第31話
「勝った。」
「負けた。」
何故か光がスポットライトのように収縮して涼奈さんとみずきちゃんを照らす。
涼奈さんは天高く両拳を掲げ勝利を心底喜ぶように吠えていた。
「うおおおお、やったやったぞ。」
うん、某釣り船屋の倅がボクサーになる物語に出てきそうなシーンになっている。
みずきちゃんの方を見れば日本人らしく黒髪だった彼女の髪の毛が一瞬にして真っ白になり燃え尽きたように服も脱色していた。
こちらは思わずJhooooooooo!!!!!と叫びたくなる光景だった。
「こうなってはしょうがないね。」
「えっとこの現象に心当たりがあるんですか?」
「涼奈ちゃんのスキルの黒歴史だよ。
彼女のスキルは偶に周りを巻き込むんだよ。
今のシーンは恋のゴングを鳴らして試合終了したんだ。
少なくとも新人王は獲得できただけの喜びはあったんだろうよ。
でもみずきの方は世界タイトルを逃して判定負けしたくらい悔しかったんだろうね。
それがどうなったのかはわからないけど別の漫画が融合しちまってるのさ。」
うん全然わからん。
でもスポットライト現象はすぐに収まった。
みずきちゃんの髪は白くなってしまってはいるが銀髪のようになっていた。
加えて眉毛やまつげも銀色に輝いていた。
「なんかみずきちゃん綺麗になったね。」
ピクッ
「自然に脱色したから定着してるかもしれないね。
悪いけど涼奈ちゃん今度メアリーちゃんに鑑定してもらえないかね。」
「むむむ。」
「恋の戦争に戻って行ったか。
モテる男は辛いね。
旦那もこのくらいモテてくれれば私ももっと燃えたのにね。」
旦那さんがとてもかわいそうな気もする発言をしているのだが既に第二次恋愛戦争は始まってしまっているようだ。
少しずつ動き始めているみずきちゃんに対して威嚇するように涼奈さんは俺に腕を絡めていく。
「でもねえ。みずきは掃除も出来ないし料理も出来ない。
このままじゃあ一人暮らしもさせられないような子に育っちまうからね。
結婚するにしても一人暮らしするくらいのことをできないようにしないと結構苦労するもんだよ。
涼奈ちゃんもギルドの寮住まいだろ。
家事もきちんとできるようにしておいた方が良いよ。
野営料理は家事ができるうちには入らないからね。
私も夫に凄い迷惑かけていたたまれない気持ちになったから本当にやっておいた方がいいよ。」
ここで主婦の爆弾的発言によって両者の表情は砂のように崩れ去った。
絶望の表情はムンクの叫びが一般的な表現とされるが彼女たちの場合は完全なる無表情。
もしこの表情でポーカーなどのテーブルギャンブルをやられたら絶対に負ける気しかしない表情をしていた。
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スライム道
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