第45話 10月7日 金曜日3
それからココが席に戻って来たのは店内が空いてきたころだった。かなりの時間引きこもり?をしていた。いや、かなり――は、大げさかな?10分ほど。と思う。
「——」
「——」
そんなこんなで、俺の横にココは戻って来たが。今のところどちらも何も話さない。というか何を話したらいいのかわからなかった。
ちなみになんやかんやとしている間に、時間は21時45分を過ぎている。
もうすぐ閉店だ。でも今日はまだもう1組お客さんがいるため。お姉様はまだ絡んでこない。あと――先ほどの俺がなんかやらかしたのは――気が付かれていないらしい。これは今のうちに出るのが正解かもしれない。この後今残っているもう1組が帰ったら絶対絡んでくる。
「——こ、ココ?」
「は、はぃ……」
俺が声をかけると、ここは恥ずかしそうにこちらを見てきた。まだ頬は赤い。
「その――さっきは」
「あっ、いえ――私がやらかしたことですから――」
「ってか。後ろからの視線が来る前に、撤収を考えているのだが――どうだ?」
俺は小声で言いつつ。まだ1組残っているということを指で後ろを指差すというかとにかく。ココに伝える。
「――賛成です」
するとココにはすぐに伝わった。良かった。どうやらココも同じことを考えていたらしく。俺達はすぐに片付けに入り。今日はいつもより気持ち少し早くお店を出た。
その際。お姉様が『あれ?もう帰るの?』と言ってきたがちょうど話が終わったから――などと適当に理由を付けて足早に撤収した。怪しまれたか――と思ったが。特に怪しい雰囲気はなかったはずなので、脱走成功だろう。お姉様が変な解釈をしていないことを後は祈るだけ。
ドーナツ屋を出た後、俺の横を静かにココが歩いていた。
はっきり言おう。なんか気まずい。
「——えっと?ココ?怒って――」
「あっ、いえ、怒ってないです……はい」
俺が怒られるのを覚悟で聞いてみると。手をワタワタしてここが返事をしてくれた。とりあえず俺はココを怒らせてはないらしい。
「その――お恥ずかしいところを――まさか口にもクリームがなんて……」
小声でボソボソとココが話す。
「いや、まあ――派手に食らいついていたから」
「――あと、先輩が大胆で驚いただけですから、先輩は何も気にしなくて――」
「いや、あれはホント、なんであんなことをしたのか――なんか今日のココは愚痴ってだらけてで――脳内が子供と判断していたらしい」
「——子供」
隣からちょっと小さな声が聞こえてきた。しまったー、余計な事言った……。
「あっ、悪い」
「——まあ子どもですね。クリームぶちまけていたら」
すると、今度こそ、ちょっとココが拗ねたみたいになってしまった、これはどうすれば、せっかく怒っていないことがわかったのに即問題を起こす俺だった。
「——そ、そこまでぶちまけてないがな」
「でも――子どもですね、はい。子どもです」
「すみません」
そう、こういう時はとにかく謝るである。
「——ま、まあ今回は許します。次、子供って言ったら――拗ねます」
あれ?今拗ねていませんでしたか?ということは言うと、さらに悪化するのはもちろん俺でもわかっているので、今度こそ余計な事は言わず。
「ありがたきお言葉」
お許しの感謝を表しておいた。
「ふふっ。何ですかー。それ」
「でもまあ――今週のココは大変だったと」
「本当ですよ。大変だったんです」
ココが笑顔になったところで俺はちょっと安心。それから駅まではまた少し話しつつ俺達は向かったのだった。
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