココは関わりやすいかと。それにほっとけないというか。たまにポカしそうだし。


「まあ、ってか。初めてなら――友人が居るならデュエット。一緒に――とか言ってみるとか?」

「あー、その手がありましたか。何も1人で歌わなくてもいいんですよね」


 少しココの目に輝きが――って、マジでカラオケ嫌なのね。ホント逃げる方法をココは考えているらしい。必死だ。


「うん。ってか、人数が多いなら。みんなで――とかになったらそこに混ざればいいのでは?で、1回歌えば、さっき歌いましたから。とかで逃げる」

「なるほど、ちょっと覚えておきます。誰かとなら――まだマシかもですから」


 するとココ。スマホを取りだして――操作。隣に居るので、少しのぞかせてもらうと――『誰かを巻き込む――』などと、ガチで俺が言ったことをメモしていた。いやいや俺なんかの言葉をメモしてどうする。でも、今のココの様子を見ていると可愛いというか。面白いというか。さらに何かアドバイスしたくなった俺は――。


「後は――飲み物運びでもするか。接待?みたいになるから嫌か」


 そんなことを言っていた。ちなみに、俺はしたことない。でも――なんかココにならしてもらいたいな。ということで、つい、口から出た言葉だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る