第41話 ディッセ

 カフェの扉が開かれた。

「いらっしゃいませ」

 アラタが仕事をしているカフェ、ロイヤルパルスにやってくるコハル。黒いボブカットが揺れる。

 そこへ、変な人物がやってくる。

「ワタシは、すべての女性の騎士!」

「お、おう。いらっしゃいませ」

 アラタは引いている。だが、客なので注文を取らざるを得ない。

「ご注文は?」

「彼女の、笑顔さ」

 会話がかみ合っていない。

「なんなの、この人」

 コハルも困り顔。

「望みは、すべての女性の幸せさ」

「望み? お前、まさか」

「ワタシの名は、新条しんじょうツヨシ。いでよ、カンサ・ディッセ!」

 カードを取り出して、カンサを呼び出したツヨシ。

 ディッセの武器は細身の剣。何もせず、待機していた。

 仕方なく、アラタもカンサを呼び出す。イマジン空間を開きっぱなしにするとマモノが現れるため、戦わざるを得ないのだ。

「カンサロウケ・ジャニュ!」

 紫色に染まった店内で、よっつのかたまりがその色に染まっていない。コハルは、紫色になって変な顔をしていた。

 ジャニュとディッセの戦い。

 カシャンとすこし軽い音が鳴る。

 ロウケの力は強く、剣のひとぎでカフェはバラバラになった。

「あーっ。カフェが」

「なになに?」

 やはり、コハルにはイマジン空間の様子もカンサも見えていない。一般人にはイマジン空間の紫も、カンサも見えないのだ。

 ぶつかる金属音。剣と細身の剣が火花を散らす。激しくうち合っても、びくともしない武器。カンサの武器は壊れないらしい。

 横薙よこなぎと細身の剣がぶつかり、高い金属音が鳴る。

 ロウケの力は強い。すこし手加減していた。

「ふっ。やるな。お前、名前は」

兜山かぶとやまアラタ」

「アラタか。また会おう!」

 カンサ・ディッセをしまうツヨシ。

 アラタも、カンサロウケ・ジャニュをしまった。

 去っていくツヨシ。

 イマジン空間が消えていく。紫色から元に戻る周囲。カフェが元に戻った。

「ひやかしか?」

 カフェのマスターは、やはり何も分かっていなかった。

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