第43話 10月7日 金曜日

 お姉様にいろいろ取り調べをくらった翌週の金曜日。

 今日も俺はドーナツ屋に来ているのだが……今度は俺の横で潰れているお方が居た。それはお姉様――ではなく。ココである。

 今何が起こっているのか先に言っておくとココの愚痴を聞いているところである。


「疲れましたー。1週間大変だったですー」


 机。カウンターに潰れているココ。ちなみに来てすぐこんな感じなので、飲み物とドーナツはココの手や腕が当たらないように俺がそっと移動させて俺の前にある。


「ホント、今日はココお疲れなこっただな」


 俺は隣で潰れる後輩を見つつ。コーヒーを飲む。ここに来るまでは疲れでぼーっとしていたが。コーヒーで目が覚め。ドーナツで糖分を回復をした俺はココの話をちゃんと聞けていた。


「食事会ならもっと楽しくしましょうよーです。何でニコニコと笑顔作ってないといけないんですかー。あれは食事会ってより。まず参加していた先輩の……いろいろ。これはもしがあるので言えませんが。って、その後もなんかドロドロした話もあったりと。とにかく私は疲れました。自然体で過ごせないのはつらいです!」

「ドロドロって――何その怖いの。って――何か闇を聞かされているのか。俺は」

「あっ、私は何も闇持ってませんからね?大丈夫ですよ?先輩」

「——まあだろうな」


 ココに闇は――ないな。今ちょっと愚痴で見えているが――これはここの中にある闇ではないはずだから。


「むー。ちょっと間がありましたけど?」


 おっと、ちょっと一瞬考えてしまったのがバレたか。って、いや、俺達、本当にここで毎週会って話しているだけだからな。あまりに互いの情報を知らないから。そりゃちょっとくらい考える時間くれよ。


「まだココの事は知らないことだらけだからな」

「まあそれはそうですが――闇はないです」

「ってか。人付き合いって大変だよな」

「大変ですよ。だから、私はやっぱり……ククさんと話すこの感じがいいです」


 そう言いながら身体を起こし。ニコッと微笑んでくるココ。いやいや何故ドキッとさせてくるのか。変にきょどるらないようにするの大変なんだが――でも、なんかバレずに話している。

 って、そうか。俺達は先ほども言ったが、ここで会うだけでほとんど互いの事を知らない。だから気軽に愚痴れるわな。

 俺も旺駆里の事とかもっと愚痴っても――いや、もしかしたら旺駆里のタイプは大学を超えて有名人の可能性もあるからな。県外とかでも余裕。もしかしたらネット使ってさらにとか――ありそう。ありそうで怖い。そういえば、前にチラッとネットかなんかで繋がっている人らと食事会みたいなこと言っていたような――あるな。俺の知らないところで旺駆里は活動しているな。ホント、今はすごいね。ネットで顔も知らない人といきなり「会うか」で会えるんだから。俺は――無理かな。


「先輩?どうしました?」

「あー、悪い。こっちの闇を見ていた」

「先輩に闇――」


 心配そうにココが見てくるが――いやいやココそんな大きな闇じゃないから。って、旺駆里の事だと――大きな闇になるのだろうか?


「いや。俺は闇――持ってる?」

「いやいや、私に聞かれましても」


 そりゃそうだわな。


「って、確かに私も先輩の事となると――ドーナツ好きで。くらいしか」

「それを言うと、ココもなんやかんやと言いつつもいつもドーナツ食べているドーナツ。甘いもの好きか」

「なっ、また遅い時間になっちゃってるー!」


 俺がふと眼の前で忘れられているであろう。ココのドーナツと飲み物を見つつつぶやくと、ココも気が付いた。思い出したらしく。俺の前にあったドーナツと飲み物を回収していった。


「今日はクリーム入りのを頼んだんだな」


 遅い時間に。と、言っている。後輩にとどめ――とはならないと思うが。俺は目の前から移動して行ったドーナツを見つつつぶやく。

 今日のココはドーナツの中にクリームが入っている物を頼んでいた。あれだ、いつもお姉様が俺におすすめと押してくるが。頼まない奴だ。いや、俺はオールドドーナツ派なのでね。そう簡単にはブレない。確かに美味しそうなんだがな。


「……甘いの食べたかったんです――はむっ」


 するとぶつぶつ言いつつも、ココはいつものように両手でドーナツを持ち。頬張っていた。

 やっぱり――ハムスターだな。ドーナツをヒマワリの種に変えたら、ハムスターである。

 あれ?そういえば俺昔ドーナツで何か――と、ふと昔の事がよみがえってきた。思い出そうとした時だった。


「——ふにゃ!?」


 隣で可愛い悲鳴と――白い物が噴出?した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る