第51話:閑話・ファイフ王国軍・セバスチャン視点
イーライ様にはご負担をおかけしてしまいました。
子爵や子爵夫人の気持ちも分かるので、処罰するわけにもいきません。
高位貴族なら、生まれた直後に婚約者が決まる事もあります。
大公家の嫡男となったイーライ様に、まだ正夫人が決まっていない方がおかしいと言う事もできるのですが、だからと言って先に愛人を勧めるのはやり過ぎです。
せめてイーライ様が性に目覚めてからにして欲しかったです。
まあ、大公殿下や私が直接処罰しなくても、子爵家は報いを受けるでしょう。
信じられないほどの支援をもらっている状況で、それを逆手にとって抜け駆けしようとしたのですから、他の貴族家からの報復されます。
大公家にすがらなければ、自領の産物以外何一つ手に入らなくなるでしょう。
手に入れられたとしても、相場では考えられないくらい高価になっているはず。
それに、何よりイーライ様に悪い印象を持たれてしまっています。
まあ、もう子爵家の事などどうでもいいです、何時でも切り捨てられます。
大恩を受けたのに抜け駆けするような家を見捨てても、貴族士族は動揺しない。
イーライ様と大公閣下は臣従した貴族士族を見捨てたくないと言われるでしょうが、他の全ての貴族士族が見捨てるべきだと言えば納得してくださるでしょう。
それに今直ぐ切り捨てる訳ではなく、もう一度大公家に負担をかけた時です。
だが、まあ、そんな時は来ないかもしれません。
イーライ様の従魔たちがファイフ王国軍五万を追い払ってくれました。
人間を傷つけてイーライ様の心に負担をかけることなく、追い払ってくれた。
人間相手に虫けらのようにとは言いたくないが、そんな感じを受けました。
それほど簡単に追い払えたのは、隔絶した実力差があったからでしょう。
それに、足手まといどころか、私たちに味方する奴らがいましたからね。
先の壊走をなかった事にしたいベンソン将軍が、逃げ散った味方の代わりになる人間をかき集めて、ファイフ王国軍に合流したのです。
戦った事もないような平民を剣で脅して、ろくに武器も防具も与えずにつれて来ていたのですから、強大な魔獣が迫って来て耐えられるわけがないのです。
いや、平民より先に、残っていた正規の騎士と兵士が逃げだしてしまいました。
先の逃亡でイーライ様の魔獣に与えられた、本能からの恐怖に耐えられなかった。
ファイフ王国軍にイーライ様の従魔に対抗できるだけの胆力と戦闘力があったとしても、後ろにいた味方であるはずの王家軍が逃げだしたら、恐怖に負けてしまう。
まして、胆力も戦闘力もなかったとしたら、一瞬で軍が崩壊してしまいます。
歴史的には裏崩れとか友崩れとかいう現象で、戦争にはよくある現象です。
総計六万の軍勢が、まったく戦うことなく潰走したのです。
先の戦いと同じように、戦う事もなく負けを認めて、死にたくない一心で、無秩序など全くなく、散り散りに逃げていきました。
王家の軍は国内のどこかに逃げて行きましたが、イーライ様は無視されました。
ですが私は、国境に向けて逃げて行ったファイフ王国軍は追撃させました。
イーライ様の心に負担をかけないように、イーライ様と繋がりのある従魔を使わず、従魔士の力だけで絆を結んだ軍用狼や軍用犬だけを使って追い討ちをかけた。
他にも臣従した貴族士族の将兵を使いました。
イーライ様に気が付かれないように、事前に待ち伏せさせていたのです。
私にはイーライ様が負ける事など考えていませんでした。
絶対に勝つと信じていたから、十分な準備を整えて待ち伏せ作戦を組めたのです。
ファイフ王国の対してだけでなく、全ての隣国相手の作戦を準備しています。
一国を相手にする作戦だけではなく、全ての隣国が敵対する作戦もです。
普通なら金目になりそうな貴族や士族しか捕虜にしないのですが、今回は別です。
王家もファイフ王国も、普通の戦いをやる気ではなかったのです。
大公家はもちろん、大公家に味方した貴族士族を滅ぼす気でいたのでし。
滅ぼした貴族士族領をファイフ王国の貴族士族に与えると約束したからこそ、普通では考えられない軍事同盟を締結する事ができたのです。
イーライ様の魔力を使って創り出した魔道具のお陰で集められた情報です。
養母から与えられた多くの知識は、魔力ない私には宝の持ち腐れでしたが、イーライ様にはとても役に立つのです。
養母は最初から俺からイーライ様に伝えるつもりだったのでしょう。
その意図が何だったかはいまだに分からないですが、お陰でイーライ様の安全を確保できているのですから、今は余計な事を考えないようにしています。
「大公殿下、待ち伏せを任せていた騎士からの伝書魔術によりますと、ファイフ王国軍五万をほぼ壊滅させたとの事でございます。
身代金を取れそうな捕虜の確保は、貴族士族の軍に任せたそうでございます」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます