第64話:父性愛2

「謝る必要はない、素晴らしい発見である事には違いないからな。

 だが、使い方はとても慎重に行わなければならない。

 同時に、厳重な秘匿も必要になる。

 この知識と技術の独占は、大公家が大陸に覇を唱えるカギとなる」


 うわ、父上が様変わりしてしまっているよ。

 母上に詰め寄られて気弱になっていた父上はどこに行ったんだ。

 まさかとは思うが、知識を手に入れた事で、覇権主義者になってしまったのか。

 あのお優しい父上に限って、多くの血を流してでも大陸を統一した方がいいなんて、独善的な事を口にするとは思えないのだが。


「大公閣下、この知識で得られた力を有効に使うには、さきほど申された倫理感を捨てなければいけませんが、その事はどう考えておられるのでしょうか」


「それはイーライが考える事で、私が考える事ではない。

 この知識で飛び抜けた力を持つ者が生まれ育つのは、イーライの代だ。

 イーライの血を継ぎ、イーライの魔力が受けた子供が、イーライを助けてこの大陸を統一し、争いのない世界を築くのだ。

 私とスカイラーの子供は、私とスカイラーの血を継ぎ、私とスカイラーの愛情と魔力を受けて育つのだ」


「承りました、この知識と技術は大公家で秘匿し、どこにも漏らさないように厳重に警戒致しますので、ご安心ください。

 ただ毎年お子様を設けてくださるように、伏してお願いお願い申し上げます。

 大公殿下と奥方様の愛情と魔力を受け継がれたお子様が、どのような魔力を持ってお生まれになり、どのように育たれるかをお見せいただきたいのです」


「ふう、まだ毎年子供を作れと言う意見は下げないのか。

 確かに、他人の魔力を受ける訳でもないし、治療の術式も教えてくれるのだろうから、妊娠出産には何の問題もないのだろう。

 イーライの子供が生まれる時の為に、前例は多い方がいいだろう。

 だが気持ちの問題が追いつかない。

 それでも、どうしても子供を作れと言うのなら、条件がある」


 気持ち、情愛の問題か、俺には理解し難い問題だな。

 前世では全く分からなくて、今生で徐々に親心と言うモノがあると分かった。

 母性愛や父性愛があると言うのは、今生の母上と父上の言動を見れば、頭ではわかるし、心も温かくなる。

 でも、怖いという気持ちと、信じきれない気持ちがどうしても残る。

 愛情豊かだと思う父上が、気持ちを押し殺してでも出される条件て何なのだろう。


「オードリーとサバンナの事だ。

 魔力の実験をするのなら、二人に魔力を付与できるようになる実験をしろ。

 今まではイーライだけが魔力持ちで、二人に魔力がなかったから大丈夫だった。

 だがこれから生まれる子供全員が魔力持ちとなったら、二人が魔力のない事で辛く哀しい思いをしなければけななくなる。

 不可能な事を言っているのは分かっている。

 だが今回の件も不可能だと思われていたことだ。

 結局時間と魔力を浪費する事になろうとも、実験をしろ、分かったな」

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